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お水、お借りします

この暑かった夏…
書きたかったことがあって、noteを書きはじめていて。放置していたもの。
どうしても今年のうちに書いておきたかったので、秋めいてきましたが書きます。
🌟だいぶと長いです、スミマセン


実家のある集落に、小さな畑のついた古家を購入しました。
なかなか建築条件の厳しいエリアで、
購入したい!契約するぞ!まで、
何度も役所に足を運んで相談し、書類を集めました。
夫が建てて住んでも良し!のお墨付きをいただき、オーナーさんと話し合って、素人同士で契約書を交わし、無事、購入にいたりました。

これで、古家が建て替えなければならなくなっても大丈夫だな!と、今に至るわけですが…

あれから、父が他界し。
半年以上経ちますが、まだ役所がゴニョゴニョ言っているそうで…
本当に家が建つ気がしません😅
(笑ってる場合ではないけれど…💧)


さて…
ここに決めたのには、まだ介護中であった父がいたからもあります。
介護しながら、私達夫婦の晩年のライフスタイルを考えた時、やらねばならぬ(介護)ことをしつつ、新たな展開が開ける立地がココしかなかったと言うことです。

ですが、それだけではなく、
コロナ禍に介護でぼっち状態になってる中、周りの方々が、私にも夫にも優しく、見守ってくださったことが大きいです。
野菜をわけてくださったり、自身の親御さんの介護体験を話してくださったり。
本当に地に足のついた暮らしがあって。
家族といろいろあった私にとっては、とても心強い場所になりました。
(若い頃は特別魅力は感じなかったけれど…)

で、ずっと集落内で気になっていた空き家があって。ご近所さんたちにたずねたら、
オーナーさんは隣市に住んでらっしゃるので、
「喜びはるんちゃう?」とのことで、思い切って声をかけてみました。
それでも、気持ちを固めていただくのに数年かかりました。ご家族の思い出があったりしますから…


で、ま、いろいろが整いまして、
契約をし、購入をし。
今は、一緒に買った小さな畑を世話しています。
(農地を新規に購入するには…
これまたこうるさい条件がたくさんありまして。何を作るのか?年間何日以上農業に関われるか?機械はどんなものがあるか?経験はあるのか?など書類を提出します。
あと、購入から三年は、継続してその農地で農業をしなければなりません。すぐに宅地に転用したりしてはいけないのです。あと、農業委員会の面談なんかもあります。
※ただ、今回、私達は、父名義の田畑の管理をしている経験者親族であることと、購入農地が小さいことで、電話による聞き取りで終えることができました。なかなかハードル高いんですよ🧑‍🌾)


で、今、その畑をしているのですが…
春から夏の畑はイマイチでしたねぇ。
父の葬儀やら、法事やらもありましたが…
やっぱり、この夏の暑さでした。

水をやってもやっても足りないのです。
水やりにも疲れていきたくなくなるくらい…
しんどかったです。


で、です。
まだ、家はないし。
建つ可能性も見えないし。
暑いし。
でも、農業ぽいことしないとなんです。

タイバジル
スイートバジル


秋から、ちょっと畑らしくなって来ました。


今、畑をしていて。
夫と、ここでよかったなぁ…と
つくづく話すのです。


我々の猫びたい畑の向こうに、お向かいさんの畑がありまして。

そこのご夫婦は、70代でしょうか。
本当に、実に働き者でして。
集落内では、「スパルタやで😂」と、冗談が出るくらい。毎日毎日、朝に昼に夕にとお二人で農作業をされています。

そして、全てが美しいのです。畑も作業も。
隅々まで、なんと言うか、気持ちが行き渡ると言うのかな。
チリ一つないと言うわけではないのですけど、全てが凛としていて、生きている!呼吸している!と言う感じ。

しかも、ほぼ手仕事❣️😱

広大なのに、端から端まで何か植わっていてピカピカに光ってるんですよ。


で、そこまでお隣が見事だと、
私たちの畑を見て、鼻で笑ってはるんじゃなかろうか?と私たちは恥ずかしく思っていたんです。


かつて、父の田畑の管理をしていた時、
偉そうなおじさんがアドバイスしにきて…
「そんなことも知らんのか。」
「そんなんあかんで」
と鼻で笑われたりがありまして😭


家を決めた時、
この畑のおじちゃんとおばちゃんは
どんな人だろう?
どれだけ偉そうに言われるだろう?
と、ドギマギしていたんです。


それがちっともなんです。
たくさん野菜が採れてるのに分けてもくれないし。「教えてくださいね」と言っても教えてくれなかったんです。(挨拶はしてくださいます)


最初は、訳がわからなかったんですけども…


ある日、おばちゃんと立ち話になりまして。

👵「よう、精が出るね〜」

「いやー、暑いですね〜。もうくちゃくちゃなってもて、恥ずかしいです。笑われてるんちゃうかなあって」

👵「そんなことない、毎日ようやってるやん。ご主人かて、平日仕事やろ?毎週末ようやってはるわ。えらいよー。」

「ありがとうございます。何をどないにしたもんか…後から後から追っかけでやるから…うまくいかんで…」

👵「そんなんウチらもやで。毎年毎年一年生やから。思いつくままやってみたらええんよ。失敗したかってええやない。ウチらかて『あかんやったなぁ』て毎日いうとるよ。ええええ」


毎日毎日、畑で顔を合わしてると、少しずつ会話が増えて来て…

なぜ、この人たちはアドバイスしたがらないのか?野菜を分けてくれないのか?
が、わかってきたのです。


次男さんだったおじちゃんが、ご両親の介護をしなければならなくなり、家を引き継いだそうです。が、ご両親が分家だったので、スタートは借りた田畑だったそうです。

ご両親が割と若くに床に着いてしまい、おばちゃんは仕事を退職して20年自宅で介護をされたそうです。

その間に、おじちゃんのご兄弟が、事情で転がり込んできたり…それも一人ではなかったそうで💧そういう方に限って、やはり介護を手伝うとかはなし。

そう言う中で、仕事をしながら、一枚一枚田畑を所有していき、丹精込めた作物を作ってらした。

ある時、近所の方がおじちゃんたちの作物がすごくいいので、種を分けて欲しいと言われて、分けたそうです。
が、おじちゃんとこのように見事に作物ができなかったらしく、「変な種をよこした」などと周りにふれてまわったそうです。
(単純にその方の手入れが悪かったわけですが…腹の虫がおさまらず、当てつけたということ)


良かれと思って種を分けたことが、関係を一気に悪くしてしまって。腹が立つやら、悔しいやら、なんなんだろう…と言う一件から、
野菜や種を集落で配ることをやめたそうなんです。

アドバイスも、
自分たちはこうしよう!と思っても、必ずしも他の人にもいいかはわからないから、滅多なことは言わない!と決めたそうなんです。
若いもんには若いもんのやり方があるんやから、好きにさせたらいいんだ!と。

(たしかに。アドバイスしたがりな人、野菜をくれたがりな人は…ちょっと偉そう。
たぶん、ちょっと寂しがり屋さんとか…自分は凄いんだ!と思いたい人なんかも?
自己と戦ってる人は、他人がどうとかは気にしないのだなぁ…と思いました。)


それを聞いてからと言うもの、おじちゃんおばちゃんの一挙手一投足が、キラキラしたものに見えて来まして。

もう、畑はかないっこないですが😆
それはそれで良くて。
ずっとずっと二人でコツコツと広い畑を手作業で育てる風景が見えるこの場所が、なんと美しいんだろうか!と思えてきました。

そして、口下手なおじちゃんが、
たまーに

👴「せいでるなー!」

と声をかけてくれると、もうキュン🫰😍

夫に話しかけてくれたりしたら、もう🫰🫰🥰

推しが話しかけてくれたー!
ファンサくれたー!
くらいのサプライズで嬉しくなります🙌



で、この夏。あまりに暑くて…
まだ井戸にポンプがついてなくて…
家の裏側の水道から一番遠いとこの作物に水をやる時…ちょっとだけサボり心が生まれまして。

おじちゃんとおばちゃんがいつも水汲みをしてる水路が近いので、そこからお水を分けてもらうことにしました。
この水は、集落を流れる水なんで、別に誰が使ってもいいものなんですが。
水路から水を引き上げるのがしんどいため、今は、皆さん使いません。

きれいな山の水が流れてきてます。
水路の脇には、
おじちゃんとおばちゃんが
毎日踏み固めたステップがしっかりと
🦶


すごく、きれいに管理されていました。
私、このステップに気づいてませんでした。
おじちゃんおばちゃんは、ご両親を在宅で見送ってから、ずっと二人で農業をされてきました。

その証!🪣

これは、踏み荒らしてはいけない!
と、一段一段、大切に使わせていただきました。


おじちゃん、おばちゃんは、
他にもあちこちに田畑があります。
親戚の山の手入れにも行かれてるそうです。
目の前に広がる広大な畑の続きの畑も
おじちゃんおばちゃんの畑でした…💧

チラチラみてるとですね。

どちらの畑の水やりも、この水路からジョウロに汲んで、全部に水やりをされるのですけども…

全部、手動…😱 
全部、歩いて…
はぁ?


私と夫、それに気づいて…呆気…


真似はできません。決して😆
我々は、井戸にはポンプをつけましたし😛

でもね、なんと言うが清々しいのです。
我が道を、いけるだけ行こう!
と言うお二人が。
見ていて気持ちが良いし。
我を貫いても、まだ誰にも迷惑かけてませんし。

そーゆー先輩の姿を見ながら暮らせるのがですねぇ、すんばらしい借景といいますか、最高の立地なんですよね。
励まされる訳です。まだまだイケる!と。



おばちゃんはこっそり言うてくれました。

「家族とのいろいろなんか、あるよある。
うちの家のいろいろなんか、この集落の人みんな知ってはんでー。ほんでもなー、みんなどこの家かてありはるし。気にせんでもええんよ。

どない歳とったかって、毎日一年生なんやから。おもたようにやったらええ。
お父さん、ちゃんと見たやんか、えらいよ。
今度は、お義父さんやろ?なかなかでけへんで。そんだけでえらい。

おもたようにやったらええ。
ようやってるし。
みんななぁ、見てる人は見てるから。」


かっちょえ〜!
私、こんな大人になりたい!!

欲しい水は自分で汲む。
欲しいもんは自分で作る。
人のペースは気にしない。
毎日が一年生!


だから、今、どうしても
ここに住みたいなぁと思うのです。

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