子どもがいない私が子育て支援の会社に転職し、厚生労働大臣に署名を提出して業界を変えた話。
はじめまして!
BABY JOB株式会社でマーケティング・広報をしている東(@BJ_AZUMA)です!
2021年4月にBABY JOB株式会社へ入社して、はや2年9か月も経ちました。
私が働いているBABY JOBは、「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」を目指して子育て支援サービスを提供している会社なので、このビジョンに共感し入社をするパパやママがとても多いです。
ですが私自身、子育ての経験は全くありません。
ではなぜ、子育ての経験がない私がBABY JOBのビジョンに共感をしたのか、どんな想いで子育て課題に向き合っているのかをお話させていただきます。
特に上記に当てはまる方に読んでもらい、私の想いが伝わると嬉しいです。
自己紹介・経歴
まずは簡単に私の自己紹介をします。
■プロフィール
・夫婦+猫3匹(みんな7歳のシニア猫)とひっそりと暮らしてます
・出身地:石川県金沢市
・資格:中学校・高等学校教諭一種免許状(理科)
・趣味:陶磁器集め
■簡単な経歴
・ママ向けのモニター会社で営業職を3年
・子ども向けYouTuberの事務所で営業マネージャーを2年
・BABY JOB株式会社でマーケティング/広報を2年9か月
前職のYouTuber事務所に勤めていたときは、「子どもたちを笑顔にしたい!」という想いで子どもたちに楽しんでもらえるような動画をYouTuberさんと一緒に作っていました。
この時の私は、「子ども」だけに目を向け「子どもが小さいときはおもいっきり笑顔で過ごして、豊かな感情が育ってほしいな」という考えにとどまっていました。
しかしある時、そんな私の考えが大きく変わる出来事がありました。
子育てってこんなに謝らないといけないの...?
ちょうど3年前、高校生の頃から仲良くしている友達が私の結婚祝いをしてくれることになり、久しぶりに地元の石川県でランチをすることになりました。
LINEでママになったと聞いていたので、「どんな楽しい話を聞けるかな〜」とわくわくしながら、友達が予約をしてくれた駅前の子連れOKなお寿司屋さんへ向かいました。
お寿司屋さんの前には、以前よりも落ち着いた服を着た友達と傘を剣のように振りかざしている2歳の男の子が待っていました。
「なんだか友達がママっぽくなってる!(笑)」と、高校時代との差にちょっとくすっとしました。
その後、お店に入って3人で楽しくランチをする予定だったのですが、現実は違いました。
食事中、友達はずっと周囲の人たちに対して「子どもがうるさくてすみません...騒いでごめんなさい」と繰り返し謝り、辛そうな表情をしていました。
私はそんな友達の様子にかなり違和感を感じ、心の中で「なんでそんなに謝っているんだろう...?そんなことで誰も怒らないよ!」と思いました。
私は子どもが好きなので何も感じなかったですし、子どもが騒いでしまうのは普通のことだと思っていたのですが...周りの反応は私と違いました。
見渡すと怖い顔や迷惑そうな顔でこちらを見ている人がちらほら…。
「あ、子育てしているだけでこんな顔で見られてしまうんだ」と感じ、なんだか血の気が引くような気分になりました。
そりゃ外出するたびにこんな怖い思いをしたら、確かに私も辛そうな表情になって、ずっと謝り続けるかもしれない。その時、初めて子育てをしている友達の気持ちが少し理解できたような気がしました。
さらにお店を出る直前に、友達がもっと暗い顔になる出来事がありました。
友達が結婚祝いにと用意してくれたお茶碗セットを「おめでとう!これ良かったら使ってね!」と私に渡そうとしたとき、隣ではしゃいでいた子どもの手が当たり、お茶碗が床に落ちて割れてしまいました。
私もさすがにどんな反応をすればいいかわからず戸惑っていたら、今までに見たことがないような怒ってるのか呆れているのかよく分からない顔で「ごめん...」と謝ってきました。
昔のその子だったら「ごめんごめん!割れてごめんやけど持って帰ってな!笑」と冗談を言っていたはずなので、今はそんな冗談も言えないくらいきっと、いっぱいいっぱいなんだなと感じました。
(ちなみに割れた茶碗は金継ぎするから大丈夫!と持ち帰りましたが、さすがに粉々で茶碗には戻せませんでした…)
保護者が笑顔でいられる社会作りをしたい。
この友達とのランチでの出来事が私に大きなインパクトを与え、家に帰ってからもいろいろと考えてしまいました。
「ママやパパが謝って辛い顔してたら子どもは笑顔になれないんじゃないのか?」「なんでこんなに子育てしづらい環境なんだろう?」など、たくさんの疑問が湧き上がり、同時に違和感や悲しみも感じました。
「子どもたちを笑顔にしたい!」という気持ちで、YouTuberさんと一緒に子ども向けの動画を配信していていた私ですが、このままでいいのだろうか?今の仕事が本当に子どもたちの笑顔につながっているのかな?と、仕事について考え直す大きなきっかけとなりました。
考え抜いた結果、「子どもを笑顔にするには、ママやパパが笑顔でいられる子育てしやすい社会の雰囲気作りが必要だ!そんな事業をやっている会社で働きたい」という結論に達し、転職活動を始めることにしました。
子育て関連の企業を見ている中で、ある日たまたま見つけたBABY JOBのコーポレートサイト。
そこに書かれている”すべての人が子育てを楽しいと思える社会”という文字が目に飛び込んできたときに、「まさに私がやりたいことはこれだ!」と思いました。
採用フォームではないかもしれないと思いつつも、勢いのままお問い合わせフォームから面接を申し込みました(笑)。
すると、その翌日に早速BABY JOBの人事から連絡をいただいたので、私は電話口で子育て環境を変えていきたいという気持ちを想いのままに話しました。
その後、何度か面接をした末にBABY JOBのマーケティング部に入社することになりました。
広報未経験だったが、厚労大臣に署名と要望書を提出。
私はBABY JOBに入社してから、3年近くマーケティングと広報を担当しています。その中で、特に印象に残っている取り組みがあります。
それは「保育園で出た使用済みおむつを保護者に持ち帰らせている問題」への取り組みです。
私たちは、毎日多くのタスクに追われている保護者さんの負担を少しでも取り除くために、2019年からおむつのサブスク「手ぶら登園」を提供しているのですが、このサービスを保育園にご案内している中で「保護者さんに毎日使用済みのおむつを持ち帰ってもらっている園がある」ということを知りました。
おしっこやうんちが含まれたおむつを毎日5~6個持ち帰ることは、当然ながら水分を含んで重いですし、もちろん臭いですし、とても不衛生なので、保護者さんの大きな負担になっていました。
同時に、この問題は保育士さんにとっても負担がありました。おむつを持ち帰ってもらうために、保育士は個別に使用済みおむつを管理し、渡し間違いのないように気をつけなければなりません。
この保護者さんにも保育士さんにも負担になっている問題に取り組むべく、2021年に保育園からおむつの持ち帰りをなくす会を立ち上げて活動を開始しました。
まず初めに取り組んだのは、署名活動です。最初はX(旧Twitter)で本当に「おむつの持ち帰り」は保護者さんと保育士さんの負担になっているかを調べてみたのですが、当時はほぼこちらに関する投稿がされていない状況でした。
なので、実際に当事者の皆さんがこの問題に対してどう思っているのかを確かめるために、オンラインの署名活動を実施しました。
オンラインで行った署名活動では、半年足らずで1万6千人以上の署名が集まり、おむつ持ち帰りに負担を感じている人が多いことが分かりました。
その後、数人の保護者さんに個別の取材も実施しました。
取材では、「どこの園でもおむつを持ち帰るのが当たり前だと思っていた」「おむつを持ち帰るのは大変だが子どもを預かってもらっているだけで有難いので保育園には言えない」という声を聞くことができました。
署名活動やSNS調査、個別取材で分かったことは、多くの人が保育園からおむつを持ち帰ることに対して負担に感じている一方で、その悩みを声に出している保護者は少なく、問題がなかなか表面化しにくいということです。
そこで次に取り組んだのは、当事者が気軽に声を上げられるようにするための活動です。社会にこのような問題があることを知ってもらうため、公立保育園のある市区町村一つひとつに電話でおむつの持ち帰り状況を調査しました。
その結果、地域によっておむつの持ち帰りの状況にばらつきがあることが明らかになりました。
私も複数の地域に電話をかけましたが、「昔からの慣習で持ち帰ってもらっているので、なぜ持ち帰らせているか分からない」「特に保護者から持ち帰りをなくしたいという要望がない」といった理由で、ハッキリと持ち帰りをさせている理由がない地域も多かったです。
この結果をメディアに説明すると、多くのメディアが「一緒に子育て環境を良くしたい!」と共感し、この問題を取り上げてくれました。
これらの活動の結果、なんと厚生労働大臣に直接私たちの想いを伝える場ができました。
2022年9月、子育て支援に積極的に取り組む寺田静参議院議員のご協力を得て、1万6千人の署名と調査結果、要望書を加藤厚生労働大臣に提出することができました。
さらにそのわずか4か月後には厚生労働省からルールの変更が通達されたのです!
2023年1月に、厚生労働省から各自治体に向けて「使用済みおむつは園で処分することを推奨する」という通達が発せられ、これにより多くの保育園でおむつの持ち帰りがなくなる動きが広がっています。
子育て環境を改善したいという多くの人や保護者さんの声が1つになり、これまで変わらなかった保育園のルールを変えることができました。
冒頭でも書きましたが、私は子育ての経験が全くありません。
だからこそ多くの保護者さんの声を聞くことを大事にし、当事者じゃないからこそ客観的な視点で子育ての課題を理解することができていると思っています。
これからもおむつの持ち帰り問題に限らず、さまざまな子育ての課題に向き合っていきたいと思います。
社会全体で子育てをしていく雰囲気を作っていきたい。
入社して3年が経とうとしている今でも、本気で「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」の実現に向けて、毎日BABY JOBの仲間たちと一緒にいろいろな施策を考えています。
それぞれのメンバーが企業のビジョンに共感しているため、実施される方針や取り組みには一貫性があります。
「この施策は本当に子育てを楽しくするものなのか?」「忙しい保護者さんに寄り添ったサービス設計になっているのか?」など、全員が誰のために、何のためにかが明確なので、一緒に仕事をしていてとても気持ちが良いです。
今後私が取り組んでいきたいことは、多くの人に子育ての大変さを理解してもらうために情報発信をすることです。
理想の社会は、例えば道端でベビーカーが溝にはまっているときに、周りの人がすぐに駆け寄って助けるような協力体制です。しかし、そうした社会を急に実現するのは難しいと考えています。
ですので、その場で何か行動を起こせないとしても、「大丈夫かな?」と気にかけてくれる人が増えるだけでも十分だと思っています。
そのために、これまで子育てを経験していない人たちに向けて、子育ての大変さを理解してもらうための活動に力を注いでいきたいと思っています。
「自分で子どもを産むって決めたんでしょ?」「ちゃんとしつけしてよ」「みんなできてることなんだからそんなに大変じゃないでしょ」といった、そういう言葉や雰囲気ではなく、「子育て大変な中頑張ってるな」「あのお母さん大丈夫そうかな?ベビーカー倒れないかな」という気持ちを多くの人に持ってもらうだけでも、子育て世帯を見つめる視線は変わるのではないでしょうか?
忙しさや周囲の対応に傷ついているママやパパも多いので、まずは意識的に優しい視線をおくってあげられる大人が増えれば、素敵な社会になると私は思います。
ここまで読んでくださった方へ
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