【短歌】焼肉ペシミズム
翼よ、とリンドバーグになり切って指差す名無き街や街の灯
はつはるを思い出すほど冷え込んだ風を集めた肺と灰皿
フラットで居させて『万延元年のフットボール』に挟んだ栞
「あしたあそぼうね こんどはやくそくね」影法師伸び切る前に行け
ジーニアス英和辞典って生意気で素敵ね 丸を付けたgenius
寝転んで眉なぞり合う人たちを沖で見守る犬の犬かき
地球号乗船名簿 行先は空欄のままそっと手を振る
とびだした夏日こぼれて行かないで 高架の陰で萎れる菫
七対もあるおっぱいのひと房が豚チチカブとして焼ける音
羽衣の衣替えでもしませんか 梅雨は無縁の浄土でしたか