近藤哲朗(チャーリー)さんによる「クリエイターの価値を高める『会計』のはなし」
”クリエイターが評価されるためには「会計」の知識があったほうがいい”
近藤哲朗(チャーリー)さんはそう言います。ここでいう「クリエイター」とは、イラストを描いたり映像作品を作ったりといった仕事に限らず、「創造性」を活かして仕事に携わっている人のこと。きっと、この記事をご覧の方の多くが当てはまるはずです。
とはいえ、「会計の知識」と言われると、「お金の話って、苦手……」「専門用語がとっつきにくくて……」と敬遠してしまいがち。
そこで8月17日、近藤哲朗さんをお招きして、「『つくるひと』のための会計講座」を開催し、自分の価値の創造のために役立つ「会計」についてわかりやすく解説していただきました。
かつては会計に苦手意識を持っていた近藤さんが「会計を学ぶ=簿記となりがちだけど、もっと学びたくなるような方法はないだろうか?」と考え上梓したのが『会計の地図』(ダイヤモンド社)です。会計という一見難しく理解しがたいものを、1つのフォーマットを使ってわかりやすく解説。個人で働くクリエイターも、会社勤めをするビジネスパーソンも、現代社会でビジネスをするすべての人に知ってほしい内容になっています!
イベントは、書籍『会計の地図』の内容をベースに、以下の3部構成でお送りしました。
パート1 自分は、会社にどう貢献しているか?
パート2 会社は社会から何を求められているか?
パート3 自分は、社会に何ができるのか?
本記事では、大きな視点で「会計」を理解するための、先を見通す「創造性」にフィーチャーした「パート3」をレポートします。難しい単語とその意味を覚えるのではなく、「大きなお金」の流れを知り、ビジネスにおける会計の概念を身につけていただくことが目的です。
会計の具体的な解説はイベントアーカイブまたは書籍をご覧ください。
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<社会性>と<経済性>のジレンマ
ビジネスで成功するためには<創造性>が必要な世の中になってきています。そして創造性を発揮して「価値をつくる人」になるために必要なのが、会計の知識です。
そこでここでは、視点を高く設定し会計について大づかみで把握できるよう、「大きなお金」の流れの話をしましょう。世の中の「大きなお金」がどのように動いているのかを、「ESG投資」を例に説明してみます。
話が大きすぎて自分には関係ないと思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。「大きなお金」の流れはいずれ、自分の身の回りにも影響を及ぼすからです。
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「ESG」は、「Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)」の頭文字。この3つを考慮した投資が「ESG投資」です。「環境に優しいか」「社会にとっていいものであるか」「環境や社会を守るために会社が統治できる仕組みになっているか」を考えて投資をしていくことを意味しています。
たとえば、150兆円以上もの規模で年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もESG投資をしています。
GPIFは多くの会社に投資をしているので、1社1社の株価の上がり下がりの影響は小さいですが、経済全体を揺るがすリスク(災害や環境問題、人口減少問題といった、よりマクロな問題)が起こることによって経済全体が縮小してしまうと、利回りが得られなくなります。
つまり、「大きなお金」を運用している機関投資家は「経済全体に投資している」ということになります。
「大きなお金」が流れるイメージを図解してみると、
上図の左から右に流れる形になります。
左側の「機関投資家」がESGを念頭に投資すると……
真ん中の「大企業」もESGを気にしないといけなくなってきます。そうすると、右の「中小企業」も気にしなければならなくなります。
機関投資家におけるESGがさらに進むと……
いつしか、「ESG」という言葉がなくなってしまうくらい、環境や社会を気にして投資する・経営するということが当たり前になっていくでしょう。
そうなると、
売上を上げるために、環境や社会を犠牲にした商品を安く作ることで企業価値が下がり、投資も集まりにくくなる。結果、新たな商品が作れず売上が上がらなくなる。
→<社会性>を軽視したビジネスは、立ち行かなくなっていく
とはいえ、
目の前の売上や利益を軽視して環境や社会にとって望ましい投資を優先していると、給料が払えなかったり新しい投資ができなかったりして会社が続かなくなる。
→<経済性>を軽視していると、そもそもビジネスが立ち行かなくなる
と、異なる指向性である<社会性>と<経済性>が二項対立的に立ち現れてきます。
つまり、「環境vs.経済」とも表せる<社会性>と<経済性>のジレンマを解消し、両方をバランスよく満たすことを考えていく必要があるのです。
そこで重要になってくるのが、<創造性>です。
では、どうやって「創造性」を生み出すのでしょうか?
創造性のためのフレームワーク「逆説の構造」
相反する指向性を持つ<社会性>と<経済性>の両方を満たすのが<創造性>です。
その<創造性>を生み出すためのフレームワークが「逆説の構造」です。
「逆説」というのは、「今の定説の逆」を考えるということ。つまり、「未来の定説・未来のあたりまえ」を考えるということになります。
「未来の定説」をつくる。それこそが<創造性>にほかなりません。
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これからは、ビジネスをしているすべての人たちが、<社会性>と<創造性>のジレンマを乗り越えることにもっとコミットして、どんな社会になっていくのかを見通すことが必要になります。
そして、<社会性>と<経済性>の両方を満たす<創造性>を生み出すことこそ、クリエイターが得意とすることではないでしょうか?
そのためには社会全体の「お金の流れ」を構造から理解し、「会計」の知識を持つ必要があります。これが”クリエイターが評価されるためには「会計」の知識があったほうがいい”理由です。
会計の知識が自分の価値を底上げしてくれる
冒頭でも触れたとおり「会計の勉強はハードルが高い」と感じる方は少なくないかもしれません。しかし、会計を知ることで「クリエイターは会社の(社会の)価値を底上げしてくれる大事な存在なんだ」と評価されていくことにつながるはずです。
一歩踏み出して「会計について見てみようかな」と思われた方は、ぜひ今回のイベントのアーカイブ動画をチェックしてください。
難しい単語の羅列ではなく、「会計」を視覚的にとらえた近藤さんの解説は、苦手意識を乗り越えてスッと頭にはいってきますよ!
▼イベントのアーカイブ動画はこちらでご覧いただけます
▼書籍『「お金の流れ」がたった1つの図法でぜんぶわかる 会計の地図』
もぜひ読んでみてください
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