自分の無意識の加害性にえぐられる/コレか!恋愛要素不要映画
2024年1月14日
ひさびさに読書の話。読んだのは『嚙みあわない会話と、ある過去について』 辻村深月さんの短編集。4編のいずれもが、自分が思っていたことと他者のそれがこれほどまでに違うものかを痛感させ、かなりドキッとさせるもの。正直私はドキッどころじゃなかった。
国民的アイドルになったかつての教え子と再会する教師の「パッとしない子」 自分のことを覚えているだろうか、いや、覚えているはず。きっといい印象を持っているはず。という思いがズタズタにされる。
非常に残酷な話だけれど、その残酷さは相手から一方的にもたらされたものじゃなく、過去の自分の無意識の加害性にあることを突きつけられる。これはキツイ。この教師ほどの経験じゃないけれど、私自身も「良く思われているはず」が180度違ってて、驚きと恥ずかしさが入り混じったなんとも言えない思いをした記憶がある。とうに忘れていたのに。
母との記憶にまつわるちょっとホラー味のある「ママ・はは」を挟んでラストは再び「パッとしない子」と同じような話「早穂とゆかり」
この編集はニクい。
映画のほうは、引き続きルーレットを回し何を見るかを運に任せている。
「00年代・フランス・アクション」では、結局リュック・ベッソンを外すことができず未視聴の『トランスポーター3 アンリミテッド』(2008年)を鑑賞。アクションとしては大満足だけれど、絵に書いたような頭の足りないヒロインと、そいつとのとってつけたような恋愛要素にゲンナリ。
少し前に「ラブストーリーでもない映画に恋愛要素はいらない」という意見が話題になって、そのときは「そんな偏狭な……」と思ったけれど、今回、こういうことだろうな、と思った。ステイサムのセクシーアピールもやっとくよ、という趣向なのか、それはそれでありがたい。