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「ありがとう、また会う日まで。」

今年のゴールデンウィークに
昔の恋人と実に5年ぶりに再会することになった。


私の男性遍歴の一人目を飾った特別な人。


地元に戻るタイミングで彼に打診したところ
奇跡的にも時間が取れることになり再会に至った。


高校1年の春から3年半ほど付き合ったのだが
あっさり遠距離恋愛で浮気されたのはいい笑い話だ。


彼は地方都市で中学教員をしている。

高校時代に彼から聞いた“将来の夢”を言葉通りに実現させ
今でも多感な中学生を相手に奮闘しているそうだ。


“5年ぶり”

と言葉ではあまりにも長い年月に感じるが
実際会ってみると当時と何も変わらない優しい笑顔と
包み込むような包容感がそこにはあった。

唯一変わったのは
左手の薬指に光る指輪だけだったと思う。


結婚した昔の恋人と会うことすら今は罪に問われそうな時代だが

ただ、私にとって彼は

もう恋人でも男性でもなく
古くからの友人であり兄のような
雄としての欲情を抱く相手ではなくなっていた。
いや、そう思いたかったのだと思う。

だからこそ
それを確かめるために会いに行ったのかもしれない。


“離れていても味方でいてくれる同士”


そう心から確信できたので
私はやっと大人になれたのだと思う。


だって、彼とは本当に色々あったのだから。
酸いも甘いも、そして人生のどん底も味わったのだから。


憎かった。
悔しかった。
悲しかった。
死にたかった。

でも

今こうやって彼に対しての気持ちを文字で綴れること自体が
彼への償いであり恩返しであり感謝であるのだと思う。

私は彼を愛していたし彼も私を愛していた。
これは揺るぎない事実だ。


そして今も
大好きな人であることは変わっていない。


貴方の大きな愛があったからこそ、今の私がいる。

「ありがとう、また会う日まで」


見送る彼の笑顔にそう心の中で呟いていた。

Leon

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