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借金玉も知らない、(発達)障害者の本当に厳しい世界

発達障害者のスターといえば、インターネットでは借金玉氏をおいてほかにいない。これは明白な事実である。

https://twitter.com/syakkin_dama?lang=ja

しかし借金玉氏は本人も認めるようにADHDで、これは炎上覚悟で言わせてもらえば「障害の中ではとても恵まれた」障害になる。発達障害者の中で限定してもそうである。

ほとんどの発達障害者はまずどこかしらの時期に発達障害であることを自覚し、また、病院で診断を受けることで強制的に「障害受容」させられるのである。

ここで発達障害がどこで自覚することになるかが鍵になってくるが、ADHDは「学校」、ASDは「就職活動」であるというのが筆者の体感である。

(子供の発達障害と大人の発達障害では全く別種と言っていいのではないか、という意見はツイッター有名人のPsycheRadio先生も言っているが同感である。)

ところで借金玉の発達障害についての言説を読んだことはあるだろうか、是非検索などを活用して流し読みでもいいので一読いただければと思う。

ASDの方にはわかると思うのだが、借金玉の記事には「面接の突破方法」「就職活動で100社落とされる辛さの乗り越え方」みたいなニュアンスはない。そう、ADHDの彼は就職した「後」の話しかしていないのだ、これは彼が実際に就職活動でそれほど苦労しなかったからだろう。

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発達障害者は基本的に就職活動に苦労するので、就労移行支援施設などに通ったり職業訓練校を経由して就職を続けるコースが多い。「いかに就職するか」「オープンなのか、クローズなのか(職場に障害を公開するかどうかということ)」がASDの常に最大の悩み事なのだ。この意味で、借金玉というのは「強者の発達障害者」「障害者の成功例」と言っていい。

このツイートはとてもよくわかる。そして個人的には「障害は個性」というのは「障害者が自分で掲げるスローガン」としてのみ認められるものであって、決して「健常者が障害者に向けて投げかける言葉ではない」と思う。

例えば知的障害者の障害としての個性とは何だろうか?

基本的に知的障害者の「知的障害」の部分が「個性」として昇華されることはほぼない。知的障害とは「知的発達の遅れ」であって「個性」たり得ない。

知的障害者アートなんていうのは唾棄すべきものであると思う。なぜならばこれは知的障害者というストーリーを消化しているものであって、アート単独としての価値を評価されているものではないからだ。また、仮に価値を認められる例があったとして、100人に適用できるモデルケースとなるだろうか?100人の知的障害者すべてが芸術家として十二分に食っていけるほどの収入を得られるアートという「労働」はあり得るだろうか?私はあり得ないと思う。これは24時間TVで寄付金集めのためにダウン症児が見世物小屋に入れられてアイドルと一緒に踊らされ晒されて「同情を集めて」視聴率を稼ぐのと同じ類型であると思うからだ。

発達障害者は制度上精神障害者という枠組みの中に入る。そして精神障害者が障害者雇用義務の中に入ったのはつい最近である。

障害が個性ではなくその人の足を引っ張るものである以上、就職活動は困難を極め、おためごかしの就労移行支援施設で「自己理解セミナー」を何百回受けたところでそれは「障害をいかに隠すか」の訓練でしかない。障害者のジャパニーズドリームは、最近拡大された公務員試験に合格して公務員になることしかないと思うが、発達障害者はそれでも職場に定着するとは限らない。それでも、面接という「最大の敵」によって民間企業に意味もわからず落とされ続けるASDにとっては福音であるし、小さい枠を奪い合うしかない。ただ、発達障害者には知的障害を併発しているケースもあり、また、知的障害と認定される基準のギリギリ上になってしまい知的障害としては認定されないという「境界線上の障害者」のケースもあり、この人に公務員試験勉強を強要するのは難しい。また、公務員試験には障害者枠にも年齢制限があるのが普通で、職歴なし45歳みたいな例は就労継続支援A型などを受けつつ障害年金を受給するというのがメインルートである。

発達障害者は時の経過と共に増加の一途をたどっているが、知的障害者前提で作られた日本の障害者福祉の中では発達障害児の教育支援もままならない。そうした苦しみの中で一部成功者側の身体障害者と発達障害者が「障害は個性」「障害は甘え」などと障害者側から圧迫する言説を発進することで障害者に二重の苦しみが発生する。こういった「障害者ブランドのフリーライド」は厳しく糾弾するべきだ。

障害者福祉の問題点はまだまだいくらでもあるが、障害者福祉の予算拡大と機能拡大がされ続けることを祈るのみである。

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