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【短歌】日々の澱 #さるのうた


誰がために書く引継かしがみつくやうに無闇にてにをは直す


前を向くためのことばを飲み込んで前向きなことばつい口をつく


準急が駆け抜けて行く選び得た乗換先をそつと見送る



寄る辺なく帰る夜にも待つてゐた茄子のいぢらしさが焦げてゆく


澱粉がやや多すぎてぷるぷるとふるえる麻婆豆腐の小皿



どつさりと届く健康食品が仏壇前に並んだ彼岸


良い呼び名つけてあげよう輪廻したあなたは何者でもないのだから


おやすみを積分したら導けた曲線たちが囲むやさしさ