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父の声

少し前のこと、午後にくつろいで横になっていた。なんでもない、ぼーっとしてただけ。そしたら、横から、

ナオコ〜

そう、しぼり出すような声が聞こえる。

あっ、お父さん

おもわず声をかけた。

あー、お父さん病院で昼寝中かな。寝てるときは魂が飛んでるっていうから。どこまでも、宇宙までも。きっと、来てくれたんだ。暗い声ではなかった。よかったとおもった。でも、何を求めてたのかな。


この日依頼、なんかすごく安心した。もし、人に気のせいだよとか、思い込みだよ、って言われても関係ない。そんなことはどうでもいい。わたしには父の声は聞こえた。


ときどきあるんです。夜、眠りにおちる間際とか。霊の存在を感じることが。もしかしたら、それさえも夢かもしれない。確実なことはいえないけれど。ただ、いつもこの部屋の中にはいっぱい飛んでいるんだろうなと、いつもおもってる。どこも同じ。古い家も、新しい家も。


めいっこは、わたしのたんすの前でおじいさんが座ってると言っていた。3才くらいだった。3才までは見えるとよく言う。めいっこはわたしの部屋にきて、

ここナオちゃんの部屋〜?

そういって、あわてて逃げるように急いで階段を降りていった。ワンピースの裾で転ばなきゃいいけど、と心配しながら様子を見てた。きっと見えたんだろうなと、おもった。

夏の日だった。


お昼過ぎまで、来年小学生になるめいっこが遊びに来ていた。3才だったのに。弟の家族4人が帰省した。普段静かにしてる毎日の繰り返しから一転。めいっこおいっこが大騒ぎしている。わたしはひとまず落ち着くと、部屋へ逃げる。すぐ逃げる。非日常から逃げる。でも、ナオちゃ〜ん、と2人が追いかけてくる。また遊ぶ。子どもと遊ぶのは嫌いではないけどこんなことがあると、人には向き不向きがあるのがわかる。ちゃんと自分に合った人生になっていると、そんなことをすぐおもう。子どものいない人生。人と同じことができないから、今がある。落ち込むどころか、自分の人生が愛おしくなる。



それでは、またお会いできますように。
ありがとうございました。

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