KIKKUNのギターが好き


楽曲を聴く時にそれを構成している楽器の音色に意識し始めたのはいつだろうか。私自身は覚えている限り、数年前まではきっと、全くそんなことを考えていなかったと思う。少なくとも記憶には残っていない。


皆さんはいつから一つ一つの音を意識し始めましたか?その時期を、そのきっかけを覚えていますか?音楽に精通するものがある人は若いうちからこういうことに触れているだろうから早いのかもしれないし、私と同じようになんとなくいい曲だなと流して終わっていたような人もいるかもしれない(勿論その"なんとなく"は個人的にとても大切な感性だと思う)
実は、そんな自分の転機となった曲がある。



それがKIKKUN-MK-Ⅱ作曲の『Static Flare』だ。




記憶が正しければこの曲は M.S.S Project~Soul Meeting Tour2017~  のDVD特典として付いてきたところがはじめ、だと思う。
SMT2017のOPアクトとしてダンス曲に任命されたFB777の『PLASMA OCEAN』とタイトルだけでもどこか対を成しているように見える本楽曲は後に


PUBGシリーズの実況テーマ曲にもなり、同年の冬ツアー M.S.S Project~PHOENIX-Eternal Flame-~でのセットリスト一曲目を華々しく飾っている。




『Static Flare』このタイトルは個人的に非常に的を得ていると感じる。Static=静的 Flare=燃える、めらめらと燃え上がるという英単語が組み合わさって出来たこのタイトルは簡単に言えば静かに燃える、と心中奥深くで燃え滾る想い、のようなものを感じる。今思えば不死鳥を冠したPEFツアーの一曲目としても、このタイトルは非常に秀逸であったと考えられる。また、余談だがこの特典CDはパッケージ?も凄くかっこいいのでぜひ手に入れて欲しい。カップリング曲とも言える『PLASMA OCEAN』もFB節が炸裂している非常にアガる曲なのでおススメです。

と、宣伝はさておいて今回のnoteのタイトルはKIKKUNのギターについて、である。私が初めて曲を聴く上で意識した楽器は他でもないKIKKUNのギターの音色だった。


この曲をはじめて聴いた日の記録が残ってたのでまたまた引っ張ってきました。



このStatic Flareという楽曲はイントロのフェードインから多種多様な音が爆発するようなこの掴みと聴く人のテンションを持ち上げていく、音階が上がっていくギターから始まる。
Aメロ部分ではシンセサイザーがメインとなり進行していき、不快感のないどこか透明感もあるギターが合わさり、流動的な疾走感やテンポの良さを感じることができる。
Bメロでは一度展開が落ち着いてギターが先導していく。このギターは力強くもあるが、どこか不安定さを感じる。自分だけの力でどうにかしよう、そんな雰囲気を感じてならない。

そして何と言っても所謂サビ部分のギターソロにStatic flareが凝縮されている。とても言い表すのが難しいが、まさに"静かに燃える闘志"なのだ。強気な音色ではない、どちらかといえば切なさを感じて、私の中では「何か重い過去を背負った主人公がそれでも力を振り絞って立ちあがる」様がありありと想像できる。確実に何か含みのある儚さを感じるギターソロに心が震えた。

そしてまたABが繰り返され、Cメロが挿入される。このCメロの退廃的な荒野をイメージさせる音作りが更に孤独感を増長させており、強敵と戦う前のふとした静けさを思わせる。ここにはなんとなく回想、を思わせる要素が多い。Static部分を感じる。
そこから大サビでそれを乗り越えていくかのような、感情が溢れ出すギターが本当に見事。思いの丈を全て乗せて、内なる想いを弾けさせている。非常に胸を掴まれ、苦しくなる音だ。
最後はイントロ部分に帰ってきてこの曲は終わっていく。ここの終わりがイントロに戻ってくることで曲全体の印象はあまり切なくなりすぎず、Flareとして締まっていくのが更に、サビ部分で内なる感情をぶつけてくる構成となることでタイトルから得られる「秘めた闘志」という印象がまた生きてくる。



小難しく語ってきたが要するに好きです。めちゃくちゃ。このDVDが届いた当時ぼんやりと横になって初めてStatic Flareを聴いた時の衝撃を揺さぶられる想いを今でも覚えています。涙出たもんね。

この曲を聴いてから自分の音楽の受け止め方はかなり変わった気がします。私の場合はギターからだったので特にギターは意識して聴くようになったかなぁ。


他にもいくつか個人的に好きなギターのフレーズが使われてる曲を挙げておきます。



・「M.S.S Phoenix」

曲自体がそもそもかなりお気に入りなんですけど、間奏のまさに不死鳥が大きな翼を羽ばたかせるかのようなギターソロが大好きです。濃くて厚い雲をすり抜けて飛んでいる情景がありありと浮かびます。伸びやかで力強い音が心地良い。


・「影光SPECTRUM」

印象的なフレーズがある、という訳じゃないけどこの曲のギターは曲全体のバランスを取るのにすごくいい役割をしていると思う。良い意味で一定で単調さのあるメロディにクリーンなギターの音がスパイスになっている。邪魔はしないのにアクセントとなる役割を担っている。


・「Over Road」

この曲もやっぱり良い、良い……他のインストと比べてもオバロのギターは前向きな音かな?と思う。ライブでのBメロでFBのショルキと交差するようなバッキングからサビで閃光が飛び込んでくるようなギターソロが本当に気持ちを持っていかれる。このギターソロもカッコいいだけというよりは絞り出すような、負けるかよ!と言わんばかりの音でただ、ただカッコいいだけじゃない感じが好み。青と黄色のライトからスポットが当たるように黄色の光の下で弾く姿はもうめちゃくちゃかっこいい。


・「Ghost」

この曲のギターは印象的な人が多いと思う。泣きのギター、嘆きのギター、零の雰囲気にマッチした物悲しく、寂しげな音がMSSPの楽曲では珍しい。実況テーマ曲としてのクオリティが高い。歪みやピッキングノイズが逆にハマっている。


・「Awakening」

きっとみんな大好き。実は初収録のM.S.S Partyと再録のベストアルバムM.S.S Phoenixだと歌い方もギターも全然違う一曲。「孤独を抱いてる」感が強くて元々持つメッセージ性とかが溢れてるのが原曲バージョンだなと思うし、だからこそ再録の前向きさや、間奏でのギターはPartyバージョンよりも圧倒的に力強い。Partyバージョンは上がりきらないギターが寧ろ全体を通して深みを与えているのかなと思う。そもそも冒頭のギターの音色もMIXも全然感じる雰囲気とか緻密さが違うし、新旧でかなり曲自体の印象も変わってると思う。ぜひ聴き直して欲しい。余談だが私は新旧を左右に振ってる音源を自分用に所持している。こうすると違いが分かりやすくて沁みます。や、ほんと……語りが止まらなくて、ギターだけに留まらずで申し訳ないけど声の切り方も質も本当に全然違う。Phoenixではどっしり構えて正に誰かの背中を押すための目覚めの曲になったと思うし、Partyでは誰かに、そして自分に寄り添うような柔らかさと儚さも秘めている。でもPhoenixバージョンでの「海原」での意図した柔らかな声の抜き方とかも大好き。本当にどちらにも味があるので二度美味しい曲になってる。優劣問わずこの曲のギターは2パターンあるからこそ感動する。




色々な曲を紹介してきたけど多分パッと浮かばないだけで好きなギターはめちゃくちゃあるはず。スターダストメモリーのoffボーカルverでよく聴こえる、気持ちいい音で邪魔しないようなバッキングは曲を引き立てる透明感も買って出ているし、きっくんのギターは歳を重ねるごとに好きが増えている気がする。最近のギター講座だと弾き方を変えた話とかもしてるので是非見て欲しい。筋肉は全てを解決するとよくよく教わった。





週刊MSSPのピッキング革命、ピッキングパパシリーズ  さいたまスーパーアリーナ公演前から10年以上慣れ親しんだ弾き方を新たな弾き方へと変え始めているきっくんの記録が動画として残されている。真面目で柔軟なきっくんの姿が見られるのでぜひチェックしてほしい。


あとはもっと言えばライブアレンジだからこそ聴けるギターもあるし本当にやめらんねぇ……ENMA DANCEのギターソロは特に横浜アリーナのモノが大好きで何度も見返している(俺を見ろと言わんばかりのきっくんが見れます)し、つい最近あった無観客ライブでのShadow Heartsのギターソロは弾き方も音も物凄くセクシーだったし原曲のメロディとギターの音が一瞬バッチリ合わさる瞬間が素晴らしかった。新曲Grand Crossではギターソロ後半の切ないメロディが忘れられないし……



本当にこの話題は落とし所が分からなくなるくらい(?)ずっと話せるんですけど最後にもう一つだけ好きなギターのフレーズについて記しておきます。




16:20〜

コメント「俺って天才かもってって思った瞬間は?」
K「We are MSSPのイントロが一瞬で出来たことかな。一瞬で出来て今でもやっぱ作ってよかったな、って思える」


MSSPニコニコチャンネル有料会員限定動画からの引用。聴く人を幸せにしてきたであろうこの曲のフレーズついて語るきっくんのボルテージが上がっていくのが見ていてなんだが胸を打たれます。決して寂しさで終わらない 笑顔でまたねと思えるこの曲で見送ることができる幸せをライブに行くたびに噛み締めています。




きっくんの奏でるギターの音は個人的には尖っているというよりは柔らかく、繊細で感情的なものが多いと思っています。かなり多くの曲で奥底に切なさだったり刹那的なものを感じ、それこそが私の思うきっくんのギターの魅力であり、好きなポイントです。だからライブでリアルタイムに曲の中を、会場を飛び回ってる音色にいつも釘付けにされてしまいます。

非常にありふれた表現ですが、私にとってきっくんのギターの音色は生命を持って「歌っている」ように聴こえる。


これを読んで下さった皆さんの好きなギターのフレーズもどこかで是非、こっそり教えてください。きっと「あぁ、分かるなぁ」と思うだろうから。




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