「農あるくらし研究所」始まりの日に。
人は毎日、何かを食べて生きています。その何かを大切に育てている人たちがいます。
無事実った命に触れる時、あまりの美しさやおいしさに笑みがこぼれます。その感動は、国や言葉が違う人同士でも、分かち合うことができます。
農作物だけではありません。人はもともと身の回りにあるものを生かし、くらしに必要なものを手作りしてきました。
例えば器、かご、織物、家具など。それらは今や「民藝品」と呼ばれ、芸術作品としても親しまれています。
そんな風に、必要なものを自らの手でつくり出し、そのおいしさや芸術性に感動しながら生きる日々のことを私は「農あるくらし」と呼んでいます。
お金を出せば何でも買える。そんな世の中に慣れきってしまったひ弱な私でも、先人の知恵や技術を学んで「農あるくらし」に近づきたい。
そのためには一体、何からどう変えれば良いだろう?
つべこべ考えず、くらしの環境を大きく変える。それも一つです。しかし、誰もがすぐに移住したり、就農できたりするわけではありません。
いろいろな事情で一歩踏み出せず、悶々としている人もいるでしょう。かつて私も、そんな一人でした。
だけど、どこにいても意識を変えていくことはできます。
お金を出して買うのが当たり前だと思っていたものが、実は家でも手作りできると知るだけで、その瞬間から少しずつ、世界の見え方が変わっていきます。
「まずは自分から意識を変えてみよう」
そう決めて以来、私は人や自然から多くのことを教わりました。
そんな気づきを自分だけのものにしておくのはもったいない。「農あるくらし」に関心を持つみなさんと、広く共有していきたい。
そこで、この研究所を立ち上げることにしました。
研究のフィールドは日本、そして隣の韓国。時々イタリアや中国、フランス、イギリスも登場するかもしれません。
私の研究記録が、誰かの何かのお役にたてば嬉しいです。
2017年3月 半農半ライター Mina
この記事は、私のHP「半農半ライター Minaの農あるくらし研究所」に掲載してきた食や農に関するエッセイを転載したものです。
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