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全力を尽くした最後の一社。大手鉄道会社の選考に挑んだ日(#多浪の就職活動編#16)
こんにちは。実質多浪の社会人ロクです。
実質6浪、24歳で大学に入学。
同年代から6年遅れた26歳からの就職活動…。
『実質6浪から大手内定を掴むまでの26歳新卒の就活サバイバル記』
ハンデを抱えた就活生や逆境に挑むすべての方に、少しでも勇気とヒントを届けたい。そんな想いから記事を書きました。
前回の話はこちら。
健康診断とクレペリン検査を受検
大手鉄道会社の最終選考として、まずは健康診断とクレペリン検査を受けました。鉄道業界、特に現業職ならではの選考過程です。
クレペリン検査は、注意力、持続力、ストレス耐性を測るための検査。一方、健康診断は身体的に問題がないかを確認する目的で鉄道業務に携わるためにはどちらも重要なものでした。
健康診断とクレペリン検査を別々の会場で受験しました。
健康診断は視力や聴力に加え、色覚の検査も含まれていました。淡々と進んでいく健康診断。合格できるかどうか手応えがよく分からず…。正直少し不安でした。
一方、クレペリン検査では1桁の数字が並んだ用紙に向かい隣り合う数字を順番に足し続ける検査をします。
スタートの合図とともに、ひたすら足し算を繰り返しました。周囲の志望者は物凄い勢いで解いている様子でした。
私は元々計算が得意ではなく、公文やそろばんの経験もないため、正直この検査に自信はありません。クレペリン検査は人生初めての経験です。
ただ一つだけ心がけたことがあります。それはスピードではなく、間違えないように着実に問題を解くことでした。これは大学で会計学・簿記を専攻した経験が活きました。
鉄道業界での選考は、体力や注意力といった業務に直結する資質を見られているのだろう…と改めて感じた経験でした。
最後の壁に挑む、最終面接への決意
クレペリン検査と健康診断を終え、いよいよ最終面接に挑みます。
これまで就活で最終面接まで進んだことは2回ありましたが残念ながらどちらも不採用でした。ネットでは「最終面接まで進めば内定はほぼ確実」といった書き込みも見かけますが、私の経験から油断はできません。
最終選考こそ本当の難関だと痛感していました。
私が過去経験した最終面接2回のうち1回は、私が多浪や年齢を理由に落とされたのではないかと感じるものでした。
今回こそは正真正銘のラストチャンス。そんな思いで自己PR・志望動機・企業研究を何度も見返し、入念に準備を重ねて最終面接に臨みます。
最終面接会場へ向かう
最終面接会場に向かうと、すでに4~5人の学生が待機しており、一次選考のディスカッションとは違う張り詰めた空気が漂っていました。
その中で待機していた1人の学生と話す機会があり会話を交わすうちに偶然にも私と同じ大学の学生であることが分かりました。彼は理系で技術職志望とのこと。短い会話ではありましたが、少し和んだ気持ちになりました。
これまでの就活では緊張続きでしたが、失敗を重ねてきたおかげか、この時は自分でも驚くほど落ち着いていました。これまでの失敗の経験が自分を支えていると感じながら、名前を呼ばれ、面接室へと向かいます。
最終面接開始
人事担当者から「10:00に面接室に入室してください」と指示がありました。
この言葉を聞き、これまで受けた会社とはまったく異なる部分を測られていると感じました。
あえて時間を指定されている。
鉄道会社ならではの、時間に対する正確さが求められているのだと思いました。
私の電波時計を何度も確認し、秒単位で狂いのない時間にピッタリとドアを叩いて入室します。
面接室に入ると、面接担当者は3人。
営業系、運輸系、人事系それぞれの係長クラスと思われる面接官です。
基本的な質問に対して、私はしっかりと回答を続け、面接は順調に進みます。ここまでは手ごたえも良好。面接官の反応も悪くありません。
しかし、面接の終盤。ついにこの質問が飛んできました。
面接官「ロクさんは高校から大学入学まで6年間空いているようですが、この期間は何をされていたのか、伺ってもよろしいでしょうか?」
この質問は私にとって何度も不採用の原因になったものでしたが、今回は落ち着いてこう答えました。
私「私は高校卒業後、3年間フリーターをしていました。アルバイトとして社会に出て初めて勉強の必要性に気づき、そこから大学を目指して一から勉強を続けました。」
私「結果的に大学に入るのに3年かかりました。周りと6年遅れて入学となりましたが、目標に向かってあきらめずに取り組みました。人よりも回り道をした分、他人の痛みも理解できるようになりました。目標に向かって粘り強く取り組む力、相手の痛みを理解し思いやれる心は他の学生の誰にも負けません。これは御社に入社後、活かしていける部分と考えています。」
自分を偽らず、力強く自信を持って答えました。この時点で、私は多浪であることを一切恥じていませんでした。
その時の面接官の優しい表情や無言の頷きは今でも忘れられません。
初めて共感してもらえた瞬間でした。
最終選考の結果を待つ
面接が終了し、最終面接の結果を待つ間、落ち着かない日々を過ごしていました。
結果を待っている間は、新しい会社へのエントリーをすべて止めていました。
もしこの会社に落ちてしまったら一度就活を休むつもりでした。そのため、スーツや就活道具一式も一旦タンスにしまい込みました。
人事担当者からの電話
最終面接から2日後、私の元に一本の電話が鳴りました。
「まさか…」と思いながら電話に出ると、電話の先は先日面接を受けた会社の人事担当者でした。
人事担当者「ロクさん、先日の面接ではありがとうございました。選考の結果、合格です。ぜひ弊社に来ていただきたいのですが、今の就職活動の状況はいかがですか?」
私は嬉しさのあまり、頭が真っ白になりました。
これまでの過去が頭を駆け巡り…うまく言葉が出てきません。
なんとか気持ちを整え、その場で内定を受諾しました。
高校卒業から約10年間、先の見えない暗闇をずっとさまよっていました。長い長い回り道を経て、ようやく人生のレールに乗り始めた瞬間でした。
続く。