常安 エピソード1 ~いし~
原作、脚本
梵天彪雅
1 大坂城内
秀吉『ここに城を作る、、、』
秀長『、、、兄者、、ここは、、伏見、、
ここに城を?』
官兵衛『、、、なるほど、流石ですな、、、早速、普請は京の岡本に、、』
2京の都 岡本邸
官兵衛『どうじゃ、、、出来るか?』
岡本常安『、、、、宇治川など川の氾濫が気になりますが、、、まぁ、秀吉様の頼みとありゃあ、、、やってみまひょ!』
官兵衛『頼んだぞ』
岡本邸を後にする官兵衛
岡本屋下働きの嘉兵衛『旦那、、、ここの山に作るとしたら石が難儀かも、、、』
岡本常安『いしィ?』
嘉兵衛『へい、、』
常安、下働きの背中を叩き外出しようとする
岡本常安『ま!ここで四の五の言っても何も始まらん!ま、見に行こうや』
3京 伏見の山中
岡本常安『、、、あーー、、石って、大きなぁ、、、』
嘉兵衛『へい、、しかもこの量ですからね、、石を利用するにも難儀するかと、、』
岡本常安『、、、よしゃ、、おい、とりあえず人集めぃ 身体の大きな奴、沢山な!』
嘉兵衛『え?』
岡本常安『金は天下の秀吉さんやで金は出るぅ』
嘉兵衛『いや、金やなくて い、石ぃ、、』
岡本常安『ええから、早う行けぇ笑』
嘉兵衛『へ、へぇぃ、、、、』
4 京 伏見の山中2
荒くれ者1『おい!何だ、こんな所連れてきやがって!』
荒くれ者2『金は?石しかねぇじゃねーか!』
荒くれ者3『伏見だけにキツネが石を金に変えるってんじゃねーだろぅなぁ?! 』
荒くれ者4『そりゃあ、たぬきだろ? おい金が ねえんなら お前らそこの大穴に落としてくれるぞ!おりゃあ!』
嘉兵衛『ひ、ひぃー!』
岡本常安『お、お主、体格だけじゃなくて
オツムが冴えてるじゃねぇか!』
荒くれ者1『はぁ?』
岡本常安『その大穴に落としてくれ!』
嘉兵衛『は、は?はぁ?! な、な、何言ってるんでぃ!旦那! 荒くれ者らを見て気ぃでも狂っちまったのかぃ?!』
荒くれ者2『おお、いいぜ!お前ら大穴に!』
荒くれ者が常安の肩に掴み掛かかろうとする
岡本常安『わしらではない、、そこの岩のような石をここに沢山ある大穴に落として穴を埋めるのよ。』
荒くれ者3『金にもならねーこ、、』
常安、荒くれ者の眼の前に手のひらで待ったと手を出し
岡本常安『これはなぁ、、天下人の仕事よ
金ならお前さんらが働きゃあ、幾らでもくれてやらぁ!』
荒くれ者の前に金の入った袋をずしりと落とす
岡本常安『前金じゃあ! 働けぃ!』
荒くれ者1〜4『おうよ!』
5 大坂城 天守閣
秀吉『官兵衛、、伏見の城普請はどうなっておる?』
官兵衛『は! 岡本屋に任せてはおりまするが殿下が城を建てる場所には大穴が多く、岩のような石が多いので難儀しておるかと、、、』
秀吉『ふむ、、、官兵衛、お主の目は軍略には長けておるがそこは節穴であったか、、、』
官兵衛『な、何をもうされる!?現場を下見した上で彼らでは難儀すると、、』
秀吉がおもむろに立ち上がり窓の外に指を差し
秀吉『では、あれは、何じゃ?』
官兵衛『あれとは、、、、?、、、』
秀吉が指差した方向に城の天守が見える
官兵衛『な、なんと!まさか!早過ぎる!』
秀吉『これは現地に行ってみたいのぅ、、、』
秀長『誰ぞ、おるか?!太閤殿下が伏見に出立じゃ!準備せい』
家臣ら『は!』
官兵衛『、、、、』
驚愕する官兵衛
6京 伏見の山中
官兵衛『む、、ハリボテではない、、、城じゃ、、おい!岡本屋!岡本屋はおるか?!』
岡本常安『は?! あー、おおぅ、、これはこれは官兵衛様ではございませぬか!』
秀吉が出てくる
秀吉『おお!見事じゃ! いや、しかし、ここには沢山の岩のような石と大穴がボコボコ空いとったはずじゃ、、、まさか、城にわしが入ったら城が穴に落ちるんじゃなかろぅなぁ?』
嘉兵衛『だ、旦那様はそのような事は』
嘉兵衛が秀吉に斬られ死ぬ
秀吉『だれぞ、この無礼な骸を崖に落としてしまえ』
秀長『は!』
嘉兵衛が崖に落とされる
官兵衛『で、殿下、、岡本屋の者でございまする、、、そのような事はおやめください』
岡本常安『、、、、官兵衛様、、、あの方は、、、、』
官兵衛『ん、、ああ、太閤殿下 秀吉様じゃ、、』
岡本常安が握る拳から血が落ちる
官兵衛『嘉兵衛のことはすまん、、、』
岡本常安『いや、、官兵衛様、頭をお上げになってください、、未だ戦国の世ですから仕方がありませぬこと故、、、ただ、あの者は家族同然でしたから、、ちと、悲しゅうございます』
官兵衛『殿下、この者が岡本屋でございまする』
秀吉『ふむ、、、で、この城に入っても穴に落ちることはないのだな?』
岡本常安『ここにありました沢山の岩のような石で沢山あった穴を全て埋めましたので決して私の嘉兵衛のように崖に落ちるようになることはございませぬ、、、、』
秀吉が常安に刃の切先を向ける
常安はピクリともしないどころか殺気を
秀吉に向けている。
秀吉『嘉兵衛、、、ああ、、さっきの虫ケラか、、、』
官兵衛が止めに入る
官兵衛『殿下!この者がいなければ伏見の城は建ちませぬ!どうか!刀を納めてくださいませ!』
秀吉『ふん!まぁ、よいわ!岡本屋、褒美をたんまりくれてやる!励めよ』
岡本常安 地面の土を血混じりの拳で掴みながら頭を下げる。
岡本常安『嘉兵衛、、、すまぬ、、嘉兵衛、、』
荒くれ者達が常安をなだめる。
ナ その後、岡本常安は淀屋常安と名を改め豊臣政権下の元、城普請をして行くが1600年に起こった関ヶ原、1615年に起こった大坂の役で一転して徳川につく。
その後は材木商として成功し、現在の中之島の開発を手掛け米市場での先物取引なども成功して天下の台所 大坂の基礎を作るが力をつけ過ぎた淀屋を恐れ淀屋が大名達に貸していた借金を帳消しにしたことによりお金を回収出来ず廃業に追い込まれたという、、、、
中之島に架る淀屋橋、常安橋は淀屋常安が私財で架けたそうである。
現在、淀屋橋袂には淀屋屋敷跡石碑が静かに佇んでいる。
完