仮面ライダーアマゾンズTHE MOVIE 最後ノ審判 感想
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「仮面ライダーアマゾンズTHE MOVIE 最後ノ審判」のネタバレを含みます
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気になったポイントだけ簡単に。
・「アマゾン牧場」というテーマについて
まずはアマゾンズ世界にまだこういうアプローチが残ってたのか!って思った。採集から農耕へ、狩猟から畜産へ移行したように、人間がアマゾンを狩る、から人間がアマゾンを養殖する、へ。アマゾンが人間を喰らっていたのに今度は人間がアマゾンを喰らっている。食事シーンはなんともいえない嫌悪感が漂う。
孤児院として牧場が運営されてるという設定がマンガ「約束のネバーランド」に似ているという指摘については、確かに観ている途中約ネバが頭をよぎったが、約ネバ以前にもカズオ・イシグロなどがあり、孤児院は表の顔で何か裏の目的がある、というフォーマット自体は割とあるあるになっている気もしているのでそこまで気にはならなかった。
ただ結果的に仁に「アマゾンを殺す」悠に「何を守る」という本編で向き合った課題にもう一度向き合わせているだけで、本編から進んではいない、という意見も一理あると思った。また仁に子を作らせ子を殺す運命を与える、結論を本編で出したはずなのにまた悠に迷わせるというのは完結編なのにやってること本編と概ね変わらないというのも分かる。
・1期ほどに抑えられたグロ描写について
シーズン2ほど酷くなく、1期ほどに落ち着いていたグロ描写だが、私はアマゾンズにおいてグロは目的ではなくアマゾンズ世界をよりリアルに見せるための手段だと思っているので、特に気にはならなかった。
・「完結編」よりは「劇場版」
この映画には小林脚本ではないということもあり色々思うところがある人も多いようだが、どれもこの映画が単なる「劇場版アマゾンズ」ではなく「アマゾンズ完結編」だからこそ出ている意見だと感じた。アマゾンズ世界に本編ではやらなかったアプローチをかけ、主人公がゲストと接しながら問題に向き合い、敵と対決する。駆除班や4Cなど、本編で活躍した名脇役たちも勢揃い。劇場版アマゾンズとしては文句ない完成度だと思うのだが、これを「完結編」と銘打ったのがこの映画に少し違和感を感じる原因ではないかなと思う。
上述した、仁に「アマゾンを殺す」悠に「何を守る」という本編で向き合った課題にもう一度向き合わせているだけで本編から進んではいない、という意見も然り、これがアマゾンズ完結編ですよ、と言われたからこそ生じた意見が多い。完結編なのにゲスト多めで映画オリジナルのエピソードを主軸に進めていくのも私は違和感を覚えた。オリジナルの施設にオリジナルのキャラクター。劇場版としては相応しいと思うが、どうしてもそっちの掘り下げに尺をとられ本編ほど仁や悠、美月などの掘り下げができない。完結編ならば仁と悠のことをこれでもかというくらい掘り下げてくれてもよかったなあという思いもある。また、完結編なのにシーズン2の千翼やイユについての言及が一切ないのも、シーズン2の出来事が忘れられてしまったようで引っ掛かる。
長くなったけど要は、この映画は「仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE」であり「完結編」というよりは「劇場版」に近いというのが観た感想です。
ここまで気になった部分を書いてきたが、改めてアマゾンズの劇場版としては完成度が高いものだったと思う。アマゾンズ特有の気味悪さ漂う雰囲気、そして徹底的に追い詰められながらももがくキャラクターたちをキャストさんたちが熱く演じており、アクション面も含め大満足だった。アマゾンアルファ対アマゾンオメガはどっちも死んじゃうんじゃないかと思わされるくらい真に迫っていて盛り上がった。あと個人的に縄田さん演じるアマゾンネオアルファが冷酷で残虐でセクシーでかっこよかった。
「生態系は絶えず変化し続けている。弱肉強食の世界で勝ち残るのは、生きるために生きたものだけだ。たとえ迫害されようとも、たとえそれが醜いことであろうとも」