黒島から「みなと」をつくる奥能登の挑戦 株式会社湊
お話をお聞きした人
これまで
株式会社湊は、ゲストハウス黒島を運営されています
これまでの挑戦は、こちらの記事をご覧ください
(経緯や想いが読みやすく書かれています!)
今回は、杉野さんが大事にされているミッションとビジョンについてお話をお聞きできました
なぜ、ミッション、ビジョン、バリューを作ったのか
それはボランティア活動の反省に端を発します
黒島復興応援隊での活動は、当初は結束力や一体感があり、毎週がれきやゴミの撤去、使えなくなった家財の搬出を行いました
半年くらいが経過し、緊急性の高い依頼が少なくなった頃から、活動範囲を広げるか、黒島において復旧から復興に向けた取り組みに注力するか、メンバー内で意見の相違が生じ調整に多大なエネルギーを要することとなったそうです
これは、自分達が何のためにやっているのか、どこを目指しているのか、ということを言語化してこなかったことが要因だと、杉野さんは考えました
そこで、ミッション・ビジョン・バリューを作ります
ミッション
「自然と共生し、自分たちの手で豊かな暮らしを創造する」
「自然と共生し」
海と山に挟まれた自然豊かな黒島が好きになった、杉野さんの原体験の想いが込められています
徒歩圏内で取れる食材で暮らしていく生活を目指していく言葉です
「自分たちの手で」
人智を超える未曾有の大災害が起こりました
誰かを非難していても前には進めない
自分たちで何とかしていきたいという意思が込められています
杉野さんは自ら学ぶために、原発事故後に小高パイオニアヴィレッジを福島県の小高地区に作った和田智行さんにも会いに行かれました
集まる人たちのエネルギーを感じたそうです
「豊かさ」
自分達で食材を調達して自分達で調理して振る舞う
友達や大切な人の笑顔を見ながら、一緒に楽しめることが「豊かさ」だと、杉野さんはおっしゃいます
湊で何をしたいのか?
「桟橋プロジェクト」
船を海へ出す為の桟橋を作るプロジェクト
海底が隆起した黒島では、漁にでることが困難になってしまいました
海が好きだった人たちや海と共に生きてきたお年寄りが、海の話題をさけるようなことも気がかりでした
海があっての黒島を、自分たちの手で取り戻したい
黒島の船が黒島の海に浮かんでいる状態を目指して活動を進めています
「マリンアクティビティ」
黒島を悲しいことがあった場所というイメージにはしたくない
今は変化であって喪失ではない、どう変化を楽しんでいくか?
そう杉野さんはおっしゃいます
子供達や観光客向けのサップ体験会などを通じて、長丁場の復興を楽しみながら進んでいきたいという想いが込められています
「ウニプロジェクト」
隆起したところは、海藻が取れる豊かな場所でした
そこにウニが増えていくと磯焼けを起こし海の砂漠化が進んでしまいます 今までは癖があって食べられなかった黒島のウニを、美味しく商品化していきたいという取り組みです
「ジビエプロジェクト」
獣害となるイノシシなどをジビエ活用するプロジェクトです
杉野さんご自身も猟師の免許をとって進めています
今後は食肉解体処理施設などが必要になってくるそうです
「耕作放棄地 果樹の活用」
生産者さんがいなくなった耕作地などで、果物などを栽培していくことも、これから進めて行きたいひとつです
不確実性の出会い
ゲストハウス黒島は、このようなプロジェクトの拠点であり、宿泊した人たちの出会いの場です
宿泊すると誰と出会うかわからない不確実性の面白みがあり
仲良くなって再会したり、商談が始まったりすることもあるそうです
ビジョン
「世界に10の湊をつくる」
今後の日本が抗えないものは人口動態(人口の自然減)です
少なくなっていく人が集まる起点をどう作っていくのか
都市部の方々の想いをどう受け止めていくか
人やものが集まる場である「湊」の存在価値が重要だと杉野さんはおっしゃいます
今後は第二の湊として、長野あたりに「山の湊」をつくりたいとも構想されているそうです
国内に3つ、大陸に1つずつ、湊を増やしていきたいというビジョンです
夢
「チーム湊」
湊に関わる人たちが乗組員です
今は数人しかいませんが、どんどん増えていき、みんなで世界の湊を巡るのが杉野さんの夢です
とても壮大なロマン溢れる夢だなと思いました!
杉野さん、お話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
番外編
時間の関係で、バリューはお聞きできませんでしたが、ゲストハウス黒島のSNSをチェックいただき、大切にしている想いもぜひ感じてみてください