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釜炒り茶と煎茶の比較 シングルオリジンの日本茶(2)

今回は釜炒りのお茶を試します。

※前回記事はこちら


釜炒り茶とは


前回お話ししたように、お茶は収穫後に酸化酵素による発酵を止めるために加熱をします。これを「殺青(さっせい)」と言います。
殺青によって綺麗な緑色の保たれた緑茶になります。

いわゆる一般的に「煎茶」と呼ばれるお茶は、蒸気で蒸すことによって加熱をしますが、それに対し文字通り釜で加熱するのが釜炒り茶です。

1504年、中国(当時の明)から現在の佐賀県嬉野に釜炒り茶の製法が伝わったとされています。中国というと烏龍茶のイメージがありますが、中国でも生産量、消費量ともに多いのは緑茶だそうで、そのほとんどが釜炒り製法で作られているそうです。

「釜炒り製玉緑茶」と呼ばれることもあり、茶葉の形状が勾玉のようにカールしており、釜で炒ることで青臭さが消え、「釜香(かまか)」と呼ばれる香ばしい香りが特徴のお茶です。

鹿児島県伊集院「釜炒りはるもえぎ」

はるもえぎ

煎茶ではふくよかな甘さに驚いたはるもえぎの釜炒り茶です。

・1煎目 70℃  蒸らし1分20秒
 煎茶のはるもえぎに比べて控えめでほのかな甘みが土台にあり、上品な苦味と渋みが余韻にきます。透明感のある印象です。香りを引き出すには、もう少し高い温度が良かったかもしれません。

・2煎目 80℃ 蒸らし10秒
 2煎目でも、ほのかに甘みが残ります。

熊本県上益城「釜炒りかなやみどり」

落ち着きのある苦味が印象的だったかなやみどり、釜炒りではどうでしょうか。

・1煎目 85℃  蒸らし1分20秒
 高めの温度で淹れてみました。煎茶でも感じられた穀物感を微かに残していますが、軽い渋みのある香りが立ちます。味わいはやはり落ち着きのある苦味が特徴で、煎茶に比べると軽やかでスッと喉へ流れていく印象です。

・2煎目 90℃ 蒸らし10秒
 さらに高い温度で淹れてみました、高温のお茶はなんというか、お寿司食べたくなりますよねw 苦味が控えめになり、より軽い味わいで、食事と合わせるのに良さそうです。

改めて温度の実感

煎茶に比べると、各品種とも釜炒りでは軽くすっきりした傾向を感じました。お茶単体で楽しむなら煎茶のほうが特徴が強く出るように感じますが、食事と一緒に飲むなら釜炒り茶のバランスは良さそうだなと感じました。

ちょっと経験ないのですが、柑橘と合わせたり、カクテルの素材としても面白いかもしれません。

ただ、はるもえぎでは比較のため煎茶と同じ温度で淹れてみたのですが、期待していたようには香りが立たず、釜炒りの特徴を引き出すという点では高い温度で淹れたほうが良かったなと思いました。今回だけでは釜香の特徴を掴めたとは言えないかなと思います。やはり温度の影響は大きいですね、面白いです。

器のお話

余談ですがKINTOのダブルウォールグラスが好きで使っています。

左350ml 右200ml

元々350ml と、あと(画像にはないですが)250mlを持っていて、透明急須の容量が120mlなのでそれに合わせて200mlを買い足したのですが、

350mlを使うほうが香りが散らずにグラス内の空間に止まってくれて、今回のように違いを比べる用途には適していました。器による違いも面白いですね。

これらはモダンなグラスですが、焼き物への興味も出てきましたし、先日は茶道具の展覧会を観に行ったのですが、ヘビメタ好きの少年だった自分が40歳にしてお茶や食器に興味を持つとは想像していませんでした。

次回はまた少し違った趣向のお茶を試します。

読んでくださってありがとうございました。






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