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CopilotおよびMicrosoft Designerの商用利用に関する考察

はじめに

私は画像生成の沼にはまり主にchichi-pui(ちちぷい)で画像を投稿して日々遊んでいます。ちちぷいが「AI画像専用の投稿&生成サイト」であることは多くの方々が知るところですね。画像の投稿に際し私がメインとして利用している生成AIはCopilotやMicrosoft Designerで、ときどきImageFXやideogramも利用しています。ですが、ん~、ImageFXやideogramにはアニメイラスの出力の点で少々力不足を感じています。結局、CopilotやMicrosoft Designerてことになります。

さてですが、何となく画像生成に慣れてきた昨今ですが、画像生成による収益化なんてことも考え始めました。そんなことが自分にできるか甚だ疑問ですが、ひとまずその方向で進んで行こうかなと思い始めています。


そんなわけで、Copilot生成物の商用利用に関する一般サイトの記事を読ませて頂いてます。しかし書いてあることが様々で判然としません。そこで、自分の疑問にケリをつけるためにこの記事を書いています。といいますか、そのためにnoteを始めたようなものかもしれません。

さまざまな解釈

で、一般サイトの解説を読んだ限りでは以下のような解釈がなされているようです。

  • 無料版のCopilot生成物は商用利用可能

  • Copilot Pro(有料版)の生成物は商用利用可能

  • 法人向けCopilotは明示的に商用利用可能

この「Copilot生成物の商用利用はできるの?できないの? どっちなんだい!」的問題を自分なりに解決したいわけです。

Microsoft社の利用規約

Microsoft社の利用規約は複数の文書から構成されています。Copilotの利用に適用される規約は主に以下のものがあります。主にと書いたのは、私が見逃している利用規約があるかもしれないためです。

  1. Copilot AIエクスペリエンスの使用条件

  2. Image Creator from Designer使用条件

  3. Microsoftサービス規約

AIサービス関連の規約はいくつかあるのですが、項番を付けているのには意味がありまして、規約間に矛盾がある場合、MicrosoftのAIサービスには「Copilot AIエクスペリエンスの使用条件」が最優先に適用されることになっています。以下に「Copilot AIエクスペリエンスの使用条件」から一部を引用します。

1. 参加資格と使用要件。 本オンライン サービスの利用は、本使用条件 (以下「本契約」という) と、どちらもここで言及されることにより本契約の一部となる Microsoft サービス規約および Image Creator from Designer の使用条件 (適用される範囲で) によって規定されます。お客様は、本オンライン サービスが、Microsoft サービス規約に定義されるとおり、サービスを構成することに同意するものとします。本契約と Microsoft サービス規約と Image Creator from Designer 使用条件との間に相違がある場合は、本契約の相違する規定が優先します

Copilot AIエクスペリエンスの使用条件

「Image Creator from Designer」とは、CopilotやMicrosoft Designerの生成機能そのものを指しています。ですのでここは、生成AIの画像生成機能に関する条項と考えて良いと考えられます。

重要なことですが、上記に挙げた3つ規約はCopilot, Copilot Pro, 法人向けCopilotの全てに適用されるものであり、なんぴとたりともこれらの規約から逃れることはできないということです。Copilot, Copilot Pro, 法人向けCopilotの規約が独立して存在しているのではありません。

AIコンテンツに関する規約内容

最優先規約となる「Copilot AIエクスペリエンスの使用条件」から一部を引用します。

5. コンテンツの所有権Microsoft は、お客様が本オンライン サービスに提供、投稿、入力、送信した、または本オンライン サービスから受信した、プロンプト、作成物、カスタマイズ品、指示、またはその他すべてのコンテンツ (フィードバックや提案を含む) の所有権を主張しません。ただし、お客様は、オンライン サービスを使用し、コンテンツを投稿、アップロード、入力、提供、または送信することにより、Microsoft、その関連会社、および第三者パートナーに対し、その事業 (すべての Microsoft サービスを含むがそれらに限定されない) の運営に関連して、プロンプト、作成物、カスタマイズ品、および関連コンテンツを使用する許可を与えるものとします。これには、お客様が提供するプロンプト、作成物、およびその他のコンテンツを複写、配布、送信、公に展示、公に上映、複製、編集、翻訳・翻案、フォーマットを変更するライセンス権、およびこれらの権利をオンライン サービスのサプライヤーにサブライセンスする権利が含まれますが、これらに限定されません。本オンライン サービスを使用することは、本オンライン サービスを構成またはサポートする、基になるテクノロジ、知的財産権、またはその他のデータの所有権をお客様に付与することにはなりません。
本使用条件で規定するお客様のコンテンツの使用に関しては、いかなる対価も支払われません。Microsoft は、お客様が提供するコンテンツを掲載または利用する義務を負いません。Microsoft は、その独自の裁量により、コンテンツを随時削除することができます。
お客様は、本使用条件に記載されているとおり、コンテンツのすべての権利を有しているか、または別の方法で管理していることを保証および表明するものとします。これには、お客様がコンテンツを提供、投稿、アップロード、入力、または提出するために必要なすべての権利を含みますが、それに限定されません。

Copilot AIエクスペリエンスの使用条件

コンテンツの所有権

Copilot AIエクスペリエンスの使用条件」におけるコンテンツの所有権に関する部分は、以下のように解釈できます。

( 1 ) Microsoftの立場

  • Microsoftは、ユーザーが提供したコンテンツや、AIサービスから受け取ったコンテンツの所有権を「主張しない」と述べている。

  • これは、Microsoftがこれらのコンテンツの所有権を積極的に求めないという意思表示である。

■ユーザーの所有権

  • しかし、Microsoftが所有権を主張しないことが、自動的にユーザーに所有権が発生することを意味するわけではない。

  • 特に、AIが生成したコンテンツの所有権については、法的に不明確な部分が多く存在する。

■所有権の複雑性

  • AIが生成したコンテンツの所有権は、現在の著作権法や知的財産法の枠組みでは明確に定義されていない場合が多い。

  • 例えば、AIが生成した作品が著作権法上の「著作物」に該当するかどうか、また該当する場合誰が著作者となるかについては、国際的にも議論が続いている。

■利用権の明確化

  • Microsoftの規約は、所有権よりも「利用権」に焦点を当てていると解釈できる。

  • ユーザーはコンテンツを自由に利用できる権利を持ち、同時にMicrosoftも広範な利用権を得ることが明確に述べられている。

( 2 ) Microsoftの使用権

  • ユーザーがサービスを利用することで、Microsoftとその関連会社、パートナー企業に対して、提供されたコンテンツを使用する許可を与えることになる。

  • この使用権は、Microsoftの事業運営(全てのMicrosoftサービスを含む)に関連する目的で行使される。

私がCopilotやMicrosoft Designerに生成したもらった些細な画像を、Microsoftが利用することは到底考えられませんが、規約上Microsoftが使用することができることになっています。例えば、どなたかがCopilotに入力したいわゆる「神プロンプト」が優秀なあまり、Microsoft社内で利用するなんてことがあるのかもしれません。

権利の保証

権利とはユーザーの権利のことですが、利用規約における権利の保証に関する部分は、以下のように解釈できます。

( 1 ) ユーザーの責任

  • ユーザーは、AIサービスに提供するコンテンツについて、必要な全ての権利を持っているか、適切に管理していることを保証する必要がある。

ユーザーの責任とは何でしょうか?原文の利用規約はとても分かりにくい書き方をしていますね。これはどういうことかと言いますと、Copilotはユーザーがアップロードした画像を理解し解釈することもできるのですが、そのユーザーが他人に所有権があるものをCopilotにアップロードしては駄目ということです。「あなたに所有権がある画像ですよね?」とMicrosoftは言っているわけですね。

余談になりますが、以下はMicrosoft Designerが生成した画像を私がCopilotにアップロードして解釈してもらった様子です。

Copilotの画像解釈

( 2 ) ユーザーが具体的に気をつけるべきこと

これもユーザーの責任となりますが、下記基準に沿って画像の利用にうえ

  1. 著作権:他人が作成した文章、画像、音楽などを無断で使用していないか

  2. 商標権:企業のロゴや商品名を不適切に使用していないか

  3. 肖像権:他人の写真や似顔絵を許可なく使用していないか

  4. 個人情報:他人の個人情報を不適切に扱っていないか

  5. 機密情報:会社や組織の機密情報を不適切に開示していないか

ここまで利用規約を確認してきた限りではCopilotやMicrosoft Designerの商用利用についてはグレーゾーンとなってしまいます。しかしここで諦めるわけにはいきません。もう少し明確な言質をMicrosoftから取りたいところです。

商用利用について

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