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ダミアン・ハースト『桜』を見てきた!
六本木の国立新美術館でダミアン・ハーストの『桜』を見てきました。
巨大なサイズ感もあってか、実物を目の前にしているかのような迫力を肉体的に感じる一方で、「桜」という言葉を耳にした時に頭の中に浮かぶ、深層心理上の桜像が目の前に現れたかのようにも感じられました。
その感覚については、ダミアン・ハースト本人が、インタビューでこの絵の面白さの一つを「チラ見」の要素(実際の葉や花は様々な色の光を反射しているため、あらゆる色を使って描かなければ、人の目はそれを花だと認識しないため、「自然」に=写実的にのみ描かれた絵にはリアリティが無くなるという話)と説明していたのを聞いて、なんとなく得心しました。
「人は目で何かを認識するときに全体をそのまま認知するのではなく、断片から全体像をとらえる」からこそ、この絵は見ている人ひとりひとりの、言うなれば桜のイデアを想起させるような精神的な働きをするのかもしれません。
(これがもし同じ大きさで、リアル=写実的に描かれていても、ここまでの精神的な作用はなかったでしょう)
近くから見るのと、遠くから見るので印象が大きく変わるのも面白く、そういった点も花見をしているようで楽しかったです。久しぶりに美術館に行ったけれど、本当に行ってよかったと思える展示でした。
この展示が終われば、絵はそれぞれの所有者の元へ戻っていくそうなので、今後これだけの数をまとまって見る機会はそうそう無いと思われます。
そういった意味でも見ることができて良かったです。