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【長歌】牧羊神(パン)と蜜月 #さるのうた

アカシアの 闇に半月 あかあかと 樹冠の寝籠 照り濡らし 舌足らぬ仔の 尻白く 女豹の爪牙 飄々と 小藪に紛れ 音もなく 忍ぶ暗転 散る斑点 いざ捕食せん 木登らん 駆けしその時 星空に ごう、と大気を 震えわせて 静寂射抜く 大火球 墜ち行く方は 磨羯宮 怯みたじろぐ 暗殺者 微睡む群れも 夢覚めて てんでちりぢり おおさわぎ 跳んで降りたる 統率者 銅鑼打つごとく ディスプレイ 桃尻の母 仔を抱いて 牙を剥き出し 毛逆立て 女豹すごすご 退散す 既に薄明 朝靄に  蜜垂れ夜露 滴りて サバナ歩けば白蟻の 朽ちて棄てたる 一里塚 枝折り取りて 挿し探り 甘美極まる 蜜壺を べたべた分かつ 親密さ 彼らの系譜 神のみぞ知る




牧羊神(パン)と呼び お道化を嗤う テレビジョン 野生の神話 涜する勿れ