個人を守るために必要な支援と対策 第7章:孤立しない社会とは ⑬
このように社会における社内のパワーバランスが崩れると人材というのは育たないし、時間の経過と共に成長しないため、自分の成績を自ら落としている事と同じ意味になるのだ。
現在は“人材の組織離れ”や“人材の価値観のズレ”など良い人材は一定程度入社したとしても定着する前に離職するという状態が続いており、これらの連鎖を止めないことには改善には転じない。
そのうえ、ここ数年の内定率は一定の水準以上になっているが、離職率を考えた時に最終定着率がかなり低い印象があるし、採用したとしても試用期間後などに解雇や、契約終了など企業側が採用した人材を手放し、自分たちの求める人材を転職市場で見つけて確保したいという心理はこれまでも多かったが、コロナ渦以降は“即戦力”や“経験者”など研修などを行わないで戦力になれる人材を企業が求めるなどその企業が求める人材が前後で変化しており、このような心理を持つ企業が増加したことで人材の争奪戦が起きている事は間違いないだろう。
しかし、これらの心理は芽生えているが、採用に繋がる人は見つからないもしくは先に採用が決まってしまっているなど企業側も苦戦を強いられる事も少なくない。
その背景にあるのが“組織外における成功者の増加”などコロナ渦におけるステイホームで新しい事を始めた人が本職を辞めて、副業で生活をすることを選択するという事例も増加傾向にあり、これまで企業で活躍していた社員が退職・離職することでその社員が抜けた穴を補填する必要があるのだが、求職者の条件などと折り合わず、求職者側は就職活動や転職活動が頓挫し、企業など組織側は採用活動が頓挫するという事態が今後起こり始める可能性は否定出来ないだろう。
これまで個人の孤立について考えてきたが、企業などの孤立も今後は顕著になっていくだろうし、採用数が減少することで社員1人あたりの業務量が増加し、過労による体調不良で療養休暇や休職する社員が増加するなど人材育成が急務だとしても企業の経済状態や相対育成比率などを考えた時に十分に人材のバランスが取れない可能性がある。
そして、現在はこれまでの社会的構図とは異なった動き方を見せており、人材を一定数確保出来たとしてもこの人材がいつまで定着していて、企業に対してどのような効果をもたらすのかという人材育成のプランを立てたとしても、そこから離職するタイミングや緊急時などの最悪のケースを想定しておかなくてはいけないと思う。