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[アナログゲーム療育]福祉に役立てるボードゲーム

どうも、noteと申します。
都内でサラリーマンをしながら、大好きなボードゲーム業界のために何かできないか日々模索しています。

こちらは共同運営を行なっている『アナログゲームマガジン』用の記事です。
いつも共同執筆者様たちの記事を拝見し、大変勉強させていただいております。

というわけで本題です。
私の記事では「ボードゲーム市場規模拡大のために行った実験と結果」や「ボドゲ関連書籍の書評」をテーマにしております。


突然ですが、ボードゲーム市場を拡大するために有効なアプローチとはどういったものがあるのでしょう?
「とにかく面白いゲームを作る」「友人に広めてユーザーを増やす」など様々な答えがあるかと思います。

個人的な見解としては、「世の中の問題を解決するためのツールとして利用してもらう」というのが一つあるかと考えています。

ボードゲームはその多様性やコミュニケーション性の高さから、様々なシーンで活躍できるポテンシャルを持っています。
その特性を利用し役立てることができれば、その世界でボードゲームの需要が高まることになります。

今回はそんなアナログゲームを福祉に活かすノウハウをまとめた書籍「アナログゲーム療育」を拝読させていただいたので、その紹介をさせていただきます。


アナログゲーム療育

本書の著者は福祉支援活動を行っている松本太一さんです。
小学校で発達障害のあるお子さんへの支援を行っていた松本さんでしたが、従来の支援方法に疑問を抱いていました。

ある日、ふとしたきっかけでボードゲームの存在を知った松本さんは、ゲームを使って子供同士で関わり合う場を作ることで、実践的なコミュニケーションを学べるのではないかと療育の現場で活用し始めました。

導入から半年ほど経つ頃、お子さんたちの様子は明らかに変化し、場の状況や相手の意図をくみ取って動けるようになりました。

ボードゲームを遊ぶためには、ルールや順番など守らなくてはいけないことが多く、コミュニケーション能力や協調性を育むのに適しているためだそうです。

また、指導者の指示に従うだけではなく、対等な関係性の相手と積極的に関わり合うことで、社会で必要となる臨機応変なコミュニケーション能力を養うことも可能であるとしています。

こちらの著書ではそんな松本さんの実践したアナログゲーム療育のノウハウや細かい事例の紹介がされています。


ステージ1 シンボルの形成

アナログゲームにて療育を行う際、お子さんの認知発達段階に応じてステージを分け、それぞれに応じたアナログゲームを用いて療育を行います。

発達段階が1歳半~2歳であれば、見た目や音に興味を示す時期。療育を通して色や数などの「シンボル」を扱えることを目標とします。
ちなみに、この年齢はあくまで脳の発達段階を示すもので、実年齢を指すものではないそうです。

シンボルとは、物を認識するためにもつ概念のことです。
例えば、私たちはリンゴとポストを見ていずれも「赤」であることを認識できます。この概念がシンボルです。
このシンボルを理解することで言語能力獲得への準備をすることができます。


ステージ2 言葉や数の世界を広げる

2歳~7歳にあたる段階では、すでに色や名前・数といったシンボルの概念を理解しています。このステージではさらに多くのシンボルを理解できるように言葉や数の世界を広げてあげることが目的となります。

また、シンボルの理解に伴い他社とルールの共有ができるようになり、一人ではなく集団で遊ぶことが可能となります。
集団で遊ぶためには集団のルールを守る必要があるため、「自分の順番を待つ」「勝敗を知る」といった他者との関係において学ぶことを意識するきっかけになります。


ステージ3 客観的思考の形成・他者視点の獲得

7歳~12歳にあたるステージ3での療育目標は、自分の外にある基準について考えられる「客観的思考の形成」と、他者の立場を想像する「他者視点の獲得」の二つになります。

発達障害のあるお子さんの場合、「他人の気持ちがわからない」といった困難からトラブルが生じるケースが少なくありません。
他の子供たちと関わっていく過程で、状況や相手の立場を考えながら行動する機会を与え、コミュニケーション力の発達を促します。


福祉とボードゲーム

このようにボードゲームが持つ対面のコミュニケーションという特性を生かすことで、福祉の現場で役立てるツールとして扱ってもらうことができます。

知人の福祉関係者さんも、実際に就労支援の過程で多くのボードゲームを活用され、利用者さんのコミュニケーション能力向上に大きく貢献しているそうです。

本著「アナログゲーム療育」においては、各ステージにおいて利用したゲームのリストや事例、実際に療育を行う際のコツなどをより詳細に紹介されているので、興味のある方は是非一度ご覧ください。
それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。



おわりに

アナログゲームマガジンでは、ボードゲーム・TRPG・将棋・マーダーミステリー・LARP・推理ゲームなど、アナログゲームに関するあれやこれやを、それぞれの専門家が深堀りします。
他のメンバーはすごい方が揃っていて大変面白いのでぜひこちらから覗いてみてください。

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