痛みを読み解く:胸腰部の痛み【伸張/圧縮/剪断ストレスから仮説】
お疲れ様です。はらリハです。
本日は…
『胸腰部の痛みを力学的ストレスから考える3つの問題』について説明します。
はじめに
腰痛をはじめとする胸腰椎の痛みを力学的ストレスから考えると…
□ 伸張ストレス
□ 圧縮ストレス
□ 剪断ストレス
の3つに大別することができます。
それぞれのストレスが、胸腰部の疼痛にどう関係しているのか、読み解いていきましょう。
◯ 伸張ストレス
立位や座位などの後重力姿勢の場合、胸郭の重みが全方に倒れる力を発生させるため、胸背部の筋と胸腰筋膜には、常に伸張ストレスが生じます。
さらに、頭頸部が前方に変位する不良姿勢、上肢挙上位の動作、重いものを頻繁に持ち上げる作業などは、伸張ストレスを強める原因になります。
この伸張ストレスの増加は、筋内圧を上昇させて、疼痛の原因となります。
また、筋が柔軟性を失い、筋と筋膜間の滑走性が低下することで、筋の伸張性が低下します。
そのため、胸腰部に伸張ストレスがかかる日常生活動作において、疼痛が生じるかを確認する必要があります。
◯ 圧縮ストレス
直立の立位姿勢時における圧縮負荷率は…
□ 椎間関節:20%
□ 椎体/椎間板:80%
を担っています。
この圧縮負荷率は姿勢により変化します。
腰椎屈曲時は椎体/椎間板部の圧縮負荷率が増加し、逆に腰椎伸展時は椎間関節の圧縮負荷率が増加します。
また、重いものを持ち上げる動作や、上肢を挙上する動作では、椎体/椎間板の圧縮負荷率を増加させます。
さらに、回旋動作が加わると、片側の椎間関節面は圧縮負荷率が増加し、対側の椎間関節は圧縮率は減少します。
つまり、左右差が生じることになります。
また、回旋運動が継続すると、圧縮負荷率の高い椎間関節に運動軸が移動し、椎間板に剪断力を生じさせ、椎間板の線維輪を損傷する原因になります。
坐骨神経と上殿神経は、梨状筋上孔部で圧縮ストレスを受けます。
さらに、体幹の屈曲運動を行うと股関節の屈曲が生じるため、坐骨神経や上殿神経には伸張ストレスも加わるため、下肢や殿部に痛みが生じます。
◯ 剪断ストレス
仙腸関節は仙骨と腸骨が形成する関節で、形状は半関節は平面関節の一種で、関節周囲が人体に囲まれているため、運動範囲が小さいです。
関節前面には、前仙腸靭帯
関節後面には、後仙腸靭帯/骨間仙腸靭帯/仙結節靭帯/仙棘靭帯
が存在し、可動性と引き換えに仙腸関節の安定性を高めています。
特に、骨間仙腸靭帯は、仙骨と腸骨をしっかりと結びつける重要な靭帯です。
仙腸関節は体重支持に適した構造ですが、わずかな並進運動も生じます。
立位時の体幹重量は、腰椎を介して仙腸関節に剪断力として伝わります。
この時に、ニューテーションが起きます。
ニューテーションは、靭帯の張力を増加させ、仙腸関節の安定性を高めます。
逆にカウンターニューテーションはは、靭帯が緩む位置になるため、仙腸関節は不安定となります。
しかし、仙腸関節の可動範囲は極めて小さく平均2°程度です。
つまり、剪断ストレスに対してニューテーションが過度に生じると、靭帯の張力が増加し、疼痛が生じます。
また、ニューテーションが少なくなると、剪断ストレスが増加し、仙腸関節由来の疼痛が増すと考えられます。
ただし、仙腸関節由来と、仙腸関節周囲の靭帯由来とを区別することは難しいです。
そのため、両者を含めて、仙腸関節由来の疼痛と考えます。
※ 並進運動
物体の全てが同じ速さで同じ方向に運動することを、並進運動という。
関節包内運動においては、治療面に対して平行方向に並進運動することを「滑り」、垂直方向へ並進運動をすることを「離開」と表現する。
おわりに
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