ヒュミドールを安く済ませたかった(葉巻番外編)
葉巻を保管するには、俗にヒュミドールと呼ばれる調湿庫が用いられるらしい。
葉巻は乾燥に弱く、カラカラの状態では辛辛になってしまうというのだ。
実際、雑に保管していた640円くらいのものは実に辛く、その辛さが好きではない私としては、それは避けたい事象である。
しかし葉巻の保管に推奨される湿度は70%前後。赤道近くの四季無し国家ならともかく、この日本で維持するには少々骨が折れる数値である。そこで用いられるのがヒュミドール、というわけだ。
ということで、ヒュミドール(っぽいなにか(と呼ぶことも憚られるなにか))を作ってみる。
材料
ヒュミドールと言えばなにやら高尚なものかと思われるかもしれないが、個人的な調査による偏見で言えば、あれはただの箱である。
できるだけ密閉が可能で、葉巻が入るサイズの、木製の箱である。
よって、これを基本にする。
CanDo。
100円。
ヒュミドールの代用品として、タッパーやジップロックが使われるケースは少なくないらしい。
容器だけに。
むしろ「湿度を一定に保つ」という点が最難関である。
そもそも、ヒュミドールの語源としては「加湿」というものがあるようで、ならばヒュミドールの本体は箱部分ではなく調湿剤といえるだろう。
これ。
珪藻土コースター。
CanDo。100円。
どっかで聞いた知識では、珪藻土は湿度70%前後で安定させるそうだ。そんなうまい話があるか、とは思ったが、調湿剤は容易く入手できない。通販なら手に入ると言われればそれまでだが、高いし。
それに自然由来だし、なんか上手い事いくんじゃね? 知らんけど。
(後で調べると、珪藻土は70%以上で吸湿、40%以下で放湿するらしい。知らんけど)
最後にこれ。
湿度計。
CanDo。100円。
正確な値を示しているかはわからない。ただ、CanDoのほかの湿度計と見比べて多数派のものを選んできた。マジョリティに流されていけ
密閉容器、調湿剤、湿度計。これでヒュミドールの基本要素は押さえた。早速タッパーに少々濡らした珪藻土と湿度計を入れ、しばらく待ち、湿度が安定するまで待つ。
これで安定してから数度開閉し、また放置して湿度が戻れば完璧だ。
安定したので、開けてみる。
地獄
くっせ。
くっっっっっっっっっっっせ!!!!!!!!!!!!
え!?!?!?!?
この世の終わりの匂いがする。
こんなところに葉巻入れたら吸えなくなるよ。
何が原因だ? タッパーの洗浄が不十分だった? 湿度計?
珪藻土?
うっっっっっっっっわ
珪藻土、やばすぎる。
これあかんかもな。
それからというもの、何とか珪藻土の臭いを除去しようとする1週間以上、2週間以下?の日々が始まった。
まずは水に浸してみることにした。臭いの原因が水溶性の何かであれば、水に溶け出してくれるだろう。
一晩放置すれば水がだいぶん臭くなる。これは効果があったのでは、と数日続けるも、本体からの臭いは弱まる気配なし。弱まったのでは?と思う瞬間は、すべて己の嗅覚が弱まっていただけだった。
水に洗剤を混ぜても変わらなかった。漂白剤なども試そうかと思ったが、葉巻のような、咥える程度としても口につけるものと漂白剤を同梱しようとはあまり思えなかったため試していない。
かくなる上は、とブラシを使って強引に洗浄してみたが、あまり効果はなかった。これまでの漬けよりは効果がありそうだが、ブラシでは表層しか洗えない。臭いの根源は奥に染みついている気がした。
最終的に頼れるのはGoogle。
調べてみると、アルカリ電解水をシュッシュすると良いらしい。安い(特に中国製の)珪藻土は、成型のための接着剤が臭うとかなんとか。その臭いを中和するのがアルカリだと。
その上アルカリ電解水は極めて安全な洗浄剤らしい。
試してみるか。
アルカリ電解水。
DAISO。100円。
このボトルの容量、480mlのすべてを珪藻土に。
3日くらいかけて使い切った。
臭いは、ない。
少しクリーミーというか、物質の境目を曖昧にするような匂いはするが、従来の殺人的な臭いではない。許容範囲だ。これが珪藻土本来の匂いなのか、あるいは電解水のアルカリ成分の匂いか。
どっちにしろ、これでやっと実用段階に入った。
ここまでの費用は400円。税込み440円。
まぁ、なかなか、安く済んだのではないだろうか。
というのが、ついこの間の話。
実用性の評価については、続報を待ってもらうことになる。
果たして辛くない葉巻と再会することはできるのか。それとも葉巻から手を引くことになるのか。乞うご期待。
おまけ1:シガースタンド
私の手元には、葉巻用の灰皿はない。
というかそもそも灰皿自体、ない。
昔、陶芸体験で作った謎の陶器を灰皿に転用しているだけだ。
そして、葉巻というのは紙巻タバコでよくやるような、灰皿に立てかける保持方法があまり好まれないらしい。
片燃えするとか。
そういうわけで、葉巻用の灰皿には、葉巻を水平に保持できるような設計がなされている。
が、そんなものを買う金はない。
のでそれっぽいのを作った。
材料はDAISOの色付き針金。太いやつ。
ちゃんと灰皿と高さを揃えたのでなだらか。
割とよさげ。
おまけ2:湿度計の補正
だんだん不安になってきた。
「この湿度計、本当に正しいのか?」
葉巻は乾燥を嫌うが、湿気すぎると香りが飛ぶ、と、過湿状態はさらに嫌われている。
そのため、湿度計は70%を指していても本当は80%、とかだったら、それはもう大変なことになる。
80%を超えると、香りが飛ぶとか以前に、カビの繁殖が目に見えてくる領域だ。さすがにそれはまずい。
ということで、簡易な湿度計の補正を行ってみることにした。
ちょろちょろとネットをサーフィンしていると、飽和食塩水を使うといいらしい。
飽和食塩水は湿度を75%に保つため、密封容器に飽和食塩水と湿度計を入れ、湿度が安定するまで待つそうだ。
と、ここまで書いて気が付いた。
私は間違っていた気がする。
ここからは「放置したが手持ちの湿度計2つとも75%に達さなかったので不良品じゃねえか」と続けようと思っていたが、恐らく水溶液に食塩が解け残っていてはいけない。
水溶液中の食塩の濃度を一定にしようとするから調湿作用があるのであって、解け残りがあっては空気中の水分を水溶液が吸ってしまうはずだ。
しまった。
ガンガン解け残りある状態でやっちゃったよ。
正確だったのかもしれんな。CanDoとDAISOの湿度計。けどもうめんどくさいしいいや。
ということで、皆さんは解け残りがない状態で補正してあげてください。