とりあえず寝返り練習してみない?
お疲れ様です。はらリハです。
本日は…
「脳卒中後遺症者の治療:寝返り練習」について解説します。
脳卒中後遺症の改善を目指す、当事者とその家族に向けて投稿します。
運動麻痺に対するリハビリ手段の一つとして取り組んでみて下さい。
はじめに
皆さんは人の基本動作と呼ばれるものをご存知ですか?
寝返り、起き上がり、座位、移乗など、日常生活の中で基本となる動作が多々あります。
脳卒中発症後の目標として…
☑︎ 装具を外して歩けるようになる
☑︎ 箸を持てるようになる
☑︎ 料理ができるようになる
など、具体的な目標の獲得に向けて日々、リハビリに取り組んでいると思いますが、上記の「基本動作」の取り組みは疎かになっていませんか?
実際にできている動作ではあるかも知れませんが、目標として例を出した装具を外して歩けるようになる為、箸を持てるようになる為、料理ができるようになる為には、意外にも「基本動作」と呼ばれる動作の精度を上げるリハビリは重要になります。
なぜかと言うと…
『全ての動作の始まりは基本動作』から始まるからです。
寝返る段階、起き上がる段階、座った姿勢や立ち上がる動き、立位姿勢、歩行、食事、料理をするにも、これらの基本動作から始まります。
始まりの動作から失敗していると、求めたい動きの阻害になります。
いま目指している目標の獲得に向けて、基本動作の見直しをしましょう。
寝返り練習のメリット
本日は、基本動作の中でも「寝返り」に着目して説明していきます。
など…
目的を絞れば、多くの症状に対して有効な手段として利用することができ、基本動作を応用することで、目的となる行為(コップを持つ、足部の装具を外して歩く、料理をする)の獲得を目指せます。
ただ、セラピスト視点なら応用が効きますが、自主トレとして行う場合は目的を絞った方が効率的に身体を変化させることが出来ます。
ここでは主に
この3つのアプローチに向けて解説していきます。
寝返りの構成要素
ここは専門的な話をするので、興味のない方は次の「実践方法」を参照ください。
ただ、これらの要素を覚えることで、自身の身体の使い方のヒントになるので、ぜひ参考にして頂けると幸いです。
寝返りは、仰向けの姿勢から横向き(側臥位)の姿勢になるまでを指し、これらは第1相〜第4相に分けることができます。
相ごとに移動する前に、仰向けから次に生じる頭頸部の運動や、体軸内回旋(捻る方向に対して身体の中心の軸)の準備状態が必要です。
加えて、頭頸部運動や体軸内回旋の準備には、正中軸(身体の中心の軸)を基にした『垂直身体軸:longitudinal body axis(LBS)』が必要です。
寝返りは回転軸の連続的変化で、脊柱を中心としたLBAが必要であり、LBSは開始軸として動作が行われます。
ここを踏まえて、以下の相に分けて寝返りの構成要素を解説します。
第1相:屈曲相(背臥位→上部体幹回旋まで)
寝返り動作への移行において、頭頸部屈曲の動きが重要になります。
肩甲骨の前方突出が生じることで体幹回線筋群を賦活させ、続いて脊柱を中心とした体軸内回旋が起きます。
第2相:移行相(上部体幹の回旋→完全側臥位移行まで)
支持面が対側に移行していく段階です。
肩甲帯の前方突出と上肢リーチに導かれるように胸椎が回旋し、上部体幹が願える方向に回旋します。
胸椎回旋に伴いCoM(質量中心)が寝返る方向に移動し、広背筋の遠心性収縮による慣性の生成のため、下肢でのBoS(支持基底面)への適応と支持が要求され、骨盤の前方回旋や下肢の追従が生じます。
この協調運動により完全側臥位が達成され、荷重そくの上肢の支持(立ち直り)も生じます。
【専門用語】
※質量中心(CoM):重力と運動の点が一致する場所
※慣性:物体に外から力が働かない、もしくは働いている力がつり合っている状態で物体の動きが続くことを慣性の法則と呼ぶ
※支持基底面(BoA):体重を支えるために必要な床面積のこと
※協調運動:筋肉を収縮するタイミングや組み合わせがスムーズに行われる動き
第3相:伸展相(完全側臥位→腹臥位まで)
完全側臥位から腹臥位方向へと移行していく相であり、伸展活動(伸ばす力)が優位になる状態です。
そのため、非支持側肩関節のさらなる屈曲や前腕支持への準備段階となり、従重力コントロールが要求されます。
完全側臥位はBoSが狭く、最も筋緊張のコントロールを要求され、骨盤のさらなる前方回線や股関節伸展のために筋活動のための筋活動が必要になります。
※従重力コントロール:安定した姿勢を保持しながら身体をコントロール(制御/調節)する能力
第4相:安定相(BoS上での安定と抗重力活動)
尺側(小指側の前腕周囲)、大腿前面筋群、下腹部を中心としたBoSで安定する段階です。
支持基底面は多く、細かな揺れは見られないのが特徴です。
一方で、重力の影響は受けるため、活動が少ない場合は胸部のBoSが広がりやすく、脊柱起立筋や頭頸部の伸筋活動も少なくなります。
脳卒中患者の場合、股関節の可動性や従重力コントロール活動の低下により、腹臥位に近い姿勢が少なく、安楽姿勢の保持が難しいですが、枕を挟むなど、楽な姿勢を作ることは身体疲労の回復や、非対称性の姿勢を軽減させる1つのアプローチになります。
ぜひ、仰向け姿勢から寝返り、側臥位、うつ伏せの姿勢を目指して練習してみてください。
実践方法
方法
1) 臥位の状態から開始
2) 非麻痺側を使って麻痺側へ寝返りをする
3) この時「手→肩→肩甲骨-胸椎-腰椎-骨盤-股関節」の順番に寝返りを行う
4) 肩甲骨-胸椎-腰椎を分ける動きは難しい為、苦手な部分は繰り返し行う
5) 非麻痺側の動きを麻痺側で再現する
6) これを繰り返す
意識するポイント
☑ 寝返りを目的とせず、関節を分けて動かすイメージで行う
☑ 回数より質が重要なので「ゆっくり」行う
失敗しないコツ
☑ 丸太は失敗、背骨を一本ずつ動かすイメージで行う
☑ 非麻痺側で上手くいった部分を麻痺側で再現する
終わりに
ここまで、読んで頂きありがとうございます。
最後に、脳卒中後遺症の改善に向けた自主トレメニュー(有料500円)を紹介します。
上記で説明している通り、
「病院でやっていたリハビリ」と「本来回復に必要なリハビリ」
がズレていることが非常に多いです。
よく聞くのが「原因は筋肉」という話。
筋肉トレーニングも必要ですが、よくよく考えると根本的な問題って脳じゃないですか?
だって脳の損傷なんですもん・・・
脳の回復に必要なリハビリしないといけないじゃないですか。
そこをピックアップした自主トレを提供しています。
なぜ自主トレで回復するのか・・・
根本的な問題である脳の問題に対して「脳と手足の神経の繋がりを作るリハビリ」を根源に作った自主トレメニューだからこそ「改善する」がついてきます。
根本的な問題に着目したメニューなら回復も見込めると思いませんか?
今よりも10歩も20歩も先の自分になるためにも、使えるものは何でも利用しましょう。
内容は大きく分けて3つです。
☑︎ 病態、症状の理解
☑︎ 病態、症状の原因
☑︎ 自主トレメニュー
となっています。
病態を理解することで、なぜ自分がこのような状態になり、どこに問題があり、どこを気をつけることでその症状が緩和するのか、図や写真を使いながら分かりやすく解説しています。
全く動かせない方から、症状が軽いけどうまくいかない方まで、必要な機能的要素と脳科学的な知見を併用したメニューになっています。
根本的な問題の解決をテーマに、最高の技術と知識をフル活動させて作った自主トレメニューです。
販売してから既にnote経由を合わせて50件以上、おかげさまで好評を頂いています。
500円で購入できますが、安価で買えるような自主トレメニューではないです。
一人でも多くの方が麻痺のない生活に少しでも戻れるように願いを込めて作りました。
ぜひ、使って見てください。
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