ワイナリーあるある#5
『芽かきは筋トレ』
初夏の畑にて。
僕…慢性的な運動不足の30代半ば。
高田さん…都会から手伝いに来てくれる、ワイン好きなシニア男性。
僕「いてて…太ももが筋肉痛だ。」
高田「芽かきはずーっとスクワットしてるみたいなものですから、大変ですよね。」
僕「最近2日遅れで筋肉痛が出るようになりましたよ。年取ったなぁって思います。」
高田「まだまだ若いのにそんなこと言っちゃダメですよ。私は都会で歩いて移動しているからか、筋肉痛は来ませんね。」
僕「すごいなぁ。僕なんて300mでも車で移動しちゃうから、体が怠けまくりです。」
高田「それはいけないですね。鍛えなきゃダメですよ。」
僕「すみません。」
翌日
高田「いたた…太ももが筋肉痛になりました。」
僕「えっ」
用語解説
・芽かき
…新しく出てきた芽の中で不要な芽を取り除く作業。これにより残した芽に十分に栄養が行き渡る効果や、風通しが良くなり病害にかかりにくくなる効果がある。
本編解説
ワインぶどうの栽培では、初夏に芽かきという作業があります。
ぶどうの木は、母体となる枝(結果母枝)から芽が伸びて、それが新しい枝(新梢)となり、その枝にやがて実をつけるのですが、出てくる芽が必要以上に多かったりします。また、木の幹からも不要な芽が出てきます。
芽かきではこれらの芽を取り除いていくことになり、この作業が立ったりしゃがんだりの連続になります。
結果母枝の芽が出てくるところは大体腰くらいの高さにあり、木の幹については地面スレスレの位置から腰くらいの高さまでの間で気まぐれに芽が出てきます。
これを何十本何百本とやっていくので、延々とスクワットしながら歩いていくような作業になります。
そうなると当然太ももは筋肉痛になります。
普段から鍛えてたら違うのかもしれませんが。
それでも作業は続いていくので筋肉痛の痛みに耐えながら、芽かきを進めていきます。
人間の体は段々慣れていくもので芽かきの後半にもなれば筋肉痛もなくなるくらいには太ももが鍛え上がってきます。
途中でお手伝いに来てくれた他の社員とかが辛そうに作業しているのを横目に見て、スイスイ進めたりすると優越感に浸ることができます。
でも芽かきが終わると鍛えなくなってしまうので、結局一年経って筋肉は衰えて、太ももの筋肉痛がリバイバルします。
こんなことを毎年繰り返して、毎年おんなじ話をしています。
ちなみに田舎の方の人はすぐ近くの場所でも車で移動してしまいます。
僕だけかもしれないですが。
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