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「僕が電話をかけていた場所」「君が電話をかけていた場所」感想
三秋縋さんの「僕が電話をかけていた場所」「君が電話をかけていた場所」を読了したので感想でも書こうかなと。
ネタバレしないと感想書けないので、未読の方はブラウザバック推奨です。
〜〜〜
いやー、面白かったです。
今まで「スターティング・オーバー」「三日間の幸福」「いたいのいたいのとんでゆけ」の3冊を読んできて、個人的面白さランキングをつけるなら「スターティング・オーバー」より上だけど「三日間の幸福」「いたいのいたいのとんでゆけ」程ではない、って感じかな。
まぁ僕がメリーバッドエンドが好きなだけかもしれませんが……でもたまには王道なハッピーエンドもそれはそれでいいですね。
ただ、主人公の深町とヒロインの初鹿野は幸せになっても、萩上、つまり不老の娘はまた海の底で一人暮らすのかなって考えると少し切ない……そういう意味では完璧なハッピーエンドではやはりない。
上巻の萩上と夜のプールに忍び込むシーンが本当に好きだったから……
夏の情景、三秋さんの言う「正しい夏」の美しさがこれでもかというほど表現されているお話でした。(特に上巻!)
それだけでも読む価値がある。
最後の萩上が伝説上の不老長寿の娘だった、っていうのは驚きだった。僕が普段読むジャンルはリアリティ重視な作品が多いから、少し「え?」ってなっちゃった部分はあるんだけど、もしそういうのに抵抗がない人ならもっと面白く感じるかも。
あと「じゃあ今までの萩上とのやりとりは深町を誘惑するための嘘だったの?」と思っちゃった。いや、決して嘘じゃない。萩上本人も、自分が何者かを忘れてしまうほど「萩上千草」になっていた、と言っている。萩上は深町に恋をした。
だから決して萩上との時間は虚構なんかじゃないけど、それでもどこかそう思ってしまった部分があった。だからちょっと個人的ランキングは低めになったのかも……
僕の白黒思考の良くないところが出てる。
まぁあと、上巻を読んでから下巻を読んだのが1ヶ月後だったていうのもあるかも。多分僕が見逃しているだけの伏線は沢山ある。それをちゃんと理解すれば、また抱く感想は変わるかもしれない。
いくつか疑問に思ったのが、
1. 初鹿野にはなんで痣が出来た?
2. なんで初鹿野は記憶喪失後に現れた「檜 原」が深町であることに気づけた?
3.檜原が初鹿野を嫌悪している?
1つ目は、最初電話の女との取引の結果、深町の痣が消える代わりに初鹿野に痣が出来たのかと思った。でも結局、萩上のしたことは深町の痣が早く消えるよう時間をちょっと弄っただけだ。普通に自然発生したのかな?それとも明記されていないだけでこれも萩上のしたことの一環なのか。
2つ目は、別に凄い疑問に思ってるってわけじゃない。ただ、なんでだろうなぁ……っていう。初鹿野が日記を読む&深町と時間を過ごすってことで気づいた、ってことになってるけど何がきっかけだったんだろう?
3つ目も大した話じゃない。ただ、エピローグに「千草が消えて檜原が初鹿野に抱いていた嫌悪感も解消された」みたいな文があったけど、そうだったっけ?檜原はむしろ初鹿野を天文仲間として良く思ってた気がするけど……
これは読み返さないといけないな、うん。
アンデルセンの人魚姫と福井の八尾比丘尼伝説をベースにした物語というのは面白かった。ある意味、古典文学(伝承だって文学だ)の再解釈とも言える。
それにしても深町くんと檜原くん、あなたたちタバコ吸いすぎですよ。
健康のために1ミリにしときなさい。(適当)