食いしん坊万歳
食欲、性欲、睡眠欲。
人間の三大欲求と、言われております。
確かにそんな気もするけれど、でも待てよ。
生きていくのに食事と睡眠は必須だろうが、性欲は満たされなくても大丈夫だろうがねと、思うのは私だけでしょうか。
昔は私は少食でした。
給食は苦手だし、食べるのも遅いし、好き嫌いもあるほう。ごはんもしっかりゆっくり噛んで食べるような子でした。
その後も痩せなきゃと思うような思春期を過ごすまでもなく、自然に細身だったと思う。
ところがです。
社会人になり、忙しくなり、早食いになり、時間は不規則になり、人と飲食する機会は増え。稼いだお金で好きなものを好きなだけ、食べれるようになり。
いつの間にか、先輩たちから「食いしん坊万歳」というニックネームを頂戴してしまうに至りました。
遅ればせの食欲花ざかり。それでもまだ、太ってはいなかった。むしろ着痩せする技術を覚えました。
ところがところがです。
何年も何十年も経ち。
年齢のせいか、とうとうすっかり新陳代謝が悪くなりました。でも、変わらずビールは好きなのです。揚げものも美味しい。こってりしてると顔もほころぶ。だってお仕事がんばったんだもん、食べたい。
天婦羅、からあげ、フライ、カツ丼、フライドポテト、シュークリーム、万歳。
美味しいから早く食べます。早く食べるからまだ満腹と気づかないうちに更に美味しく食べ重ねられます。すばらしい。
揚げるとカロリーゼロなんだって。サンドウィッチマンの伊達さんが言っていたからきっと確かです。
そうです。必然的に太りました。
最高体重を、更新し続けています。
スーツに通した腕がキツイなんて、
上着でさえ丈が短くて恥ずかしいなんて、
ジーンズが苦しくて穿けないなんて、
そんな日がくることを誰が想像したでしょう。
そうです、ワンピースを着た姿は、年甲斐もない妊婦さんのようなのです。
それでも食べたいものを食べることを、わたくしは我慢できない。
自分のなかの食いしん坊万歳と、折り合いがつかずに皮下脂肪をつまむ。
先程体重計に乗りましたら、見事にまた新記録を叩き出しておりました。
こうなったらもう、新記録、万歳。
食いしん坊で生きていく。