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大丈夫ですマン現る

大丈夫ですマン。
きっとあなたの周りにもいると思うんだけど、
今日私が見たのは、東京は東神田、という場所。
秋葉原と浅草橋の中間あたりの街なんだけど、
ここにとびきり旨い蕎麦屋がある。
11時から14時までが昼の営業時間なんだけど、いつ行っても並んでいる。
11時の時点で並んでいるわけだから、その旨さは周知たるもの。
その蕎麦屋にヤツはいた。

大人気の店の上、決し広くない店内。相席があたりまえ。
二人で行っても、向かい合わせでは座ることはできない。
横並びで座るのがルールとなっている。
効率よく席を埋める方法なので、客もよくわかっている。
上司と部下で出かけて、そのルールを知らないと、
隣り合わせで座ることになり、ちょっと気まずい空気を漂わせている人たちもいたりする。

今日の私は一人だった。
私はこの店で期間限定で提供している“けんちんそば“を食べにやってきた。
いつもは“鴨せいろ“一本なので、店の人に「鴨せいろ?」と聞かれたりするが、今日は席に案内してもらいながら「けんちんそばください」と声高らかに注文した。で、
「こちらでいいですか?」と案内された席は4人テーブルに一つ空いた奥の席だった。想定なので、もちろん「いいですよ」と答えようとしたその時、

「大丈夫ですよ!ハハハ!」
と40代?若く見える50代?がすすっと奥の席へと移ってくれた。
そのテーブル席と隣り合わせのテーブル席の間は狭い。
私がその奥の空席へ座るには、その狭い席の間を
「すみません、すみません、」とガサゴソと通らなくてはならない。
しかし、「心配ご無用!」とばかりに颯爽と席を移動してくれた。
「ありがとうございます」とお礼を言うと
「大丈夫ですよ!ハハハ!」と言ってくれた。

私は注文の品が来るまで本を読んでいたのだが、隣の男性もそうだ。
と思ったら、スマホをいじり、またしばらくすると本に目を落とす。
白いセーターに細身の千鳥格子のスラックス(っぽい)。短髪でやたらと姿勢がいい。しばらくすると彼の注文の品物が運ばれてきた。
「大丈夫ですよ!ハハハ!」と彼は鍋焼きうどんがのったお盆を店員から受け取った。その時袋入りの割り箸が床に落ちた。店員は「すみません!」とその割り箸を受け取ろうとしたけど、
「大丈夫ですよ!ハハハ!」「全然大丈夫ですよ!ハハハ!」とその割り箸で食べ始めたのだった。
続いて私のけんちんそばが運ばれてきた。根野菜がたくさんのったけんちんそばは食べるのに時間がかかる。横の男性は熱いはずなのに、鍋焼きうどんをリズミカルにそしてダイナミックに食べている。ずずずずーーー!っと。

ほどなくして彼は食べ終わった。テーブル下に置いてあるテッシュペーパーで口を拭い、帰り支度をしている。
そうして彼はお盆を持ち上げ、店員になれた手つきで渡していた。
「あ、ありがとうございます」と「すみません」が同時に出てきそうな店員に対して、
「今日も日本一美味しい鍋焼きうどんをありがとうございました!また木曜日に来ます!ハハハ!」
店の入り口である引き戸を開けようとした店員に最後に一言、

「大丈夫ですよ!ハハハ!」

大丈夫ですマン、今頃はどこにいるんだろう。

大丈夫マンも絶賛の蕎麦屋はココ


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きたがわたまき
いただけるなら喜んでいただきます。