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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2021年10月の記事一覧

【アルバム紹介】D>E>A>T>H>M>E>T>A>L / Panchiko (2000)

 今回紹介するのは、イギリスのインディーロックバンド "Panchiko" のアルバム "D>E>A>T>H>M>E>T>A>L" です。  この人を食ったようなアルバムタイトルがナードっぽくていいですね。  ローファイで気だるいサウンドやサンプリングの多用など、90~00年代のエッセンスを確かに含んだ良質なインディーロックのアルバムです。今で言うところのベッドルーム・ポップにも近いノリかもしれません。  しかし、このアルバムで注目すべき点はそこだけではなく、むしろ「発

2021年おすすめ新譜アルバムVol. 72: KM「EVERYTHING INSIDE」

新譜アルバム紹介Vol. 72です。 今回紹介するのは、東京のプロデューサーのKMがリリースした「EVERYTHING INSIDE」です。 KMは東京出身のプロデューサーです。 13年のEP「AM "4​:​55 EP Vol​.​1」など、10年代前半からSoundCloudやBandcampでエディットやインストを精力的に発表。ZEN-LA-ROCKやJoystickkなどの作品への参加を経て、15年にはラッパーを迎えたEP「滲まない / edge vol​.​1

¥100

#22 音楽史⑰ 【1950年代末~60年代初頭】 ティーン・ポップの時代

クラシック音楽史から並列で繋いでポピュラー音楽史を綴る試みです。このシリーズはこちらにまとめてありますのでよければフォローしていただいたうえ、ぜひ古代やクラシック音楽史の段階から続けてお読みください。 リズム&ブルースから発達して1950年代に起こった「ロックンロール」のムーブメントは、スキャンダルなどによって数年で収束してしまいました。典型的なポピュラー音楽史では、その後「ビートルズの登場」まで「"つまらない音楽"にチャートを占められてしまう」というような形で、1960年

ジャズの歴史・前編(初期ジャズ~フュージョン誕生まで)

この記事の内容は、以下の音楽史シリーズからの抜粋・再編集になります。この音楽史シリーズではクラシック史・ジャズ史・ロック史・ブラックミュージック史などを、分野ごとではなく時間軸ごとに切り取って並行で書いていくことを試みているので、範囲が広範になり、分野ごとの流れは途切れ途切れになってしまっています。そこで、今回はジャズについての部分のみを切り取って繋げてまとめなおしてみました。 ジャズに影響を与えた他ジャンルについては、その時代ごとに元記事でも別途詳しく解説しているはずなの

Universal Language

10月6日にJazztronikの6曲入りEP "Universal Language"の配信がスタートしました! 初のトリオアルバム今回は初のトリオアルバムです。トリオと言うとどうしてもジャズのトリオをイメージしがちですが、Jazztronik trioは全く違います。なのでいわゆるジャズトリオ的なものを期待して"Universal Language"を聴いてしまうとちょっと違うかもしれません。長年一緒に音楽をやっているベースの藤谷一郎、ドラムの天倉正敬と僕の3人で作った

資本主義と音楽|ポップミュージックが描く現代社会の光と闇

今回は、資本主義と音楽というテーマで、現代の資本主義を鋭く風刺したRina Sawayama「XS」と、現代の全体主義的社会を皮肉ったKaty perry「Chained to the rhythm」について、書いていこうと思う。 前回、前々回のnoteではフェミニズムと音楽というテーマで和訳しつつ歌詞解説していく形で紹介していたが、今回は資本主義と音楽、というテーマを軸に書いていきたいと思う。 血縁を超えた愛情関係を肯定したRina Sawayama「Chosen Fa

台湾最大級の音楽賞にして、「インディー」に焦点を当てたGIMAを、キミは知っているか? エントリーの仕方などを、2022年1月刊行予定『アジア都市音楽ディスクガイド(仮)』収録コラムより一部抜粋してお届け!

金音創作獎(Golden Indie Music AwardsまたはGIMA)とは?音楽賞といえば、世界で一番有名なのが全米のグラミー賞だが、台湾でグラミー賞にあたるのが、金曲獎(Golden Melody Awards)。それに対して、本記事で紹介したいのは「金音創作獎(Golden Indie Music Awards)」(以下、GIMA)だ。「創作」という単語が入っているように、アーティストの創造性にスポットを当てたアワード。音楽に関わる各フィールドのスペシャリスト

唯一無二の存在感!北九州在住のミュージシャン/アーティスト “lee (asano+ryuhei)“

福岡の音楽とユースカルチャーを発信する番組、FUKUOKA COLLECTIVE。 10月は、北九州在住のアーティスト lee (asano+ryuhei)をPICK UP!! 唯一無二なサンプリングセンスとドラムパターンでビートを制作、MCとしても活動する傍ら、ドローイングを中心としたアブストラクトな作風で多種多様な作品を制作するなど、音楽以外のアーティストの顔を持つ lee (asano+ryuhei)の素顔に迫る。 6月のFUKUOKA COLLECTIVEで特集

【WAW洋楽】🍁おいしいお酒や食べ物に合う、秋のリリース作品特集🍁

10月は怒涛のリリースラッシュです! ColdplayやEd Sheeranのアルバムなど、ビッグなタイトルが続々とリリースになります!そんな中、10月8日は あのお酒の日!! という事で、お酒を嗜む時に合う今月リリースの楽曲をご紹介!今回の#WAW洋楽はお酒が飲めないあなたも、「#食欲の秋」にちなんで、おいしい食べ物にも合う音楽を聴いていつもと違う素敵な日々を演出しちゃおう!特集です♪ お酒のお供に食べるスナックに合う! まず、1曲目はColdplayとBTSのコラボ

台湾的音楽 呂薔Amuyi 歌声の音域と揺らぎが美しい女性シンガー

台湾アーティストを紹介するシリーズ。 またもや、バタバタとしてしまいまして、更新が滞っていました…。良くない。 今回のアーティストは、呂薔Amuyi 台湾の女性シンガーです。 彼女の名前を知ったのは、別の原稿を書いている時に、今年(2021年)の金曲奨で、YELLOW黄宣が最佳編曲人獎 (編曲者賞)にノミネートされた楽曲「你是不是誤會什麼 (Miss understanding)」のシンガーは誰だろう?と調べたことからでした。 「你是不是誤會什麼 (Miss under

シタールの神様 Pt.Nikhil Banerjeeのこと

※ このアーティクルは2021.10.14の音や金時インド音楽ライブ配信の投げ銭用プラットフォームとして書かれています。最後まで無料でお読みいただけますが、ご購読いただけると演奏者一同喜びます。また、記事下のサポートボタンからは100円単位で任意の金額が選べますので、もっと払いたいぞという方も、そんなに払いたくないという方も、どうぞご活用ください。 【ライブ情報】 ■ 2021.10.14(木)西荻窪 音や金時 19:00開演 2500円 《出演》 寺原太郎(バーンスリー

¥1,500

『おかえりモネ』 楽曲解説 4

サントラ第2集、4枚目。 前半は、百音が東京に出て羽ばたいていく前向きな曲を集めました。 後半は、汐見湯でのゆったりとした日常を。 1. 空の物語 (歌:坂本美雨) The Story of Sky 東京篇の大きなテーマとして、「空」が掲げられていました。 (登米篇では、「循環」「山」「海」というテーマでした) 「空」というのは、山と海をつなぐ空であり、百音が気象予報士として東京で羽ばたいてゆく、希望に満ちた空です。 登米篇で作っていた『あすなろ』というメロディー

Diary (Playlist) 2021/10/29

(ほぼ)毎週10曲更新予定。コメント短めでプレイリストメインです。 最後にプレイリスト貼ってます。 You Don't See Me /  Teeth Agency 今年3月にAL『You Don't Have To Live In Pain』をリリースしたTeeth Agency、今年2021/11/19にも新譜『Cherry Blossom Child』リリースとのこと。ターキッシュサイケのチル的解釈というか荒ぶるローファイサイケ感強かった前作から一変、先行公開曲は激チ

「老舗=高級ブランド」の固定観念を壊すーショパン国際コンクールで優勝者が弾いたピアノ

高級ブランドには歴史が必要と思っている日本の人が多いです。ただ、ここで注意です。ハイエンドを支える歴史とは社会で共有している歴史を指し、企業そのものの歴史を指すのではありません。しかし、「老舗=高級ブランド」と思い込んでいる人が意外に多いです。これによってハイエンドやラグジュアリーのスタートアップとの発想が生まれにくくなっています。「いや、社歴じゃないんだよ」との事例を以下、お話しましょう。 10月21日、ショパン国際ピアノコンクールの入賞者が発表されました。若手登竜門の世