見出し画像

なぜ、歩行開始時の1・2歩目がでにくいのか

本日も臨床BATONにお越し頂きありがとうございます。
457日目を担当します、ジュニアです。

★はじめに

臨床において歩行開始時の1・2歩目が困難な患者さんが多くないですか?

そして、それに対するアプローチや対策はこれっといったものはなかったように感じます。

私自身が一番大切にしているのが立ち上がり動作から歩行へ移行する際の足の向きです。

『足の向き』だけ聞くと?となりますが意外と立ち上がりから歩行へ移行する際には進行方向へ足を向けています。
しかし、実際臨床においては足を気にすることは少ないように思います。

それこそ脳卒中であれば筋出力や筋緊張の問題が大きく関与していると考えることが多かったです。しかし、それらの問題に対するアプローチしますが大きく変化がないことが非常に多いように感じます。

またはTKAやTHAなどの術後の痛みの影響も関係していることもあると考えアプローチするが改善することもありましたが、やはり大きく変化することは少ないように感じます。

逆にTKAなどで1・2歩目が痛く上手くいかない患者さんで足の向きを変えることで痛みなく歩行を開始できる方は多くいます
(急性期や痛みが通常から継続している人が足の向きを変えることで痛みなく歩けるのといった魔法のようなことではないです)

なぜ、足の向きを変えるだけ歩行開始時の1・2歩目がスムーズに行えるようになるのかをお伝えしていきます。

★立ち上がり動作について

まず、私のブログでは度々立ち上がり動作は立ち上がる為だけの動作ではないとお伝えしてきています。

再度お伝えさせていただくと立ち上がり動作には目的が存在します。なぜなら、とりあえず『立ち上がりろう』って日常生活でなることがありますか?私自身はありません。みなさんも同じだと思います。

例えば、トイレ動作において座っていたところから立ち上がり下衣操作をするようなことはあります。そこには事前に目的があって立ち上がっているからです。

だから何が言いたいのかというとただ目的なく立ち上がり練習をすることは効果として乏しいのではないかと考えています。目的が変われば動き方も変わります。

なので、今回の立ち上がりから移動動作となると立ち上がり方は大きく異なってくることが考えられます。

そこでまずは立ち上がり動作において健常者と脳卒中の患者さんで何が違うのかを考えていきたいと思います。


上記にあるように脳卒中の患者さん特有の足の位置・方向ではないでしょうか?臨床で1度は見たことあると思います。

このパターンになっている時に立ち上がり動作をする前に皆さんなら何をしますか?
おそらく立ち上がりがやりやすいように足を揃えて立つように指導または修正すると思います。私自身は真っすぐに揃えて立つように指導していました。

なぜなら

目的が上記であるからです。これが足を前後に広げたり、足幅を極端に狭くしたりなどをすると立ち上がりにくくなり立位も不安定になってしまうからです。

ではなぜ、足を揃えると立ち上がりやすくなり、足を揃えないと立ち上がりにくいのかというと下記の内容になっています。


このことから脳卒中患者さんの立ち上がり動作ではどうなるかというと下記のようになります。


なので、同じ立ち上がり動作でも少しの違いが大きな違いへと変化してしまいます。重心移動距離が長くなることはそれだけ筋力が必要となります。健常者においても重心移動距離が大きくなると立ち上がり動作は大変になりますが、脳卒中で麻痺を有している方では尚更難しい立ち上がり動作となります。

だからこそなぜ、足を揃えることで立ち上がりやすくなり、足を揃えないことで立ち上がりにくくなるのかを明確に理解できると訓練などにも応用できます。

★立ち上がり→立位と立ち上がり→移動は何が違うの?

ここまでは立ち上がり→立位のことについてお伝えしてきました。ここからは立ち上がりから移動についてお伝えしていきます。そもそも何が違うのか?


上記に大きな違いがあります。先ほども重心移動の話は出てきましたが、ここでは立ち上がってから如何に効率的に重心移動するのかが重要になってきます。

最初にもお伝えしましたが立ち上がり→移動の時に足がどのような方向を向いているか意識したことがありますか?
まずは私たちの生活でイメージしてみて下さい。
例えばトイレに行こうと思った時に左側にトイレがあると確認出来たときに先ほどの立ち上がり動作のように両足を揃えて立ち上がって立位が安定した後に歩き出しますか?

おそらくその動作はすごく不自然な動きになると思います。また、左側にトイレがあると分かった状態で右足を前に出して左側へ行くでしょうか?これはご自身で一度試してみて下さい。無意識で左側を確認したら左側へ足を向けた状態で立ち上がっています。

もし、電車に乗る機会があれば電車で座っている人が下りる時にどのような足の向きで立ち上がって移動しているか見てみて下さい。
みなさん自分が下りる方のドアに向かって足を向けた状態で立ち上がり→移動しています。私自身も初めて意識的にみた時はニヤッと笑ってしまいました。それくらいみなさんの動作が同じであったからです。


これ意識するようになってからは患者さんの立ち上がり動作の見方は非常に変わりました。

健常者の方では上記の内容のように足の向きが目的に応じて変化しています。
では脳卒中の方ではどうでしょう?


上記のような状態となっていますよね。この足の向きや位置が悪いという訳ではありません。
問題は目的に関係なく、いつも同じ足の位置・向きになっていることが問題なのです。
これが健常者と脳卒中の方との大きな違いです。

次に立ち上がり→移動において足を揃えた状態と足を揃えない状態ではなぜ、立ち上がり→移動に違いが生まれるのか?

それは下記のような違いがあるからです。


立ち上がり動作→立位保持は動→静となり、立ち上がり動作→移動は動→動となります。

ここの違いが大きな違いであり、足の方向を目的に向けて重心移動する準備となるのです。これが立ち上がり→立位→移動というような流れで動いてしまうと歩行の1・2歩目が拙劣となってしまいます。

なぜなら、動→静→動の動作なので動きにくくなってしまいます。基本的に歩行自体不安定な要素が強い動きであるので、静の状態で安定した立位から重心移動を再びおこない歩き出すのは難易度が高い動作となってしまいます。

それが動→動となればずっと動となるので立ち上がり→移動では重心移動が1回で完成するの歩行開始がスムーズになります。

上記のことから考えた時に脳卒中の方ではどのように準備して歩行を開始しているでしょうか?


このように脳卒中の方では麻痺側から降り出すというパターンをとるかたが多いので歩き出しが拙劣となりやすいのです。

だからどのような練習をすればよいのか?


★まとめ


意外とリハビリの立ち上がり動作において立位姿勢の安定を促す傾向にあると思います。
それがダメだということではなく、なぜ立位で安定した状態の姿勢をとる必要性があるのか考えることが重要です。

最後まで購読頂きありがとうございました。また次回お会い出来ることを楽しみしています。

ここから先は

0字

このマガジンでは週2日、明日から臨床に活かせる新たな記事を皆様にお届けしています。 このblogは、臨床BATONと言って脳外臨床研究会メンバーが日頃から思っている臨床の悩みや発見を読者の皆様と共有し、さらに全国のセラピスト達とバトンを繋いで、一緒に学ぶ成長していくことを目指したblogです。そんな想いをもったメンバーが集まってblogを書いています。

臨床BATON 定期購読マガジン

¥500 / 月 初月無料

全国展開している脳外臨床研究会に所属するメンバー達が、『臨床で起こる悩み』『臨床での気づき』を読者の皆様と共有し、知識と臨床を結び付けたい…

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?