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閉所恐怖症人間がMRI検査を乗り越えた話

先日、レディスクリニックの検診で子宮筋腫が大きくなっていることがわかり、総合病院の婦人科を紹介してもらい精密検査を受けました。

9月初旬に、総合病院の婦人科医から「ガン検査と血液検査は異常なしです。次回MRI検査の予約を入れますね」と言われた瞬間「えっ!こわいです…」と咄嗟に口から出ました。これまでの人生でMRI検査を受けたことはないですが、閉所恐怖症にはとてもツライ装置だとウワサには聞いていました。
(現在は頓服の抗不安薬のみで生活できているため、婦人科医にはパニック障害のことは伝えていません)

しかし、MRI検査を受けないことには今後の治療方針が決まらないとのことで、手術するならMRI検査は避けられないらしい。ここは腹をくくるしかない。

先生いわく、閉所恐怖症の人は珍しくないとのことでMRIの機械どころか4畳ほどの広さのMRI検査室に入った段階で恐怖を感じてしまう人もいるのだとか。それでもだいたいの人は検査を乗り越えているらしいです。あと防音用のヘッドホンをつけても聞こえる位の大きい音がすると説明を受けました。パニック症&閉所恐怖&聴覚過敏の私は果たして乗り切れるのだろうか・・・。

1週間後にMRI検査を予約し病院から帰宅したものの、正直逃げたくなりました。やっぱり検査の予約キャンセルできないだろうかと考えながら不安は大きくなるばかり…。

ここから先は検査前と検査当日の記録のような思い出話なので、これからMRIを初体験するけど恐怖でいっぱい、という人の何かの参考になれば幸いです。

【検査数日前】
まずは敵を知ろうということで、YoutubeでMRI解説動画や体験談の動画を見てどんな検査をするのかイメージトレーニングしました。他にも自宅のローテーブルの両サイドを収納ボックスでふさいでテーブルの下に仰向けに潜り、狭いところに入る気分を味わってみました。顔のすぐ近くに迫る天板の裏面…これだけでもう息苦しい。めまいがする。1分くらい潜っていましたがギブアップしました。体験談の動画でアイマスクをすると良いとの話があったのでアイマスクをして再チャレンジしましたが結果は同じく1分ほどしか耐えられず…。アイマスク持参作戦は計画から除外されました。自宅でひとりテーブルの下に潜ったり出たりしながら泣きそうになっているオバサン…なんとも不思議な絵面。その後どうにも無理な気がしてきて検査予約をキャンセルしたくなりスマホで病院の電話番号画面を見ながら悩んでいましたが、いざとなったら当日の朝にキャンセルすればいいや、と思い直してキャンセルの電話はしませんでした。

【検査当日】
そして不安を残したまま検査当日を迎えました。病院の予約は13時だったので仕事は早退か遅刻にすればよかったのですが、心の準備が必要だと思い丸一日休みをとりました。検査後も気が滅入っているかもしれないので仕事は無理にしないことにしました。化粧品は金属系の成分が配合されている可能性があるためMRI検査の際はメイクNGだそうです。特にラメが入っているものはダメみたいです。病院から事前にもらっていた検査の説明プリントには「検査直前にクレンジングをしてください」と書いてあったものの携帯用クレンジング剤が家になかったのでマスクをしてすっぴんで行くことにしました。

話は逸れますが、すっぴんで電車に乗るととてつもなく弱い生物になった気分でした。普段は化粧の魔法でゴリラ顔を人間の女性に見えるように変身させているため、化粧をしていないと人間社会に迷い込んでしまった弱気ゴリラでしかない自分。オシャレして電車に乗っている綺麗なおねえさんを見ていると「車内にゴリラ迷い込んでいてゴメンね…」となぜか心の中で謝ってしまいます。そもそも電車内で見かける綺麗なおねえさんたちは、すっぴんもちゃんと人間女性の造形をしているのだろうなぁ…来世は女性らしい顔に生まれたいなぁ…今世で徳を積めるように努力するから神様お願いします…などと他愛もないことを考えていたら病院までの電車移動でパニック発作は出ませんでした。弱気ゴリラのまま一歩前進。ちょっとだけ人間に進化した感。

話を戻して、どうにか病院に到着。
検査説明のプリントには「予約時間の20分前に待合室にお越しください」と書いてありましたが、心の準備のために15分早い12時25分に来院。受付の方に「まだ予約時間より早いですが大丈夫ですか?」と聞かれましたが気にせずMRI検査室前の待合室へ。待合室は静かだと思っていたら、奥の検査室からMRIの機械音がゴンゴンガンガンと響き渡っていてかなりうるさい。検査室のフロアが地下だったこともあり秘密の実験室のような不穏な空気が漂っていて、帰りたくて泣きそうになる四十路のオバサン。先日も歯医者で治療中に麻酔が怖くて年甲斐もなく泣いて先生と歯科助手さんをドン引きさせたのですが、ババアだからって怖いものは怖いんだから仕方がない。

待合室のベンチに座り「最後の砦のお守り」として持っている頓服の抗不安薬を飲みました。飲むと頭がボーっとするので日頃はなるべく薬に頼らないように心がけているのですが、今回はちょっと乗り切れない気がしてきたのでここはもう薬に頼ります。そしてイヤホンで音楽を聴きながら瞑想。MRIが終わって晴れやかに病院を後にするイメージを思い描きながら「私はできる!いける!今日も勝つ!(何に?)」と頭の中でアファメーションの呪文をブツブツ唱え、試合前のアスリート気分でイメトレ作戦を決行。瞑想タイムだけは「すっぴん弱気ゴリラ」から「すっぴん強気ゴリラ」になってました。その間、検査技師さんがやって来て問診票を記入するように手渡されましたが、待合室にやたら早く来て何かブツブツ言ってる変な患者の私に技師さんは戸惑い気味でした。(技師さん、気味悪い思いをさせてごめんなさい…)

【いよいよ検査】
予約時間の10分前くらいにロッカールームに呼ばれて検査着に着替え、腕時計などの金属類をはずした後、いよいよMRI検査室へ入室。

目の前に現れたMRI装置は、待機中はダースベーダーみたいに「シュコー…シュコー…」という空気が抜けるような音がしていて呼吸をしているみたいで不気味でした。「あいつに飲み込まれるのか…」と絶望感がすごかったです。

問診票に「閉所恐怖症ですか? はい・いいえ」のような選択式回答欄があり「はい」に丸を付けていたため、ここで検査技師さんから「撮影部分は腰付近なので脚から機械に入りますか?」という救いの神のようなお言葉が…!
撮影部位が上半身の時は頭から機械の筒状部分に入るらしいのですが、筒の中央部分で撮影するため腰付近の撮影の時は脚側から入ることも可能とのこと。閉所恐怖のある人は脚から入るほうが恐怖感や不安感が多少マシになるみたいです。
「ぜひ脚から入れてください!!」と懇願したら検査台の“本来は脚を置く場所”に枕みたいなものを置いてくれました。そして本来は頭を固定するヘッドギアみたいな部分に足を乗せ、耳には防音イヤーマフを装着。(私が検査を受けた病院は無音のものでしたが、イヤーマフ替わりのヘッドホンから音楽が流れる病院もあるみたいです)最後に体調がおかしくなった時の緊急ストップボタン(ナースコールみたいな形状のやつ)を手に握らされ、台が動いていき体が機械へ吸い込まれていきました。台が動いているあいだは子どもみたいにギュッと目を閉じてしまったため詳しい状況は不明です。このあたりは緊張感が最大だったので自分でもよくわかっていません。

ちょっとだけ薄目を開けたら目の前にはMRIの「穴のフチ」がありました。若干の吐き気がしてきて「ヤバッ!気持ち悪っ!」と思ってまた目をギュっと閉じたら検査がスタート。「ゴゴゴ…」「ガガガ…」という轟音がイヤーマフを突き抜けて聞こえてきました。そして、検査台が小刻みにガタガタ揺れる!動画で予習したときは「台が揺れる」という情報がなかったため、心の中で「え!?なんか動いてるんですけど!」と予想外過ぎて動揺していました。やたら爆音のする遊園地のアトラクション、あるいは揺れの激しい寝台特急に乗せられているような感覚でした。爆音だけで「動き」はないイメージだったので「思ってたのと違うー!」という心の叫びと、身動きを取ってはいけない為にされるがまま状態の自分が笑えてきて、最初の吐き気は引いていきました。

吐き気が引いたので緊急ストップボタンは押さずに済み、あとは検査が終わるまで耐える方法を考え、以下のようなことを考えながら20分ほどの検査を耐え抜きました。耐える秘訣やコツみたいなものはつかめませんでしたが参考になればよいなと思います。

●検査のため昼食を抜いていたので「検査が終わったらランチに何を食べるか」をぼんやり考えていました。病院横に医者の先生方も会食に使ったりするであろう小洒落た雰囲気の洋食レストランがあるのですが、終わったらそのレストランに行って好きなものを食べようと決意。
●耳栓を突き抜けて聞こえる轟音のメロディーを頭の中で反復したり、「ドンドンドン!」と音がしたら「今の音はドラムみたいだったなー」とか、「うるさい」「こわい」という感情から気を逸らすようにしました。
●十数年前にチリの鉱山事故で地下に閉じ込められた作業員さんたちの気持ちや、宇宙船に乗っていたらトラブルに遭遇した宇宙飛行士のような気持ちで「私は絶対生きて地上に帰る!!」と頭の中でひたすら唱える。(もちろんMRI装置は地上にあるのですが気分的に)地上に残して来た大切な人たちの顔を思い浮かべて「こんなところで死ぬわけにはいかない!気を確かにするんだ!」と自分に言い聞かせてました。大げさでバカみたいですが大真面目にそんな心境でした。現実に大事故で何日も閉じ込められた人に比べたら20分の検査くらいマシだと思えてきたし、耐えられると思えてきました。

そして突然轟音が止まり、技師さんに「お疲れさまでした!」と声を掛けられ無事に日常世界へ帰還。平静を装って技師さんにお礼を言って検査室を出ましたが、心の中は大歓喜。嬉し涙で顔と感情がグチャグチャになっている感覚でした。ついにMRIを乗り切った!めでたい!

過酷な環境(?)に耐え抜いた自分に感動しながら意気揚々とロッカーに行き、検査着から自分の服に着替えMRI検査室の待合室のベンチで10分くらいボーっとしていた(抗不安薬が効いていたのか思考停止気味でした)。「美味しいもの食べよう…ハンバーグがいいかな…レストランの今日の日替わりメニュー何かな…」なんて考えながら心の中でほくそ笑んでいたら検査技師さんから「検査が終わったはずの患者がまだいる!?」と思われたのか「着替えが終わったら総合窓口のお会計に行って大丈夫ですよ?」と声を掛けられ赤っ恥をかきました。終わった直後の感情グチャグチャな時にも技師さんから「お会計に行ってください」と言われたような気がしますが、あまりにも感情がグチャグチャで記憶から飛びました。

そしてお会計を済ませ帰路に。
「ご褒美ランチは病院横のレストランでハンバーグ定食を食べる!」と決めたのに、レストランが混んでいたため結局近くのカフェでサンドイッチになりました。自宅に帰ったらどっと疲れが出て寝てしまい、気がついたら夜でした。

以上で閉所恐怖症持ちのMRI初体験レポート終了です。
何かの参考になれば幸いです。

これからMRIを受ける人に一番伝えたいことは、

検査台が新感覚アトラクションかってくらい揺れます!

こればかりは動画等ではわからないし、MRI体験談ブログなども読みましたが私が見た限りこれを言っている人はいなそうだったので私が伝えておきます!あと、MRI検査中は「怖い」という感情よりも圧迫感がすごかったです。

そして、後日再び病院に行きMRI検査の結果を医師から聞いたところ、私の子宮筋腫は手術リスクが高い場所にできている(手術で大量出血する恐れがある)らしく、当面は薬物治療することになりました。とりあえず手術は免れたので一安心ですが、治療で使うホルモン剤の副作用で更年期障害のような症状が出たり、うつ状態になる方もいるらしく、まだまだ不安だらけです。私はうつ病は患ったことはないですが、パニック障害や自律神経失調症から来る一時的な不定愁訴は何度か経験しているので、考えただけで気持ちが憂鬱に・・・。

ただ、10~20代の頃から漠然と「自分の人生に結婚や出産はたぶん“無い”な」と思っていて、生理というものが自分には望んでないのに毎月来る煩わしい現象だったせいか、今回の治療で薬で生理を止められるということが嬉しくてワクワクしているという変な心境です。

経過は後日また別の機会に書こうかと思います。

※HSP・パニック症・不安障害のことを発信するべくnoteで日記を書くつもりでしたが、婦人科系の病気で悩まれている方にも何か参考になるかもしれないので、子宮筋腫や薬物療法関連ことも日記に書くかもしれません。そっちは興味ないよって人には申し訳ないですが、ひとまずよろしくお願いします。


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