277.中国人画家が一流ホテルを著作権侵害で訴えた!
1.中国人画家が一流ホテルを著作権侵害で訴える!
2007年10月23日。中国ではこんなことが続いていた。
中国の画家が自らの絵画を無断で利用されたとして、著作権が侵害されたとして北京市の五つ星ホテルの北京国際飯店に損害賠償を求めていた訴訟で、同市の東城区人民法院知的財産法廷はこの日、21・6万元の支払いを命じる判決を下したと中国法院網が伝えた。
この画家は北京市民の日常生活を描いた色鉛筆画に定評のある楊信氏。
同飯店は無断で楊氏の作品約七十点をレストランの壁画やテレビのコマーシャルに使用していた。このため楊氏は著作権を侵害されたとして、700万元の損害賠償を求めて提訴していた。
訴えられていた飯店は「外注業者の行為であり、自らの過失ではない」と反論していたが、裁判所は
「北京国際飯店は著作権を侵害しており、支払われなかった報酬について相応の責任がある」として、賠償の支払を命じた。
こんな話を聞くと中国は今後大きく変わるのではないだろうかと思ってしまうが、現実中国での著作権問題はまだまだ深い闇の中のよう。
しかし、中国の知的財産法廷の今後にはぜひ期待したいものです。
2.名誉毀損「ネット中傷有罪判決」
2009年1月。自分のホームページの中で、外食店の経営者を「カルト集団」だと中傷したとして、名誉毀損罪で問われていた控訴審の判決が下りた。
「インターネットの個人利用者が書き込ん情報に限り、名誉毀損罪の適用を暖めるは、被害者保護の点で相当ではない」と述べ、無罪とした1審・東京地裁判決を破棄し、検察側の求刑通り、罰金万円を言い渡した。
1審判決では、個人がネットに掲載した情報について、「信頼性は低いと受け止められており、被害者の反論も容易」として、
①わざと嘘の情報を発信した。
②個人でもできる調査も行わず嘘の情報を発信した…、場合のみ名誉毀損が成立するという新たな基準を提示した。
この自分のホームページに被告が、他人の中傷を書き込んだとされる内容について、「事実ではないが、ネットの個人利用者に要求される程度の調査は行っている」と述べ、名誉毀損には当たらないと認定していた。
しかし控訴審判決では「ネット上すべての情報を知ることはできず、書かれた側が反論できるとは限らない。見る側も、個人の発信する情報が一律に信用性が低いという前提で閲覧するわけではない」と指摘した。
これから個人だからといって他人を中傷する書き込みは危ない。ネットの世界での他人の名誉を傷つけたり、根拠のない中傷はやめるべきだ。
3.「ブログ炎上で初摘発された」
日本のブログ人口は当時800人(2009年)を超えたといわれている。この「ブログ」というのはインターネット上に誰でも開設できる日記形式の簡易ホームページ。閲覧者が意見や感想を書き込むことができるコメント欄のあるものが主流。
閲覧者は匿名で書き込めるようになっている。そのため、開設者の態度や言動に反感を持つ人から批判や中傷が殺到する「炎上」と呼ばれる現象が増え、社会問題となっている。
お笑いタレントのスマイリーキクチさんの「ブログ炎上」の事件は記憶に新しい。
この事件はキクチさんが、東京。足立区で起こった女子コンクリート殺人に関与したという趣旨の書き込みが多数寄せられ、キクチさんのブログが炎上し、2008年8月に警視庁に被害届をだした事件だ。
これを受けて警視庁は接続業者 (プロバイダー)に接続履歴の開示を求め、書き込んだ男女人を特定した。しかし、これとは別に、不特定多数が利用するネットカフェからの書き込みを行った複数の人物がいたこともわかった。
キクチさんのいわれなき中傷はどんなものだったのだろう。また、キクチさんの場合自分のブログだけでなく、ネット掲示板「2ちゃんねる」などでも年前から中傷する書き込みが続いていた今回の摘発者はそれらを参考にしてキクチさんを中傷していたという。
そして中傷内容はひどいもので、芸人にとってはイメージダウンが避けられないほどの内容で、「人殺しがなんで芸人やるんだ」「死ね、犯人のくせに」「てめえは何をしたと思っているんだ」「殺してやる」などと短期間に数百件の書き込みをした女性は脅迫行為として名誉毀損容疑で書類送検されている。
キクチさんの事務所2002年にホームページ上で「事件とはまったくの無関係」と告知したが、効果はなかったという。
このブログは中傷を消しても消しても、後から書き込まれる状態が続き、2008年4月に書き込み禁止にするとともに「タレントとして名誉が著しく傷つき芸能活動に重大な支障が生じた」として警視庁中野署に被害届けを提出した。ネット上での中傷被害は年々増加しており、警視庁の発表によると、2007年に全国の警察への被害相談件数は過去最高の8871件、2008年は上半期だけで5482件になっているという。
匿名を背景にエスカレートしていくネットの世界の暴力。
これからの時代さらに複雑化していく…。
※注 この著作権noteは1999年からの事件を取り上げ、2000年、2001年と取り上げ続け、現在は2002年に突入。今後はさらに2003年から2020年~2022年に向けて膨大な作業を続けています。その理由は、すべての事件やトラブルは過去の事実、過去の判例を元に裁判が行われているからです。そのため、過去の事件と現在を同時進行しながら比較していただければ幸いでございます。時代はどんどんとネットの普及と同時に様変わりしていますが、著作権や肖像権、プライバシー権、個人情報なども基本的なことは変わらないまでも判例を元に少しずつ変化していることがわかります。
これらがnoteのクリエイターさんたちの何かしらの参考資料になればと願いつつまとめ続けているものです。また、同時に全国の都道府県、市町村の広報機関、各種関係団体、ボランティア、NPО団体等にお役に立つことも著作権協会の使命としてまとめ続けているものです。ぜひ、ご理解と応援をよろしくお願い申し上げます。
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