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【気になる生態】 #32 ”150個”の目玉 「クジャク」
前回のグンカンドリの生態について書いている時に、オスがメスに対してアピールするための手段には様々な工夫があるのだなと感じました。
他に特徴的なアピール方法を持っている鳥はなんだろうと考えた時に一番最初に浮かんだのがクジャクでした。
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羽の模様の意味
大きな飾り羽を持つのはオスだけです。
この羽はメスに対してディスプレイ行動を行うためのものなので、繁殖期にだけ生えてきて、役目を果たすと抜け落ちていきます。
やはり大きな飾り羽を一年中つけていると、天敵にもみつかりやすいし、何より動きづらいんでしょうね。
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クジャクの羽はカワセミなどと同様に構造色になっています。
抜け落ちた羽は工芸品などの材料に用いられるそうです。
またクジャクの特徴的な羽の模様にはしっかりとした意味があるようです。
実はメスは、この目玉模様に相対すると、おびただしい視線を感じると言われ、そのため恍惚の境地に入るのだとか。ある調査によると、目玉模様の数の多いオスの方が、少ないオスよりも求愛に成功する確率が明らかに高いという結果が出ているそうです。何と、あの「目玉」は、単なる模様ではなく、ちゃんと目玉本来の"視線"としての機能を担っているわけです。
この話を聞くと羽を広げたときの圧倒的迫力の理由がわかりますね。
羽を支えるための羽
飾り羽根の数はなんと150枚にもなるそうで、どうやってあの大きな羽を広げているのだろうかと気になりました。
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注目したいのは扇型の羽を雫型の羽根が支えています。
実はこれがクジャクの尾羽で、飾り羽は腰を覆う羽が発達したものだと考えられています。
この尾羽があることでバランスを取り大きな飾り羽根を広げることができるのです。
もしクジャクが羽を広げている瞬間に立ち会えたら、後ろに回り込んでみたいものです。
毒が効かない!?
クジャクの生態で意外にも知られていないことが、雑食でヘビを食べることがあるということです。
どうやら神経毒に耐性があるそうで、たとえ噛まれたりしても毒が効かないそうです。
この毒への耐性が、人々の悪い部分を取り除いてくれると考えられてきました。
インドの国鳥である孔雀は、毒虫や毒蛇を食べることから、毒を除く力があると信じられてきました。また、毒蛇は煩悩(ぼんのう)にたとえられ、毒蛇を食べる孔雀は、煩悩を食い尽くして人々を守る存在だと考えられるようになりました。神格化された孔雀は、その後、仏教に取り入れられて孔雀明王が誕生しました。
そのためクジャクは、インドではとても大切に扱われて国鳥とされています。
野生化するクジャク
本来クジャクはインドなどが生息地となっていて、日本でクジャクを見るには動物園などに行かなくてはなりません。
しかし、何年か前からか日本の野生化でクジャクを見ることができるようなのです。
固有種の爬虫類を食べてしまったり、農作物への被害も出てしまっているようです。
美しいクジャクも日本で野生化すると害鳥扱いというのはなんとも悲しい話です。
連れ込んだのも人間だけにしっかり責任を取らなければならないですね。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。