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ローマ神話のサトゥルヌス
ローマ神話に登場するサトゥルヌスは、豊穣をつかさどる神でした。道祖伸みたいなものですね。サトゥルヌスは「お前は将来、息子に王位を奪われるだろう」という予言に恐れおののいて、自分の子供を食べてしまいました。よく耳にするフレーズとして「食べちゃいたいほど可愛い」というものがありますが、それをそっくりそのまま実行に移したのです。いくら神話の中の世界とはいえ、とんでもないことをしでかしていますね。
ただ、妻のレアも黙ってはいません。せっかく子供を産んでもサトゥルヌスに食べられてしまうので、対策を講じることにしました。名付けて「子供を夫に食われてたまるかよ作戦」です。レアがユピテルを産んだときは、山の中の洞窟に我が子を隠しました。徳川埋蔵金ならぬ実子埋葬山です。もしも掘り当てても懸賞金はでません。発掘作業で腕を酷使して腱鞘炎にはなるでしょうけどね。
レアは、ユピテルをただ洞窟の中に隠していただけではありません。配下達に命じて、ユピテルが泣き声を上げる度に、その泣き声が外部に漏れないように配下達に叫ばせたのです。ユピテルの鳴き声を配下達の叫び声で打ち消すという作戦です。例えるならば、木を一本燃やしてしまったので、証拠隠滅として森全体を焼き払うようなものですね。「背徳の焼畑農業」と言えなくもありません。
しかしながら、まっとうな精神状態で考えれば、配下達の叫び声によって、ユピテルの居場所がバレる可能性は極めて高いでしょう。ユピテルの鳴き声を打ち消すことはできても、配下達の叫び声によって「その場所で異常が起きている」ということは周囲一帯に知れ渡ります。この点について、レアはどのように考えていたのでしょうか。「ふん。そんなの知らないわよ。ユピテルの鳴き声さえ隠せればそれでいいのさ。後は野となれ山となれよ!」と開き直ったのかもしれません。お後がよろしいようですが、レアのおつむはよろしくないようで。