日本国外の文芸・時間旅行その2
『エリアンダー・Mの犯罪』 ジェリー・ユルスマン
文春文庫から出ていた、時間旅行/歴史改変SF。
現在手元にないのですが、作者が何者であるか、翻訳者も編集者もよく知らなかったみたいで、名前(筆名)などから、民族的、政治的な何かを見てきた人ではないかと推測される。
あらすじ的には、SFなのですが、構成や手法は、実験的要素もあり、現代文学系の人が、SF的な話を描いたように思われます。
(そういえばキングも、『キャリー』は、実験的手法を用いた作品で、文学的野心があったように思われる。これは第一長編とされるが、のちの大活躍を考えると、短編だったのかもしれない。)
それはさておき、告白や、移動する視点、ポルノグラフィー的要素など、作者の主眼がSF的な改変よりも、歴史と個人、その改変によってあり得た何か、その世界によって、現実の歴史を照らすことにあったように思います。
だからこれは、歴史小説かもしれません。