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アーカイブ:2010-2021年

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2010-2021年のあいだに、せんだいメディアテークの企画に関するものや各種媒体(新聞や小冊子など)に寄稿した文章。
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記事一覧

Rocks Off(監督:安井豊作/2014年)(『セントラル劇場でみた一本の映画』より)

これは、『セントラル劇場でみた一本の映画』(2019年)というリトルプレスに寄稿したものである。2018年に閉館した宮城県仙台市の映画館「セントラル劇場(セントラルホール)」にまつわるエッセイを集めた本書は有志二人による企画で、その編集を手伝ったついでに自分も書いた。すでに入手困難なようなのでここに掲載する。 あれは「爆音映画祭 in 仙台2015」の年、2015年6月6日の夜である。爆音映画祭の始祖・boid主宰の樋口泰人氏との友情と個人的な趣味の問題として、当時各地で行

お願い、コルレオーネ

河北新報夕刊「まちかどエッセー」に2021年7月から隔週で8回にわたり書いたもの。「河北新報オンライン」が会員制になったというのでここに再録する。 地元紙の、夕刊の、気楽な枠ということで、できるだけ仙台に関わることを取り入れようと心がけながら書いていたわけだが、最終回に仙台在住の小説家・伊坂幸太郎さんが登場するのは、この連載を紹介してくれた友人がその直前に回してきた「7日間ブックカバーチャレンジ」への返答でもある。 (初出:河北新報夕刊「まちかどエッセー」2021年10月2

まなざしの解像度

河北新報夕刊「まちかどエッセー」に2021年7月から隔週で8回にわたり書いたもの。「河北新報オンライン」が会員制になったというのでここに再録する。 この連載で自らに課したルールに逆らって書いた一篇。まったくの言葉足らずだが、それでもこういうことが書かれているのが新聞というものだろうと思って担当者にお願いしたら快く載せてくれた。 (初出:河北新報夕刊「まちかどエッセー」2021年10月11日) 前々回とりあげた映画『ドライブ・マイ・カー』(監督:濱口竜介)について、手話ので

私たちには暗闇が足りない

河北新報夕刊「まちかどエッセー」に2021年7月から隔週で8回にわたり書いたもの。「河北新報オンライン」が会員制になったというのでここに再録する。 このときの山形国際ドキュメンタリー映画祭で、私が観た作品は結局2本だけだった。古くさい人間なのかもしれない。 (初出:河北新報夕刊「まちかどエッセー」2021年9月15日) 2年に一度、例年ならば世界中からの作家や観客でにぎわう山形国際ドキュメンタリー映画祭が今年はオンライン開催となった(10月7日〜14日)。オンラインの映画

世界とつながる足もと

河北新報夕刊「まちかどエッセー」に2021年7月から隔週で8回にわたり書いたもの。「河北新報オンライン」が会員制になったというのでここに再録する。 この時点では、同作がアカデミー賞まで取るとはまったく考えていなかった。 (初出:河北新報夕刊「まちかどエッセー」2021年9月6日) NHK朝の連続テレビ小説に出演中の西島秀俊が主演、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』を観た。日本人初の脚本賞を含むカンヌ国際映画祭4冠ともなれば期待も高まるというものだが、村上春樹の原作から

ファストから少し離れて

河北新報夕刊「まちかどエッセー」に2021年7月から隔週で8回にわたり書いたもの。「河北新報オンライン」が会員制になったというのでここに再録する。 この後、偶然にも「ファスト映画」によって有罪判決が出るのは仙台地方裁判所である。 (初出:河北新報夕刊「まちかどエッセー」2021年8月23日) 「読書百遍、意自ずから通ず」。難しい文章も繰り返し読めば自然と理解できるという意味だが、近頃はそんなことを諭す人は少ないどころか、名著も100分くらいで解説するほうが重宝される時代で

オリンピックと記録映画

河北新報夕刊「まちかどエッセー」に2021年7月から隔週で8回にわたり書いたもの。「河北新報オンライン」が会員制になったというのでここに再録する。 もちろん執筆時には『東京2020オリンピック』は観ていない。 (初出:河北新報夕刊「まちかどエッセー」2021年8月2日) すぐれたSFは未来の現実を先取りする。宮城出身の漫画家・映画監督の大友克洋が30年以上前に映画『AKIRA』(1998年)でそれを活写した、いわば想像力に先取りされていた東京オリンピック2020。スポーツ

手で見ることを考える

河北新報夕刊「まちかどエッセー」に2021年7月から隔週で8回にわたり書いたもの。「河北新報オンライン」が会員制になったというのでここに再録する。 第1回と第2回は自己紹介を兼ねたものということで、現在もうひとつの肩書きである大学教員としての話とした。 (初出:河北新報夕刊「まちかどエッセー」2021年7月26日) 私は大学で講義を一つ持っている。映像文化の理論や批評に関するものだ。古今東西の映画など映像作品を見せながら、それらについて解説していくのが毎回の基本的なスタイ

ディス・イズ・センダイ

河北新報夕刊「まちかどエッセー」に2021年7月から隔週で8回にわたり書いたもの。「河北新報オンライン」が会員制になったというのでここに再録する。河北新報に連載をしたのは2005年の「論壇」以来。当時28歳で生意気なことを散々書いたためか、その後連載らしきものを頼まれることはなかったのだが、信頼する編集者でもある友人からの紹介で引き受けた。しかし、試しに過去の記事を何ヶ月分か読んでみたら普段の自分の文章とは求められる趣が違うようで、これは困ったな……と思ったのを憶えている。結

『BAKERU』によせて

仙台発のビジュアルデザインスタジオ・WOWの20周年を記念して東京南青山のスパイラルで開かれた「WOW Visual Design Studio -WOWが動かす世界-」(2018年4月6-15日)でのインスタレーション『BAKERU』のために書いた短いコメントである。当初は作品のキャプションのようなものと思って原稿を送ったのだが、展示会場を訪れたら順路の最後あたりに大きくパネルで掲げてあって狼狽した記憶がある。ところで、WOWとの縁は2006年にせんだいメディアテークで企画

あなたの記憶は、私たちの歴史である—「どこコレ—おしえてください昭和のセンダイ」

たまたまご縁があって、大阪にあるギャラリー「Port Gallery T」を運営されていた方から『映像試論100』という同人誌を出すのに誘われて書いたものである。 「どこコレ—おしえてください昭和のセンダイ」とは、せんだいメディアテークとNPO法人20世紀アーカイブ仙台の共催で第1回を2013年に行い、10年も続く恒例行事になっているだけではなく、全国各地で展開しているものである。思いついた当初は職場でもほとんど関心を持たれず予算も付かなかったが、個人的には(今思えば奇妙なほ

森を満たす不穏な残響 (『echo』/澤田サンダー)

まったく別の用件で訪れた青森の国際芸術センター青森[ACAC]で、ちょうどそのとき展示されていた「ヴィジョン・オブ・アオモリ vol.11/澤田サンダー|echo」について、せっかくなので何か書いてくださいとお願いされて書いたもの(一応は映像が専門と目されたためだろう)。今でも、いわゆるギャラリー展示における映像作品は頭から見るべきか、実はどこから見ても良いのか(むしろそれを推奨しているからこそギャラリーで展示しているのか)考えることがある。むしろ、作家や企画者ははっきり示し