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バトル、ディストピア、起業もの…マンガ紹介のプロが推す旬の作品とは? #マンガを語る会

マンガを紹介するプロたちは、いまどんなマンガにはまっているのか? 最旬の「推し」を、連載中かつ単行本が10巻未満のマンガの中から教えてもらいました!

紹介してくれたのは、TikTokフォロワー約21万人の人気マンガ紹介クリエイター・もつもつさんに、毎月100冊以上マンガを読んでいるマンガライターのちゃんめいさん。そして、Kindleに10,000冊ものマンガや本が入っている、“マンガ大好き”note CXOの深津貴之さんです。

6月22日(水)に配信した「絶対にハマる!おもしろいマンガを語る会」のダイジェストをご紹介します。

誰が勝つか、作者もわからない。手に汗握る、歴史バトルマンガ

もつもつ 1600年におきた「天下分け目の戦い」。実際の史実とは異なる世界線で、織田信長の次の天下を「タイマンバトル」で決める。『テンカイチ 日本最強武芸者決定戦』は、そんな内容の作品です。

それぞれの大名たちが武士もののふを選んで、タイマンで戦わせる。1位になった武士を雇った大名が天下をとることができる設定です。

おすすめのポイントは2つあります。
1つは、 「宮本武蔵」や「本多忠勝」など歴史上の知っている人物が戦っていることがおもしろい。

そしてもう1つは、バトルの勝敗がラストページまで、誰もわからない点です。

原作者の中丸さんは、バトルごとにどちらが勝つか決めずにお話をつくっているそう。そのため、作者までもが、書きおわらないと勝敗がわからない。担当編集者さんがTwitterでそうつぶやいていました。なので、バトルシーンには予想がつかない緊張感があります。最高です。

深津 「仮想のなかで、誰と誰を戦わせたらどっちが強いのか」というテーマは、盛り上がりますよね。そういう作品も増えてはきましたが、この作品はその中でもおもしろいと思います。

ちゃんめい 似たような作品だと、『テンカイチ』と同じ編集者さんが担当している『ツワモノガタリ』も、ぜひ読んでほしいです。新撰組をテーマに、「幕末でいちばん強い者」を決める作品です。

この作品も、戦うなかで誰が勝つのかわからない。

もつもつさんのお話を聞いていると、『テンカイチ』も『ツワモノガタリ』も、担当編集者さんの好みがでているマンガだと感じました。セットでおすすめしたいです。

「人間」としての生きかたを問う。ディストピア作品のすすめ

ちゃんめい 現代社会が崩壊し、文化レベルが明治時代まで衰退してしまった世界。『日本三國』は、そんな近未来の日本を舞台にした作品です。

設定だけで、近未来をえがいた作品にもかかわらず、歴史ものをみているようなおもしろさがあります。

見どころは、主人公の武器が「知力」なところ。三角青輝みすみあおてるという青年が、とある大きな事件に巻き込まれた結果、国を変えるために立ち上がる。そのとき、暴力ではなく「知力」で成り上がっていきます。

お気に入りのシーンもピックアップしました。この場面、すごくないですか?「なんでもいいから試験管の膝を床につかせたら合格」という士官の試験のシーンです。

どちらも血を流さずに、肉体的ダメージも食らわずにひざまずいている。

この前に、主人公が「知力」と「言葉」で試験官を圧倒する場面があります。バトルにもかかわらず、こんなに静寂で、「参りました」というようなシーンはいままでみたことないな……と。思わず「おおっ」と声が出てしまいました。

深津 僕はこの作品に、2つ期待していることがあります。

1つは、主人公が文官なところ。暴力で問題を解決せず、ロジスティックスに、軍の補給や、人材の育成などで勝負しそうなところが期待です。

もう1つは「日本で三国志をやろう」というテーマです。縦に長い日本を3つに分けて、三国志がどう成り立つのか。すごくドキドキしています!

ちゃんめい ディストピア系作品のおもしろさって、「人間としてどう生きていくか」というひとつの命題にあると思っています。みなさんいかがですか?

深津 ルールや倫理が根本的にちがう世界で「人」はどう生きるのか。なにが大事になるのか。そういった日常では見ることができない選択肢を見られることが、ディストピアもののポイントだと思っています。

経営者が読んでもおもしろい。ぶっ飛んだ天才によるベンチャー企業ものがたり

深津 僕は最近『トリリオンゲーム』がおもしろいと思っています。「まさか、池上遼一先生にベンチャーものをやってもらう選択肢があったとは……!」という気持ちです。

内容は、GAFA超えを目指す若者2人が、日本のスタートアップ業界を駆けあがる物語。スタートアップを経営している僕が読んでも、おもしろい。

見どころは、ぶっ壊れ気味のベンチャー活動をしているところですね。「ダメだろ!反則だろ!」と、ビジネスとしてアウトなことを平気でやりすぎていて……。本当にハラハラドキドキするし、スリリングです。

僕は、『王様達のヴァイキング』など、スタートアップものやベンチャーものを読むのが大好きなんですが、『トリリオンゲーム』は「ここまで攻めてくるのか……」と感動までしました。

もつもつ 原作を担当している稲垣理一郎先生が描く、ぶっ飛んだ天才はおもしろいですよね。『アイシールド21』に近いものを感じます。

深津 表現として「一線を超えた天才」をえがくのがとても上手ですよね。

好きな作家と編集者を要チェック!3人のおもしろいマンガの見つけかた

たくさんのマンガを読んでいる3人。数ある作品のなから、どうやっておもしろいマンガを見つけているのでしょうか?

ちゃんめい 好きな作品の担当編集者のTwitterをみにいきます。マンガの作品名をTwitterで検索すると、担当編集さんの告知ツイートが見つかるんですよね。それで、フォローします。

好きな作品と同じ編集者さんが手がけた作品は、「自分好み」の確率が高いです。なので、新作の告知をしていたら、読んでみる。そうすると、自然に自分好みのおもしろいマンガに巡り会えます。


もつもつ 
僕もTwitterでマンガ編集者さんをフォローしています。編集が同じ人の作品は、ジャンルが違ってもどこか似ている要素があります。

あとは好きな漫画家さんも、Twitterをフォローしています。漫画家さんが、別の作家さんの作品を紹介している時もあるからです。紹介された作品は、その作家のものとどこか似ている雰囲気だったりします。

あとは、マンガオタクな人をフォローして情報を得ていますね。


深津 
SNSは信頼できる人をフォローすると、情報のクオリティが担保できますよね。
僕は、Amazonでとりあえず1巻をみつけたら買ってみるようにしています。マンガ業界の人のTwitterをフォローはしていなかったので、僕もやってみようと思います!

・・・

「1時間半では物足りない!」そんな熱量で、みなさんに大好きなマンガについて語っていただきました。その数なんと41タイトル。他の作品の紹介はアーカイブ動画から視聴が可能です。ぜひご覧ください!

登壇者プロフィール

もつもつ(マンガ紹介TikTokクリエイター)

2020年5月から動画投稿を始めた現役大学生。
フォロワー20万人の漫画紹介TikTokクリエイターとして活動中。
Twitter / TikTok

ちゃんめい(マンガライター)

マンガライター。マンガを中心に書評・インタビュー・コラムの執筆や、トークイベント、女性誌のマンガ特集に出演。毎月100冊以上マンガを読む。(掲載:アル / Real Sound ブック / mi-mollet / 現代ビジネス など)
Twitter / note

深津貴之(note株式会社 CXO)

インタラクション・デザイナー。株式会社thaを経て、Flashコミュニティで活躍。2009年の独立以降は活動の中心をスマートフォンアプリのUI設計に移し、株式会社Art&Mobile、クリエイティブユニットTHE GUILDを設立。noteのCXOなどを務める。執筆、講演などでも精力的に活動。
note / Twitter

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