John Simpson のこの本は、20 才の頃の私にこれを読めていたら、ジャーナリストに成りたいと考え出していたかもしれない、私に大それた望みを抱かせていたかも知れない程に、魅力的な本です。
興味に答えてくれる本とは人生を、長い将来の生き方を考える材料です。大学入試勉強用の「英文読解演習本(300‐400頁の本)」の一冊をすべて理解し読み終えることができた人、そんなレベルに届いた人は、大人の世界の本、英語の勉強用でなくて本当の本を読むべきだと私は思います。英語のマスターには時間がかかるのです。一生涯づづけることにもなりえる作業です。本当の本を読まなければ読まないだけ、人生の豊かさを獲得する機会を逃してしまいかねません。文章を書くことを本職とする人が書いた文章を手にすると、英語教材と銘打つのではなくても、英語理解力の鍛錬はできます。
1. 自国の大臣との距離はこれ位に近い/遠い。シンプソンが「良いであろうか?」と模索する頃合い。
オーストリアの極右野党党首の Jorg Haider 。彼がバグダッドを訪問した際の歓迎会に顔をだしたサダームは偽のサダームでした。一方英国の大臣の訪問時には本物のサダームが応対していたとの話を Simpson が切り出します。この話題をきっかけとして、Simpson はこの自国の大臣 George Galloway とロンドンにおいて接触を持ったこと、そしてその時の話が次のように開示されます。自らの政権との近さと遠さ、近づきたい気持ちを自制します。
2. 米軍が Baghdad に侵攻開始時の Baghdad の様子を示すために Simpson が選んだエピソードの一つは現地の新聞。
Saddam 政権の下にあったイラクでは、人々が Saddam への称賛を外向けに表し続けることを如何に強要されていたか、Simpson はこれを具体的なエピソードにより解り易く、面白おかしくレポートします。その一つがこれです。
3. シンプソンのお話、この地域の歴史・気候風土のおさらいから再スタートです。
主題である Saddam とその取り巻きの手短な紹介を終えたところで、Simpson のお話、その詳細部分、その本番がこの節 7. TURBULENCE から始まります。
この地の気候風土から初めて、この地の歴史のおさらいです。文学的表現を用いて美しくと思ってスタートしたのに Simpson の Jitters(尽きることの無い心配)がそれを許さないようです。しばらくすら経たない内に、話題は社会が抱える苦しみに戻っています。
この引用に続くのはこの警告の話がノアの箱舟なる旧約聖書の物語に繋がる経緯、ユダヤ人との交錯ですが、この投稿では触れません。
この地域と同じように古い時代のエジプトの「予期できる気象・気候変化」。そこでは何千年間というスケールで続く世襲を当然とする社会が形成され、それは文化の停滞と平和に行き着くのだと Simpson は読み解きます。 それと真逆である「予期できない気象・気候変化 unpredictable climate」に翻弄されるチグリス・ユーフラテスの地のすさまじさの記述、その一節は次の通りです。
何千年も以前の歴史に登場する人種・民族?なるもの、上記した歴史おさらいに出てきた Assyrians や Kurds 。この Saddam Hussein が猛威を振るった 20 余年の間という現代においても個人個人の気質特性の一面を表す素性として、Jews や Arabs と同様に Assyrians や Kurds が、イラクの人々の間で意識されていると Simpson は伝えています。
4. Study Notes の無償公開
今回の読書対象は原書 Pages 26 - 64 (Sections 5 - 11) です。これに対応する私の Study Notes を無償公開します。File の形式が Word 形式のものと PDF 形式の二種類あります。双方の内容は同じです。