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手渡されたのは光る種。手のひらで月明かりに青く輝くひとにぎりの種を見て、彼女は代わりに先ほどスーパーで買ったツナ缶を差し出しました。水色のキッチンカーのカウンターから伸びた黒い前足が彼女から代金を受けとります。エプロンをした店員の顔に彼女は見覚えがありました。月に冴える瞳は種と同じ青色が灯っています。彼女は何もかもがうまくいかなかった今日の始まりに思いを馳せました。 朝。自宅のベランダに迷い込んだ黒猫と彼女は目が合いました。野良猫はお腹を空かせているようだったので、朝ごは