「尊重する」を再認識しよう
「尊重」という言葉に疑問を投げかけたお話。
尊重という言葉
「あなたの考えを尊重します」
この表現は人とのコミュニケーションの中で幾度となく使われます。
この言葉を使えるようになったのはいつからなのか。少なくとも他人を思いやることが未熟な小中学生でないことは確かだね。もう少し大人心が付いてからの話でしょう。
尊重の意味を調べると👇でした。
尊いものとして大切に扱う、これはわかる。「あなたの考えを尊重します」とは、あなたの考えを大切に扱います、って意味だ。
でも私はこの説明に引っかかった。
え?引っかかりませんか?
尊重の対象が、(スル)価値あるもの なんですよ。
いったい誰がそれを判断するのか。こんなことを辞書に書いていたら「尊重」の言葉の使い方が間違ってるケースが世の中にたくさん出てくるのではないか。
尊重に含まれる意味のパターン
この言葉の意味のパターンは4通り。
尊重するという表現の裏には①~③の意味が暗に含まれているはず。少なくとも人とのコミュニケーションを取る場合には、これが絶対に存在する。
① (スル)価値あるから尊いものとして大切に扱う
大切に扱う価値を本人が認めていて、かつ他人からも認められている。そんな状態のものを「尊重します」と
言っているのがこれ。
「尊重」という言葉の本来の使い方がこれでしょう。辞書に載っている意味通りなので誰も異論はないはず。
② (スル)価値あるけど尊いものとして大切に扱わない
対象の価値は認めてるけど、何らかの事情で大切に扱わないのがこれ。
恋人とか家族とか、いっときの熱量が一通り冷めたときに使われるんじゃないかな。この意味での「あなたの意見を尊重します」は、尊重すると言ってはいるものの心底ではそうする気はない。
③ (スル)価値ないけど尊いものとして大切に扱う
大切に扱うところだけにフォーカスを当てた「尊重」。
価値がないとわかっていながらも大切にするなんて「真実の愛」か「盲目の愛」か「何も考えないバカ」か「悪意がある詐欺」。尊重するという意味が間違って知られていくヤバイ例。
④ (スル)価値ないから尊いものとして大切に扱わない
尊重する行為からかけ離れているので対象外。
尊重すると言われたときの理解の仕方
コミュニケーションの中で「あなたの意見を尊重します」という表現が出たら気をつけた方がいい。
言った相手は、だいたいの場合は、いい意味ではない。
経験上「意見は尊重するけど、尊重するだけであなたの言うようにはしないから」の意味であることがほとんど。
たぶん使わない方がいい表現なんだろうね、日本語として。
複数の意見がバラバラになっているある場において、ひとつの意見に集約をしないといけないけれど、採用しない意見に「不採用」を直接突きつけたら角が立つので、尊重しますという表現を使って表向きは丸く収める。こういうときにだけしか「尊重する」という表現は使いにくい世の中になっているのでは?と思います。
だから「尊重する」と言われたときは、「あ~なんか裏があるんだな」と一目懐疑の感じで捉えておくほうがストレスが少ない。生きていく処世術みたいなものかな。
尊重するという言葉を発した人の影響
これまで書いてきた通りだと、「尊重する」はもはやマジックワード的な不思議な言葉です。
でもこの言葉、発した人に対して受けた人がどういう印象を持っているかによって、伝わる意味がとても異なってくる不思議なワードでもあります。
大切な人から「あなたの意見を尊重します」と言われたときと、仕事で対立している嫌いなヤツから同じ言葉を言われたとき。その解釈の仕方が異なることは想像に難くないでしょう。
それくらいこの言葉は使われる状況によって言葉の持つ真の意味が変わってくる。ある意味おそろしい言葉です。
ですから「尊重する」を使いたくなった場合は、一呼吸おいて考え立ち止まってみる、その方があとあと良い結果につながるでしょう。
もうひとつ大切なこと
あと一つだけ。
「あなたを尊重します」って言葉を掛けられたときね。実はもうひとつ意味があるような気がしてます。それは、
です。
だからこの言葉が言われそうなときは、前もって注意を払った方がよいかもしれません。