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noted_elk8377
【小噺 #3】復元ポイント
男は憂鬱な気分でモニターを見つめていた。明日で9連休が終わる。「会社行きたくないなぁ。もう一度、休暇の始まりに戻りたい」
彼は自分の特殊な能力について考えた。パソコンの復元ポイントを使うと、自分の時間も一緒に戻るのだ。最初にそれを発見したのは、仕事でミスをした時だった。焦って復元ポイントから戻したら、なぜか自分の時間も一緒に巻き戻っていた。
「Windowsの復元ポイントって便利な機能なんだよな」と男は独り言を呟いた。「システムに問題が起きた時に、正常だった過去の状態に戻せる。まるでパソコンのタイムマシンみたいなもんだ」
男はマウスを操作し、システムの復元画面を開いた。2024年12月28日、9連休初日の復元ポイントを見つける。「これだ」
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しかし、復元ボタンをクリックした瞬間、エラーメッセージが表示された。
「空き容量が足りません」
画面をよく見ると、ストレージの大半が復元ポイントのファイルで埋まっていた。これまで何度も時間を戻してきた代償が、ここに来て降りかかったのだ。
パソコンの操作ができなくなってしまった。
「くそっ」焦った男は、最後の手段を取ることにした。システムの初期化だ。
「まあ、初期化すれば一番最初の状態に戻るんだから、それはそれでいいか...」
決意を固めて初期化ボタンを押す。画面が暗転し、初期化が始まった。
そして──。
「おぎゃー!」
部屋に赤子の泣き声が響き渡った。
男の姿はそこにはなかった。工場出荷状態のパソコンの横で、生まれたばかりの赤ん坊が泣いていた。
時計は2025年1月5日のままを指していた。
構想:私
執筆:Claude 3.5 Sonnet