見出し画像

英文医学論文査読にAIを活用し、論文作成に活かす


はじめに

英文症例報告の査読依頼が来たのでNotion AIを使って効率化を図ってみました。
まず自分の考えで査読したことと、内容から査読論文が特定されないこと、査読作業の補助として試験的に行ってみた内容であることをことわっておきます。

現在の医学論文の査読における問題点

現在の医学論文の査読における問題点は以下のとおりです。

  1. 査読者の偏り: 査読者の個人的な意見や専門分野によって、公平性が欠如することがある。

  2. 透明性の欠如: 査読プロセスが匿名で行われるため、透明性や責任が不足することがある。

  3. 質のばらつき: 査読者の経験や専門知識の差によって、査読の質にばらつきが生じることがある。

  4. 報酬の欠如: 査読者への報酬が少ないため、モチベーションの低下や質の低下の原因となることがある。

  5. 査読プロセスの遅延: 上記の要因のために査読者が決まらず、査読プロセスが長期化し、論文の公開が遅れることがあります。

AIを利用した査読プロセスの試み

ではAIを利用したらどうなるでしょうか?可能性のあるのは下記の利用です。

日本語要約
英語要約
問題点の列挙
英文の誤字脱字、意味が通らないところ

まず、機密は保たれるか?

他人の論文を勝手に世に出してはいけません。となりますと機密情報であるために、外に漏れるかもしれないことはできません。当然著者の名前や所属は消しますが、Notion AIはワークスペースやその中の情報を考えてくれるのでWebベースのほかのAIより安全であろうと考えられます。

要約機能

まず、日本語、英語要約することで内容を漏れなく理解することができます。送られてくるのはたいていWord形式のものをPDFにしたもので、読みにくいのでちょっとしたことでも網羅してくれます。
さて問題点の列挙です。

  1. XXの正当化: この文書はXXの実施について述べていますが、これらの手技を行う必要性について十分な正当化がされていません。患者の状態やリスクを考慮した詳細な理由が示されると、議論が強化されます。

  2. 代替治療オプション: 代替治療法との比較が十分には行われていません。潜在的な代替治療法とその関連するリスクと利益についての議論が追加されると、分析が深まります。

  3. 技術的詳細の一貫性: 手技に関する技術的な詳細が一貫していません。例えば、最初とX回目の治療で使用されたステントやバルーンの具体的な種類やサイズが明確に区別されていないことがあります。両方の手技に関わる機器や手順の詳細を一貫して記載することで、明確さが向上します。

  4. フォローアップの詳細: 文書では、患者がXか月のフォローアップで無症候性であったと述べられていますが、その期間を超えた詳細なフォローアップデータや結果が提供されていません。長期フォローアップの結果を含めることで、手技の有効性と安全性についての包括的な理解が得られます。

  5. 統計的な裏付け: 文書では一部の主張には統計的な裏付けや引用が提供されていません。関連する研究への言及を含めることで、これらの主張の信頼性が強化されます。

  6. リスク軽減戦略: 手技中に実施されたリスク軽減戦略についての詳細な議論が欠けています。潜在的な合併症がどのように管理または防止されたかについての説明を充実させると有益です。

  7. 患者選択基準: この患者がその手技に選ばれた具体的な基準が明確に述べられていません。この患者が適切な候補者となった特定の要因を明確にすることで、症例報告の堅牢性が向上します。

  8. 手技結果の比較: 他の治療法と比較することで、利点と潜在的な欠点の評価がより明確になります。

  9. 技術的実行可能性: 文書では主張を裏付ける技術的な詳細が十分に提供されていません。成功率、技術的な課題、およびそれらがどのように克服されたかについての情報を含めると価値が増します。

  10. 患者の同意と倫理的配慮: 文書には患者からのインフォームドコンセントが得られたかどうかや、同時手技に関連する倫理的配慮についての言及がありません。これらの側面に触れることは、包括的な症例報告にとって重要です。

まあそれはそうですが、症例報告にしては厳しすぎます。症例方向の積み重ねが一連の研究を生むので、最初からこれらをすべて満たしていたら苦労しません。一部は採用できるかなと思いました。

誤字脱字の指摘

誤字脱字、これもなかなか便利ですね。確かに指摘点はその通りです。過去形の文章の中に現在形が混じっていたりしているのを瞬時に見つけてくれます。

ではAIの査読で十分か?

では世の査読者不足もあり、AIの指摘点だけで十分なのか?AIでチェックすれば人間の査読者はいらないか?みたところそうではなかったです。症例報告と研究論文の役割の違いによって、求めるものが違います。1例の経験では述べられない高度過ぎる指摘です。付随する手技での薬品の情報が不足していることは指摘していませんでした。即ち今の段階のAIは書いてあることにある情報の整合性、理屈の正しさは示すものの、その背景の背景にある書いてないものについて、「書いたほうがいいのでは」という判断はまだわからないのでしょう。

展望:論文作成に反映させる

逆に自分で論文を書く時には、本人はその内容に夢中になっているので、説明不足や論理の飛躍がどうしても生じます。そのため他人に読んでもらうという作業が必要です。ですが、みな自分も完璧なことは言えない、とあまり細かくは指摘しません。なのでこれらの手順から第三者的にAIが読んでくれることは、論文を出す側にとってもいいことであろうと思います。

AIと医療を臨床医学から真剣に見つめています。問合せ、メルマガ登録、執筆依頼、講演依頼は下記からお願いします。


いいなと思ったら応援しよう!