完璧なせんぱい
職場の先輩に
仕事ができてコミュ力高くて
面白いエピソードいっぱい持ってて、
かっこよくてやさしくて女の子にモテモテで
後輩男子からもモテモテで、、
みたいな人がいる
一言でいえば、非の打ち所のない人
先輩は性格もいいし話しやすいので
他の上司に飲みに誘われると
頭を抱えて断る理由を探しだす私でも、
先輩からのお誘いには2つ返事で行く
(この人を今からNさんと呼ぶことにしよう)
それはなぜか
Nさんといく飲み会は
とにかく気持ち良くなれるのだ
なんて言ったって
私の良いところをたくさん見つけてくれる
そしてたくさん褒めてくれる
まるで愛犬を可愛がるように
そしてまたまたすごいのが
Nさんが話してくれる
エピソードはどれもおもしろい
大学受験時代、進学校に通うNさんは
クラスのみんながより受験に集中できるように四六時中掃除をしていたため浪人したという
もうおもしろい
エピソード一個で惹きつけられる
ただただ同じことを言い続けるだけの
口臭ハゲじじいの飲み会とは訳がちがう
優しくて母性があって
仕事ができる上にユーモアまであるのか
なんて完璧な人なんだろう
私はNさんがだいすきだ
そんなある日
私は珍しく仕事で功績をあげた
普段あまり話さない上司や後輩、
会社の人たちにたくさん声をかけてもらった
「よくやった!!」
「数年ぶりの快挙だよ!」
「腕を上げたね!」
うれしくて
私はすぐにNさんに報告した
しかしNさんの反応は、予想とは違った
「すごいね」と渇いた表情のNさん
私の功績に嫉妬しているようだった
いつも褒めてくれていたNさん
それは私が
「何者にもなれていないただの後輩」に
過ぎなかったからだと気付いた
少し悪くいうと
自分より能力の低い後輩を褒めることで
「後輩の長所を伸ばしてあげる自分」に酔っていたのかもしれない
Nさんに初めて
会社にいる1人の人間として
認めてもらえた気がした
仕事帰り、
いつもより少し空いている電車内を見渡してこう思った
優しくて面白くて少しプライドの高いNさん
これからもそんな先輩の背中を追いかけ続けようと