本日も「臨床BATON」にお越しいただきありがとうございます!
335日目を担当します、ミッキーです。よろしくお願いします。
BA5の影響が広がっていますね。1か月前には思いもしませんでした。
BA5とは 👇
皆様の勤務先は大丈夫ですか?
皆様と皆様のご家族、患者様・利用者様に影響が出ないことを祈っております。
◇はじめに
久しぶりにOTらしい投稿をしていきたいと思います💦
今回は握力低下によるADLへの影響について考えていきます。
高齢者では握力低下など筋力低下が将来その方のQOLに大きな影響を与えるというのは皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
僕の勤務先でも要支援のデイケア利用者様に1か月ごとに握力等の評価を行っています(その他開眼片脚立位・TUG測定もあり)。
その時、僕は多くを考えずに
「前回と数値がそんなに変わってないですね、維持できていますよ。」とか
「今月は数値が上がりましたね!成果が出ていますね!」とか
言っていました。
体幹・下肢の筋力が落ちると寝返り・起き上がり・立ち上がり・立位保持といった基本動作に、歩行能力に影響が出てしまうことは理解がしやすいと思います。
しかしなぜ握力を測定するのか、握力が低下するとADL、IADLにどんな影響があるのかあまり理解できていませんでした。
そこで今回は
握力とは
握力測定はなぜ行うのか
なぜ握力が重要なのか、
握力低下によってADL(日常生活)にどんな影響があるのか
について考えていきます。
◇握力とは、年代別平均値について
まずは「握力」の定義についてお伝えしていきます。
ただし今回の記事では握力についてクラッシュ力(ものを握りつぶす力)を表すものとしてお伝えしていきます。
ご了承ください。
◇なぜ握力が重要か
握力はサルコペニア(加齢に伴う筋力減少)やフレイル(虚弱)*詳細下記の評価基準にも採用されています。
Rantanen Tらは「握力は全身の筋力と強い相関を認め,筋力を反映する良好な指標である」といっています。
このことから、握力は全身の筋力を反映する指標の1つとして認められていることがわかります。
それに加え、握力測定は握力計があれば、測定が可能です。
他の筋力指標と比べて測定が簡便で費用もほとんどかからないことから重要な評価指標となっています。
そのためサルコペニアやフレイルの評価基準にも採用されているのです。
また、
ということからも握力を測定することで将来の身体機能や、死亡率の予測、ADLの低下や認知機能の低下をも示唆することができるとされています。
◇握力低下するとADLにどんな影響があるのか?
では、握力の低下はADLにどのような影響を及ぼすのでしょうか。
新開は
基本的ADL低下を防止する上で高齢者の目標とすべき体力水準を提案した。握力 では男性で25kg,女性で15 kg以上,最大歩行速度では男性で95.1 m/min,女性で91.8 m /min以上あれば自立した生活を送ることができると指摘している。
加えて、
と、あります。
以上を総合して考えると
・握力20㎏以下でADLへの影響が出始める
・握力15㎏以下で歩行速度も男性で95.1 m/min,女性で91.8 m /min以下となると自立した生活を送ることが難しくなる
と考えられます。
◇まとめ
ここまで握力低下とADLへの影響について考えてきました。
周知のことかもしれませんがあえて申し上げますと、「握力低下」という1点だけではADLへの影響が確実に出るとはいえません。
下肢パフォーマンスの低下による歩行速度への影響、移動への障害によってもADLへの影響は大きくなります。
それでも握力は「全身の筋力と強い相関を認め,筋力を反映する良好な指標である」という点は間違いなさそうです。
僕は握力低下を良好な指標の一つと考え、開眼片脚立位、TUG、バランス、ステップといった下肢機能と組み合わせて考えるとADLへの影響がどの程度かを評価するのに役立ってくると感じました。
皆様もそのように考えて握力検査を実施してみて下さい!
以上で今回のブログを終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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次回は8月11日(木)の更新、yuccoさんによる「慢性期の失語症はどのように改善するのか!?」です。
では臨床BATONどうぞ!