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障害者の働く意義と権利
総合リハ vol.52 no8 Aug.2024
普段自分は、脳卒中などの中途障害になった方のリハビリを提供している。
年齢層も5-6年前と比べると下がってきている印象もあり、40代や50代で発症している方も多い。
そうなると最大の関心ごとは、当然のように「再び働けるのか」といった問題となる。
身体の麻痺、高次脳機能の低下を中心に、私生活から社会参加までに与える影響は大きい。
今回読んだ論文は、「障害者の働く意義と権利」というタイトル。
少し整理しておきたいと思う。
● 障害者就労の現状
・一般就労のうち、民間企業で働く障害者
2023年に、初めて法定雇用率を上回った。
法定雇用率2.3%⇨実雇用率2.33%
背景には、精神障害者20,533.5人増加(前年比18.7%増加)の影響が大きいとされている。背景には、法定雇用率の対象が2018年から精神障害者も対象になったことも指摘されている。(元々精神障害者の方も多く存在しているが、絵制度の遅れが故の現状の増加とも考えられる。)
就労移行支援事業所の利用に関しても精神障害者が7割を占めていることもあるなど、支援制度の活用も増えていることが、雇用者数増につながっていると説明されていた。
● 一般就労でも、小規模事業所や、公的機関ではどうか
・国(雇用障害者数;9,940.0人 実雇用率:2.92%)
・都道府県(10,627.5人 2.96%)
・市町村(35,611.5人 2.63%)
・都道府県等の教育委員会(16,999.0人 2.34%)
・独立行政法人など(12,879.5人 2.76%)
公的機関や教育委員会は、民間より法定雇用率も高く、それぞれ2.6%、2.5%となっている。
● 福祉的就労の現状
・就労継続支援A型(82,329人 前年比5.2%増)
・就労継続支援B型(319,116人 同7.1%増)
・就労移行支援(35,857人 同0.7%増)
全体的に利用者も増えており増加傾向にある。
● 障害者の働く意義
今回の論文には以下の三つが、障害者の働く意義として書かれていた。
でもこれは障害者に限ったことではなく、自分たちもそのまま適応される考えだと感じた。
決して人ごとではないなと考えながら、支援をしていきたいところ。
「生活の糧を得る」
これは言わずもがなというところ。
ただ、障害者の平均賃金は低く、一般就労でも一般労働者の平均31万8,300円の4-7割程度である。
ちなみに、就労継続支援A型は83,551円、B 型は17,031円となっている。「他者との人間関係の豊富化」
誰しも、自分の存在価値が認められる経験や、居場所は必要である。
働くことでそれらが得られるとするならば、働く場は非常に大きな意味を持っていると思われる。
確かに自分たちも、自宅以外に自分の価値を示すことができる場所として職場があるのかもしれない。「自己実現」
これも皆共通かなと。
誰しも就職したての頃は、右も左もわからずに働き始める。
それが、数年経験して働くということが分かり始め、仕事も覚え始めると「こうなりたい」「こういうことがしたい」といった希望のようなものがで始める。
障害者であってもそれらは共通である。
初めは支援者に言われるがままに始めた仕事であっても、もっと違う仕事がやりたい、違う部署に行きたいなどといった希望が聞かれるかもしれない。
そういった方々の、働く意義が感じられる働き方になっているかはこれからの課題になるだろう。
今回は障害者の働く意義と権利について論文を抜粋して記載しました。
働く人を支援する、人生に納得感を持つためにも、外せない内容でした。
今の自分の職場で何ができるか、今一度考えていきたいと思います。
それでは!!