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「究極の身体」 高岡英夫著
20歳ぐらいの時に「コーチングクリニック」をよく読んでいて、毎号この本の広告がどーんと載っていて毎号毎号載ってるもんだから単行本を買って読んでみたのですが、当時は「とりあえず腸腰筋とハムが使えればいいのね。」と雑な要約をした記憶があります。そこそこ文量のあるこの本を一言にしておくのは、なんか良くないんじゃないかなと思って手元に文庫本があったので久しぶりに読み返しました。
マイケルジョーダンやタイガーウッズ、マイヤプリセツカヤ、武原はんなどを引き合いに出して究極の身体とし、そのような高度な身体操作ができない体をレギュラーの身体と分けて、手足腰足各関節での違いを書かれています。2006年の本なので中心の多重化、甲腕一致などは2025年的感覚ではテンセグリティ、スキャプラプレーンやゼロポジションなど多くのトレーナーが知るところで新鮮さはありません。しかしこの本に書かれている内容を著者が生み出した事は多分画期的で、
・軸の獲得として頭のてっぺんから吊られてるような意識
・腓骨筋は外反底屈だけでなく衝撃吸収の働きをする。脛骨で体重を支え腓骨でショック吸収
・手の指は指で動かすのではなく中手骨から動かす意識で大きく使える(本書では前腕の中まで5本に分化)
上記は実際に今まで同業諸先輩(AT、鍼灸マッサージ師)から指導受けた際にも言われた事があり、当時影響力もあったのだと思います。
ハイパフォーマンスを出すには軸と重心が正しくなければいけず、実践できている人間は地球の中心部からの延長腺が頭頂部まで突き抜けている。この軸がブレると大腿四頭筋はじめブレーキとして働く筋の緊張が高まり脱力ができない。骨と筋肉の分化を明確にして支持するのは骨。脛骨直下、骨で立てばハムストリングス、腸腰筋に軸が走る。インナーが使えればアウターの脱力がねらえる。アウターの脱力はパフォーマンスを高める。このあたりの論は今でもかなり芯を食い続けているのではないかと思いました。
究極の身体とレギュラーの身体という二項対立表現にキャッチーでマーケティングなそれを感じるし、どやっててうんざりな部分も正直ありますが、一言で要約するにはもったいない本です。