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-ストレッチングの真実-

お疲れ様です。はらリハです。

本日は…
脳卒中後遺症の回復の手助けになる”ストレッチの真実”」について解説します。


脳卒中後遺症にはストレッチは有効?

 結論から言うと…

『脳卒中後遺症にストレッチは有効』

 です。

 ただ、脳卒中後遺症は根本的な問題は「」にあります。

 例えば、歩くときの「脚の振り出し」をイメージして下さい。

本来は、脳から「脚を降り出す」という指令を足に送り、その指令を足の筋肉が正しく受け取ることで歩行ができます。
しかし、脳卒中発症後には、脳と足に指令を正しく送ることも、受け取ることもできなくなるため、思い通りに手足が動かせなくなります。

 つまり、繰り返し筋肉トレーニングやストレッチなど、筋肉へのアプローチを行っても、根本的な問題解決にはなりません。

 では、なぜストレッチは効果があると言うのか、説明していきます。

脳卒中後遺症に対してのストレッチの効果

 よく入院中のリハビリでストレッチをした経験があると思いますが、その理由は知っていますか⁇

 その効果として…

☑︎ 関節可動域の改善(柔軟性)
☑︎ 筋緊張の低下
☑︎ 血流増加(疲労回復/浮腫の軽減)
☑︎ 傷害予防
☑︎ 動脈機能の改善と維持(再発予防)

 の報告があります。

 その中でも脳卒中後に重要な効果は”関節可動域の改善”です。

 脳卒中後遺症により脳から手足に命令がいかなず、思う通りに動かせない影響で、脳が勝手に『代償』と呼ばれる「動かせない筋肉や関節を使わずに身体を動かす方法」を脳が覚えてしまいます。

 その結果、使えない筋肉は使わない為、「不活動による筋萎縮」が起きたり、動かせる筋肉のみ使うことで「過度な筋活動に伴う筋短縮」が起きる結果、根本的な問題である「脳と手足の繋がりの不足」を助長します。

 そこで、根本的な問題の脳と手足の神経のつながりの回復を目指しつつ、その回復の阻害となる「筋肉の柔軟性の低下」の解決のために、ストレッチは訓練に取り組みましょう。

 ここを取り組むことで…

☑︎ 脳から筋肉への指令や情報交換が円滑になりやすい筋肉の状態を作れる
☑︎ 筋肉の伸張を感じることで運動時に活動させたい部位が意識/注意しやすくなる
☑︎ 活動性が低下している筋肉の筋出力が得られやすくなる

 などの効果が期待できることで、根本的な問題である”脳と手足のつながりを「効果的/効率的に」回復させることが期待できます。

※ 症状や目標の動作によって、ストレッチの選択は異なりますので、担当セラピストや私に相談して頂き、質の良いストレッチを行いましょう。

ストレッチのメカニズム

 少し専門的な要素になりますが、より効果を得るためには「なぜストレッチをすると筋肉が緩むのか?」を知ることでモチベーションを高めることができます。

 ぜひ、知っていただきたいです。

 ストレッチは”Ib抑制”と呼ばれる神経生理学で説明できます。

 簡単に言うと…

筋肉を伸ばす(ストレッチ)

筋肉:「これ以上は伸びませ〜ん

神経系:「じゃあ筋肉を緩めますね〜

 こんな流れです。

 細かい説明を以下にまとめます。

Ib抑制とは⁇

 Ib抑制とは…

筋や腱が伸張されることによって筋収縮を抑制する反射的な現象

 をIb抑制と言います。

 神経生理学的に説明すると以下になります。

☑︎ 筋腱移行部にはゴルジ腱器官という受容器がある
☑︎ 筋や腱が伸長されることでゴルジ腱器官が伸長されIb神経繊維が発火
☑︎ Ib神経繊維はゴルジ腱器官と脊髄を結んでおり情報を脊髄に送る
☑︎ Ib神経繊維は脊髄にあるIb抑制性介在ニューロンへ情報を送る
☑︎ Ib抑制介在ニューロンは筋を収縮させる役割を持つα運動ニューロンがブレーキをかける

 つまり…

筋や腱が伸長されることでゴルジ腱器官が伸張され

Ib神経繊維から伝えられた情報はIb抑制介在ニューロンを介してα運動ニューロンにブレーキをかけて

その結果「筋が緩む

 というわけです。

※ ここで注意しておきたいのは、このゴルジ腱器官は「安静時は筋肉を抑制」しますが、歩行時には「筋肉を活性化」させます。

ストレッチの正しい『時間/回数/頻度』

 ストレッチは、筋肉を長時間伸ばせばいいわけではありません。

 「伸ばし過ぎは筋力低下」を引き起こす報告もあります。

 ストレッチの適切な『頻度/時間/回数』を覚えましょう。

 回数と頻度は「5回以上は身体の変化がない/毎日やるとの週に3回やるのでは効果が同じ」と報告があるので、回数や頻度は見直しましょう。

ストレッチの効果を高める3つのコツ

 ストレッチの効果を高めるポイントは以下3つです。

 1つずつ解説していきます。

1)固定

 1つ目は「固定」です。

 筋肉は「骨」に付着しており、骨とその骨が隣接する骨を繋ぐように筋肉は骨に付着しています。

 骨と骨を繋いでいるのが「関節」であり、その関節を動かしているのが「筋肉」です。

 例えば「脇腹を伸ばす」イメージで考えてみましょう。

 写真のように脇側を横に傾けると伸びると思います。

 この時、骨盤と背骨(肋骨や肩甲骨)を繋いでいる筋肉が伸びていますが、背骨を横に傾けたときに”傾ける方向と逆のお尻が浮く”と脇腹は伸びません。

 逆に”お尻を浮かさない状態で横に傾ける”と脇腹は伸びやすいです。

 なぜなら…

「骨盤〜背骨に付着している筋肉を伸ばすには。ゴムと同じでどちらか一方を”固定”しないと伸びないから」です。

 つまり”固定する関節”と”動かす関節”に分けて考える必要があります。

 また、勢いや反動をつけてストレッチをすると筋肉の損傷を防ぐために筋肉の受容器である”筋紡錘”と呼ばれる組織が反射的に筋肉を収縮させ、可動性を狭めるリスクがあります。

反動を使わずにゆっくりとストレッチを行いましょう。

2)意識

 次は「意識」することです。

 利点は…

☑︎ 筋肉が緩みやすい
☑︎ 伸びる感覚が脳に届くことでリハビリ効果を高める

 大まかな感じでいいので「いま自分が伸ばしている筋肉は何?/どこに付いてる?/どんな役割がある?」を考えることで、意識的に筋肉を伸ばせるので、ストレッチ効果を高めるだけでなく、自分自身の身体の状態や、リハビリ時の身体の動きが鮮明に分かってきます。

 また、身体の軸を捉えることは重要です。

 身体の軸が垂直/水平位を取れていないことで、本来、伸ばしたい部位以外にストレッチがかかることは意味のないストレッチになります。

 鏡や動画撮影、他者を利用し…

☑︎ 自分の姿勢が斜めになっていないか?
☑︎ 身体の軸を捉えることはできているか?
☑︎ 左右で非対称な方法になっていないか?

 など、

 確認しながら自分の身体の動きのイメージも合わせて、トレーニングしましょう。

3)呼吸

 最後は「呼吸」です。

 よく、ストレッチの時は「息を吐きながらおこないましょう」と聞きますが、これはストレッチの効果を高めるためです。

 呼吸の最大の利点は『自律神経を整える』です。

 自律神経のうち…
→ 交感神経が優位だと筋肉が収縮し、
→ 副交感神経が優位だと筋肉は緩みます。

 呼吸では…

☑︎ 吸う時は交感神経
☑︎ 吐くときは副交感神経

 と報告されています。

 つまり、ストレッチの時は 息を吐きながら行うことで副交感神経の働きを高め、筋肉が緩みやすい状態を作ることが大切になります。

 ストレッチを行うときは…

☑︎ ストレッチ前は深く息を吸い
☑︎ ストレッチ中は息を吐きながら

 行うことがストレッチの効果を高めてくれます。

終わりに

 多くの方は「原因は筋肉にある」と考える方が非常に多いです。

 加えて、医師やセラピストからも「筋肉を鍛える必要がある」「筋肉が硬いからマッサージやストレッチが必要である」と指導されることも多いです。

 しかし、「指導通りにリハビリや自主トレを行なっても変化がない」というお話をよく聞きます。

 指導された「筋肉を鍛える、ほぐす」ことが本当に正しいのであれば筋肉トレーニングを続けることで回復するはずです。

 しかし、回復していないのが現実です。

 なぜなら、根本的な問題は筋肉ではないからです。

 根本的な問題は””です。

 脳卒中後遺症の回復には「筋力を増やす」だけでは解決しません。

 はらリハでは「根本的な原因の解決」を目指した自主トレを提案しています。

 ぜひ、ご活用ください。

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