仕事・役者・演技

稼ぐ営業マンがいます。
彼の最高年収は2000万円。
そんな彼が顧客と電話をしている様子を聞くことがありました。
仕事がうまくいっている男の電話です。
これを逃す手はない。
まず彼の話し方には抑揚がありました。
声は普段の声よりワントーン高く、そして抑揚をつけて話すから、聞いていて気持ちが良いし聞き取りやすい。
これは役者のセリフにも通ずると思いました。
ドラマや舞台の役者も、セリフを発する時はわざとらしいぐらいに抑揚をつけます。
日常生活であんなに抑揚をつけて話したら煙たがられますが、ドラマや舞台ではそれで丁度良いぐらいです。
ではドラマや舞台で日常の話し方をしたらどうなるか。
人はそれを「棒読み」と言います。
そして「あいつは大根役者だな。」と鼻でせせら笑います。
役者とは日常よりも大袈裟に声を発し、演じるのです。
自然派などという役者がおりますが、あの考えは何ともおかしい。
そんな面持ちでやられたら、それはただ通りすがりの人を見させられているに過ぎず、演技でも何でもないのです。
自然に見える演技をしているのならばまだわかりますが、単なる自然はただの日常です。
演技とはまさしく演じることであって、日常とは演じているものではありません。
さて、抑揚と言えば外国語にもそれを見ることができます。
例えば英語や中国語、それらには抑揚があります。
そして彼らは人付き合いに長けているような気がします。(そりゃ人は色々でしょうが)
もしかしたらそれは声や話し方に抑揚があるからかもしれません。
抑揚があるから感情がわかりやすいし、明るい話題なら、その抑揚と相まってこちらも楽しくなる。
抑揚のある話し方は人をハッピーにさせるのかもしれません。
もちろん怒っている時の抑揚は怖いですが。
日本人は何を考えているかよくわからないと言われます。
そこにはもしかしたら抑揚のなさも影響しているかもしれません。
単に自分の意見を表明しないということもあるかもしれませんが、声の抑揚、言葉に抑揚がないことも、相手によくわからない印象を抱かせる一端のような気がします。
さて、稼ぐということ、仕事ということは常に演技であります。
仕事とは演技なのです。
あなたのその係は役であって、あなたはそれを全力で演じ切る。
そこにお客からの拍手喝采があって、初めて銭をいただけるのです。
お客から何らの銭もない場合、それはあなたが棒読みの大根役者であることの証明です。
つまりあなたは演技をしていない日常人であるということなのです。
だからお客は銭を寄越さない。
私も仕事の電話の時、抑揚をつけて話をします。
しかし一向に年収は上がりません。 
それは私が棒読みの大根役者であることの証明ということでしょう。
いや、待て。
この俺の話し方でお客の気持ちを掴めないはずがない。
ふん、そうだ、どうせあいつは裏で何か悪いことでもやっているに決まっている。
そうでもしなきゃ、あんなに稼げるわけがないじゃないか。
稼げない奴の僻みやっかみは何とも見苦しいものです。
そして不平不満を垂れる時に限って、人は抑揚たっぷりに声を発し、憂さ晴らしをするのです。
はー、スッキリした。

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エアーマン
ごめんなさいね〜サポートなんかしていただいちゃって〜。恐縮だわぁ〜。