豆腐にこめた奥能登の静かな執念 エステフーズヤチ
お話をお聞きした人
これまで
谷内さんは6年前に代表になり、卸売が主流だった豆腐販売を、直接販売に移行してきました
それは、売り歩くことがアイデンティティだった豆腐販売に立ち戻ったことでもあります
飛び込み販売で顧客を増やす
祖父の代から60年お届けてしている顧客もいらっしゃいましたが、お客様を増やすべく一軒一軒に飛び込みの訪問販売も行いました
着実に増えていったお客さんの喜ぶ顔が見えることや、作った豆腐の感想ももらえることがやりがいだったそうです
父との衝突も厭わない執念
経営方針について、先代のお父さんとも衝突したそうですが、「父親よりも強い想いがないと、自分のやりたいことができない」と、お父さんよりも早起きして仕込みに専念するなど、行動と執念で豆腐作りや経営を続けてきました
お客様の顔が見える豆腐作り
「豆腐は毎日変わる」
「大事にしてきたのは、お客様の声」
「大手がやらない豆腐作りをしたい」と谷内さんはおっしゃいます
コクや香りをより良くするために、大豆を水に漬ける時間を分析して改善をしてきました
自分が作った豆腐を自分で売る、それを喜んでくれるお客様の声から、また美味しい豆腐を作るという「あきない」を進めてきました
2024年
着実にお客様は増え、谷内さんが入社した当時の売上4千万から、三倍の年商1.2億円が見えてきた時、震災は起きました
強みである「配送」ができない
事業の再開ができたのは4月2日、約三か月の休業を余儀なくされました
お客様も従業員も避難されているため、配送や製造も見直して、少ない人数でもできるよう工夫しましたが、道路状況も悪く、配送は倍以上の時間がかかりました
「もう商売はできないかも」と考えることもあったそうです
それでも、少しずつ街も復旧する状況をみて、希望を感じたそうです
豆腐で絶望を希望に変えたい
なるべく早く復旧して「能登でも生活できる」ということを体現したいと谷内さんはおっしゃいます
金沢に避難しているお客様に、避難先まで豆腐を届けています
その根底には、住み慣れた地元から離れた環境にいらっしゃる方々にも、能登でいつも食べていた豆腐を食べてもらうことで、ふるさとを思い出してもらいたいという想いがあるからです
移動販売車が通ると、追いかけてくれて、泣きながら豆腐を買ってくれるお客様もいらっしゃったそうです
未来に向けて
事業を通じて、能登に住む人の基盤となる
エステフーズヤチが存在する理由は、「従業員を幸せにすること」
その為に良い環境を提供したい、もう一度能登で生活できる基盤を作りたいと谷内さんは考えてます
それを実現する為にも、事業を大きくする、従業員が生き生きと働くことができる震災前よりも良い会社にしたいと強い執念をお持ちでした
谷内さん自身も、能登を応援してくれている取引先様や関係者に感謝しています
過疎化は進んでいますが、生活の基盤を維持していくためには、外からの力・関係者人口を増やして、能登を外に発信していくことが必要だとおっしゃってました
能登の魅力
「人間関係」
地震はマイナスだが、プラスなことも体験できたそうです
心の許し合えるご近所付き合いが能登の魅力です
集落で不幸が起きれば、少しでも知ってる人は悲しみ、自分が生きてることを誰かが喜んでくれる、そんな人間らしいやさしさです
震災後、避難していた金沢から谷内さんが帰ってきた時、普段は挨拶程度だった集落の人が、自分や家族の無事を喜んでくれたことを忘れられないとおっしゃいます
谷内さん、ありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?