「スケールの大きさ」に打ちのめされた日。
つい最近のことだ。
私よりも一回り以上年下の現役大学生とデートをした。
会話の中で
先日23歳になったばかりだと言っていたので間違いないだろう。
アメリカの大学に留学中だが
休学して一旦帰国し1年になると言っていた。
出会った瞬間
私がこれまで出会ってきた男性にはない品格と
段違いの育ちの良さが伺えたのを覚えている。
確かに同じような境遇の子は何人かいたが
23歳とは思えない落ち着きと品の良さがにじみ出ていた。
正直年齢差以上に彼のその圧倒的な雰囲気に
久々にたじろいでしまい楽しめるか不安で仕方なかった。
これがファーストインプレッションだったのだから
私自身かなり身構えたのだ。
スムーズなデートが出来るようにお店選びを買って出た。
勿論私の過去の記事でもおすすめしたように
リザーブしたのはカウンター席だ。
とりあえず一杯目のオーダーをし儀礼的な乾杯を終えた。
お互い初対面なのは勿論だったので簡単な自己紹介から入ったのだが
紆余曲折な私の人生と違いまぁ見事なまでに美しい歩みだった。
誰もが知る地方都市出身で小中は部活動に打ち込んでいたという。
高校ではそれまで続けてきたスポーツではなく
男臭さに憧れたとの理由でラグビー部を選択。
そこにはあまりにも彼のビジュアルからかけ離れていたので
私は大笑いしていた。
渡米前の学生時代から留学経験が豊富で英語も堪能。
プライベートな時間は友人と過ごすことは勿論
勉強に費やしているという勤勉さが私にはとても好印象に映った。
何より一番驚いたのは彼が目指している職業だった。
「航空学を学んでます」
大学での専攻科目を尋ねた時にそう答えてくれた。
てっきりエンジニアや設計などを学んでいるものかと思ったのだが
航空業界の花形
“パイロット”
と言うのだから本当に驚いた。
勿論パイロットはこの世の中に存在するし
空港に行けば仕事の行き帰りに偶然遭遇することや
見かけることもあるだろう。
ただ私の日常生活ではまず知り合わないカテゴリの人間だったので
「実在するのね」
とまさに稀有な動物でも見るような感覚だった。
また彼はもうB4にあたる最終学年なので
実習で実際の飛行機をガンガン飛ばしているそうだ。
それだけでも驚いたのだが
運転中の空き時間の話や実習の裏話も聞けたので
私自身かなり充実した時間を過ごしていた。
ちなみにこれまでのテストフライトで一番怖かった事を聞いたところ
補助無しのシングルフライト中に天気を見誤った時だったそうだ。
飛行機の安全性は幾度と聞いてきたが
生と死が隣り合わせの職業であることを改めて感じる。
余談だが、アメリカの国家運輸安全委員会
通称NTSB の行った調査によると
航空機に乗って死亡事故に遭遇する確率は0.0009%であるという。
この話をする頃にはだいぶ彼の表情も和らぎ
笑顔も見られるようになっていたし
年相応の落ち着きのなさも時折だったけど垣間見えた。
最初の心配こそは免れたものの
楽しめたと言うより「ホッとした」と言うのが私の正直な感想だ。
この感覚も久しぶりだった。
自慢ではないが私は喋りは得意だし
相手を飽きさせない自信もあると思っている。
しかしたまに出会う彼のような寡黙で物静かなタイプは
本当にリズムを掴むのが難しい。
まだまだ私自身も引き出し不足である。
結局デート自体は健全解散で事なきを得たが
収穫もあったが逆に衝撃や至らなさもそれ以上に多く
”会話をする”
と言う目的においてはまだまだ力量不足と痛感した。
友人に海外育ちやネイティブの子も多く
また年下も知り合いに多い分
カルチャーギャップやジェネレーションギャップを感じることは
殆どと言ってなかった。
ただ今回のデートはその両方をまざまざと突きつけられた感じがした。
恋愛感情も相手とどうこうなりたいという気持ちもゼロに近かった分
ある意味私が自分でコンプレックスに思ってる部分を
ただ単に炙り出され
また“こうなりたい”という事を体現している彼に
若干の嫉妬もあったのかもしれない。
「スケールの大きさ」
この感覚を身を以て体感できてよかった反面
沸々としたどうしようもない感情はぜひ文字として残しておくべきだと
そう思った次第だ。
いつか彼の操縦する飛行機に乗れるだろうか。
Leon